劇場公開日 2022年1月21日

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「振り絞る言葉」コーダ あいのうた MARさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0振り絞る言葉

2022年2月28日
PCから投稿

笑える

父母兄の3人が聾唖者の中、唯一健聴者の娘。好きな歌で音大を目指したい気持ちと、通訳として家族の生業を支えなければならない使命との狭間で揺れ動く気持ちと、家族の愛を描いた作品。

漁師として働く父と兄。魚を卸すにはルビーの通訳が欠かせない。家族仲は良く、うまくやっている4人だが、ある時ルビーは歌の才能を見出され、遠く離れた音大進学への夢を持ち始める。しかしそれは、彼女の通訳を頼りとする家族にとっては死活問題になることを意味する。。

さらにそんな状況下、漁業制限新設の為漁には監視員が付くことになり、漁師たちは猛反発。そしてこの一家には、更なる問題が発生し…。

聾唖と健聴者の家族構成を軸に、様々な角度から心に突き刺さる作品。

家族が聾唖なことによる、同級生たちから見られる好奇の目。好きになった少年とのいざこざ。家族を守りたい気持ちと夢を追いたい気持ち…う~ん。

大変なハンディキャップを背負いながらも、ルビーの力を借りているとはいえ他の漁師と同じように働く家族の姿。力強い。

こんな言い方してはいけないのかもしれないが、両親は気づかないうちにルビーの存在を当たり前のように思ってしまい、中々羽ばたかせてあげられない。それでも娘を想う気持ちはやはり強く、良いご両親ですよね。

…まぁでも、寧ろ問題はちょっと陽気すぎるその性格にあるのかも(笑)
マイルズが来たときのやりとり…そりゃあルビーも怒るわw

そしてお兄さん。兄のプライドっていうのも勿論あると思うが、実は一番冷静な目でルビーを見守っていてくれていたんじゃないかな。海辺でのルビーとのやり取りは胸がアツくなること間違いなし‼最後の一言はちょっとアレだったけど…。

耳が聞こえないことにより、ルビーの才能に懐疑的だった家族。そんな両親に、彼女の才能を気づかせたモノとは…。そして、ルビーが歌に乗せて伝える想いに涙。先生の粋な計らいもグッド。

大きな壁がありつつも、互いを想い合う愛と絆、そして懸命に生きる家族の姿にグッと来させられた作品だった。

MAR