劇場公開日 2022年1月21日

「明るくてユーモラスな家族の風景が物語るものとは」コーダ あいのうた 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0明るくてユーモラスな家族の風景が物語るものとは

2022年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

今年のアカデミー作品賞候補作の中でも、見終わった後の感触の良さではピカイチ。家族の中で唯一健聴者である娘が、生まれながらに恵まれた美しい声と音楽の才能を武器に羽ばたこうとした時、家族それぞれがしがらみや常識にとらわれない自由な生き方を受け入れ、肩を押す。その過程で、なぜ、自分がそんな家族の言葉となって他者との橋渡し役を請け負わなければならないのか?と言う娘の不満や、彼女を引き止めたい母親の思いや、聞こえないことのハンデそのものが描かれるが、なぜか、それほど悲劇的な雰囲気はない。すべては、めちゃめちゃ明るくてユーモラスで、時々"奔放な"家族の風景にあると思う。この種の突き抜けたユーモアはアメリカ映画ならではだろう。

結果、この家族が持つハンデの大きさが逆説的に伝わり、一方で、我が子が年頃を迎えて自立しようとした時、世の親たちはいかにエゴを捨て、子供の未来を信じられるかというテーマが浮かび上がる本作。聴覚障害者の父親を豪快に演じるトロイ・コッツァーは助演男優賞を本命だが、惜しくも候補から漏れたものの、エミリア・ジョーンズ演じるヒロインと絶妙の掛け合いで笑わせる兄役のダニエル・デュラントの好感度が抜群だ。もし、興味があれば、YouTubeにアップされている撮影の舞台裏を映した映像の中で、撮影最終日を迎えたデュラントが号泣しながら共演者たちと抱き合うシーンがあるので見てみて欲しい。そこには、製作の過程で彼らの中に生まれた絆の強さがしっかりと残されていて、もう一度感動が蘇って来るはずだから。

清藤秀人
邦子さんのコメント
2022年2月19日

私もダニエル デュラント演じる
お兄ちゃんが 大好き❤

邦子