劇場公開日 2022年1月21日

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「こんな素晴らしい映画に巡りあえてよかった」コーダ あいのうた night runnerさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0こんな素晴らしい映画に巡りあえてよかった

2022年2月7日
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鑑賞方法:映画館

パンフレットは売り切れだった。

仕事やプライベートで動画編集をするけど、つくづく思うのはBGMの大切さ。動画を『観せる』のに、音楽つけるのと、つけないのとでは、全然違う。映画やドラマ(フィギュアスケートでも!)、素晴らしい映像(や演技)が、音楽がバックに流れることで効果的になって、さらに感情を盛り上げる。そんなことは、誰でも知っている。だって、ボリュームを絞って、音を消して画面を観てみればいいことだから……

そんなことはつくづくわかっていたけれど、この映画を観て、音のない世界で生きている耳の聞こえない人達の現実に圧倒された(なんも分かってなかった、分かってたつもりだった)のがひとつ。

そして、こんな、『歌のシーンの見せ方』は初めてなんじゃないかと思った。
①秋の合唱発表会、デュエットのシーン。あんな見せ方する!
息をのんでスクリーンから目が離せなかった…………と思ったら②帰宅後にお父さんに歌を聴かせるシーン。喉を触ってた。そして、この2パタンだけでなく③試験のシーン。歌声と……そして、家族に届くように歌ったシーン……

こんな表現のしかたって……。

聞(聴)こえなくても『分かり合う』。

『ハッピバースデイ トゥ ユー』だけで、結構、カンドーしたし、犬の鳴き声の場面は、『歌姫』が目覚めたのを目撃したと感じた。

スマホの操作音やお皿を置く音やおならの音等々……、そうか、聾唖の人達の生活は音で溢れてるんだなー。逆に新鮮というか……今まで、思いもしなかった事実や……(食事中、音楽を聴くのはだめで、お兄ちゃんが出会い系サイトを見るのは、『家族全員で楽しめるからOK』で)。

『せいぜい、まぶたが裏返って、下着がくい込むくらいよ』。
(西洋の人達にとって、水に入る場面は(我々が想像できないくらい)、重要なんだとなにかで読んだ。宗教的な意味が潜在していて、【再生】なんかの暗示なんだそうですが……)。
あのシーンも、美しいランドスケープと相乗効果で秀逸。大好きな場面。

お母さんとのシーン、ラストの父さんの……、そして、兄ちゃんの妹を思いやる責任感。

私にとって、完璧な映画だった。
(あー、明日も観に行きたい!行きたいけど仕事で行けない。でも、ファーストインプレッションの今日ほどの体感はもうできないから、今日は貴重だった と今、思う)

そして、現実は……
一生、娘の美しい歌声を聴くことはできないんだよね。父も母も兄も……現実は酷でしょ。ふと、思うけど。

でもね、もともと、みんな聞こえる世界にはいないから、聴こえてる我々の感覚とは違うんだもんねー。そして、それでも充分『分かりあえてる』んだもんなー
だから、全然不幸ではないんでしょ
と思った。

兄の彼女もよかった。

□ 2月24日 『CODA』ユナイテッド・シネマ金沢で2回目。
観たくて観たくて、仕事の合間に観に行った。

改めて観てみて、無駄のないstoryだと実感・認識した。
そして、この物語、
世界の始まりや沐浴のシーンや主人公と家族の受難、そして流れる美しい歌声……等々。これは聖書の一節のお話だ。と思った。

精神世界という観点からも、西欧の人達はより好きになる映画だと思った。

アカデミー賞(とる、とらないはどっちでもいいけど、)、もしとったら、この素敵な映画をもっともっとたくさんの人が観るのになー。と思う。

パンフレット、買えました。

night runner