「こんな家族っていいなぁーー」コーダ あいのうた コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな家族っていいなぁーー
1 父母と兄に聴覚障害があり、長女が唯一の健常者である家族の姿と音楽に向き合う彼女の成長を描く。
2 泣けて笑えて心温まる映画であった。
良かったのは家族のあり方。この家族は、障害があっても前向きに生きており、行動をともにし、問題があれば話し合って解決しようとする。そして、互いに思いやりがある。個々人を尊重しながら時宜に応じ結束する姿は、家族のあり方として理想的であった。
劇中、ヤングケアラーである彼女の進学について、皆が思い悩む。彼女が進学で家を出ると家族は健常者との意思疎通や家業である漁業の継続が困難となる。しかし、このことも家族力で乗り越えた。
また、オ−ディションの場面で、雰囲気に気圧されていた彼女が客席に家族を見つけ、手話を交えて楽しげに歌う姿に家族の絆を感じた。その一方、健常者と聴覚障害者とが正しくコミュニケーションを取ることが家族間であっても難しいことも伝える場面もあった。
残念だったのは、劇中、障害があることで差別や不当な買い叩きに会う場面があり、いつの時代、どこの国の話かと訝しく思えた。
3 演出面で良かったのは、冒頭に漁のシ−ンを持ってきて家族の人物
設定や状況を一目で解らせてくれたこと。それと、卒業コンサ−トで彼女の歌唱場面の途中から無音になる場面。カメラが父の目線になり、左右の人物の歌に酔いしれている姿を捉える。耳が聴こえなくても娘が見事にやってのけたのを実感したシ−ンであった。
4 ノ−スター映画であるが、俳優がそれぞれの役柄にマッチし適材適所の感があった。中でも父母役の二人の天真爛漫な演技には微苦笑ものであった。
コメントする