「旅立ちの映画」コーダ あいのうた ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
旅立ちの映画
同週にたくさん映画が上映してるのもあり、スルー候補だったのですが、SNSで話題になっていたり、興行面でかなり健闘しているのもあり劇場に足を運ぶことにしました。久々に口コミが原動力になりました。
とっても面白かったです。アカデミー賞候補の名は伊達じゃない。
まず役者陣の演技の豊かさが素晴らしいです。特にエミリア・ジョーンズが凄い。頼りない声からの、発声を得て力強い声への移り変わりが見事で、鳥肌が立ちまくるほどの衝撃を受けました。普段のにこやかな少女の顔、恋にときめいている顔、家族との確執、家族との愛情を確かめる時の顔と、動きではなく表情でそのシーンごとに彼女の魅力が発揮されていたのも印象的です。家族4人のうち3人が聾唖者で、実際の役者の方々も聾唖者を起用するという徹底ぷり。前作でどうもその点が批判されていたようですが、いざ起用するとなるとなかなか難しい問題だとは思いますが、それでも違和感なく映画になっており、手話で下ネタを表現する際も面白さがきちんと伝わってきました。
聾唖者の方々と感覚を共有しているかのようなシーンがとても斬新で、そのシーンだけ娘が歌っているのに歌が全く聞こえないという恐怖と同時に、周りの人々が笑ったり手を叩いたりでその歌の素晴らしさを知るという表現方法がとても楽しかったです。
ルビーの才能を見込み教えるV先生がまたいいキャラクターで、厳しい先生ではあるけれど、根は優しくてとことん教えてくれて、ピンチの際には駆けつけてくれるし、手話の勉強を少しして会話に取り込んだり(ファ○クできて光栄ですという特大級のミスをやらかしますが笑)と、とても愛すべきキャラクターでした。
無事大学に合格し、ルビーを見送る際に家族が程よいいつもの距離感を保ちつつも、どこか寂しそうな姿。自分も実家を出る際はそのような感じだったのでとても懐かしい気分になりました。最後は家族全員で抱きしめ合って旅立つという、旅立ち映画として最高の幕引きでした。これからの彼女の未来もこっそり見ていきたいなと思う作品でした。これからも色々な国でリメイクされそうな雰囲気です。製作陣、役者陣の皆様お疲れ様でした。
鑑賞日 1/23
鑑賞時間 12:10〜14:15
座席 F-3