「歌と脚本が良い作品は、かなりの確率で名作! 少しでも気になる人は是非見てほしい作品!」コーダ あいのうた 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
歌と脚本が良い作品は、かなりの確率で名作! 少しでも気になる人は是非見てほしい作品!
私が一番相性の良いと思っている映画祭にサンダンス映画祭があります。特に観客が選ぶ「観客賞」は割と名作が多い印象です。
本作は、数々の名作を送り出してきたサンダンス映画祭において、2021年に「観客賞」「審査員賞」「監督賞」「アンサンブルキャスト賞」という史上最多となる4冠に輝いているのです!
そして、配給権がサンダンス映画祭史上最高額の約26億円で落札されています。
これは分かりやすい事例では、2006年の「リトル・ミス・サンシャイン」があります。2006年にサンダンス映画祭で上映され、フォックス・サーチライト・ピクチャーズが当時のサンダンス映画祭史上最高額で配給権を獲得しています。
その後「リトル・ミス・サンシャイン」はアカデミー賞で作品賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞の主要4部門でノミネートされ、助演男優賞と脚本賞を受賞。
本作「コーダ あいのうた」は、私の中では「リトル・ミス・サンシャイン」に近いイメージがあります。
特に物凄い事件が起きたりはしませんが、家族などの日常をユーモアを交えながら丁寧に描いているのです。
そして、本作は何といっても歌が良い。しかも、その演出手法も独自性があって上手いのです。
タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children Of Deaf Adults= “⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども”」を意味しています。
もっと具体的に言うと、父・母・兄との4人家族の中で、主人公の女子高生ルビーだけ耳が聞こえます。
そのような設定のため、「割と暗めな作品?」と思う人もいるでしょう。
ところが、脚本やキャストの演技が最高で、決して嫌な暗さは感じさせません。
本作は現時点ではアカデミー賞の前哨戦であるゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)、助演男優賞にノミネートされています。
「リトル・ミス・サンシャイン」のようにアカデミー賞にも期待がかかりますが、もう本作は賞レースとかどうでも良いとさえ思えるくらいの「名作」だと思います。
なので「リトル・ミス・サンシャイン」が好きな人など、本作が少しでも気になる人には是非とも見てほしい作品です。