「【”人はお互いに誰かを必要とし、助け合っている。けれど、自らの夢を諦めてはいけない。”稀有な歌の才能を持つ若き女性が悩みながらも、家族の愛に包まれて、夢に向かって生きる姿が琴線に響く作品。】」コーダ あいのうた NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人はお互いに誰かを必要とし、助け合っている。けれど、自らの夢を諦めてはいけない。”稀有な歌の才能を持つ若き女性が悩みながらも、家族の愛に包まれて、夢に向かって生きる姿が琴線に響く作品。】
ー ルビー(エミリア・ジョーンズ:スタア誕生である・・。)は、”CODA:耳の不自由な親を持つ子供”として、漁業を営む、聾唖の父、兄、そして母の手話通訳者として、家族を助けて来た。
けれど、ルビーも、明るくて、少し性生活に奔放な両親や、正義感の強い兄に深い愛情を持ち、彼らの愛に包まれて育って来た。ー
◆感想
・序盤はコメディ要素を絡めながら、ルビー一家がお互いに助け合いながら、漁業を営む姿が描かれる。
- ルビーも午前3時起きで、父、兄と一緒に漁に出るシーン。ルビーが網を上げながら歌うシーンは彼女には、歌の天賦の才がある事を、観る側に伝えている。
そして、皆、楽しそうだ・・。漁協には、鱈を高く買って貰えないこと以外は・・。ー
・ルビーの父が”インキンタムシ”になって、当然お母さん(マーリー・マトリン:聾唖のオスカー受賞者ですね。)も・・。
- この後にも、多数出てくるのであるが、かなりお下品な言葉でも、手話があるんだなあ、ビックリ。そして、その風景が可笑しくて・・。仲の良い家族とは、当たり前だが、良いモノであるなあ。ー
・ルビー一家は、漁協に頼らず、漁業を行うことを決意。今まで以上に増す、ルビーの必要性。
だが、ルビーは未だ17歳。憧れの男子マイルズが合唱クラブに入ったのを見て、自分も同じクラブへ・・。
- クラブの顧問のV先生は、少し変わり者だが、指導者としては優秀で、ルビーの歌の才能を見抜く。ここら辺の遣り取りも面白い。腹式呼吸の発声法など。
そして、V先生は、マイルズも目指すバークレー音楽大学進学を勧めるのだが・・。
この辺りから、ルビーの悩みが描かれる。夢である歌の道を進むのか、家族のために漁業を手伝うのか・・。
一方、マイルズとの仲も急接近。二人で、ルビーの秘密の池の崖から飛び込むシーン。
好きだなあ、この展開・・。-
・ルビーの家を訪れたマイルズが、聞いたもの。
それは、ルビーの両親が”合体”する際に発する大きな声であった・・。
そして、テレカクシで、ルビーの父がマイルズに手話で”兵士は帽子を被れ!”と伝えるシーン。
- クスクス笑いながら鑑賞。
アンナ手話ってあるのかな、と思って資料を見たら、”ALS”と言う手話だそうである。
しかも、世界には200もの手話が有るという・・。
(そういえば、「ドライブ・マイ・カー」でも、韓国手話があったなあ・・。)
マイルズがルビーに言った言葉が素敵で、
”仲が良い両親は、羨ましいよ。俺の両親なんか・・。”
マイルズ、良い奴である。ー
■今作の白眉のシーン幾つか。(個人的感想です。)
・ルビーが所属する合唱クラブの発表会に、両親と兄が行くシーン。最初は、”今日の夕飯はなーに?””スパゲッティよ”などと、手話で会話する両親。
だが、ルビーとマイルズのデュエットになった途端に、無音になるシーン。
ルビーの両親が、周りをキョロキョロ見ると、ハンカチで涙を拭く女性や、感激の表情を浮かべる人々。
- 映画構成として、実に上手い。聾唖の人の感覚が一瞬分かった気がする。
そして、ルビーの父が
”自分の娘の歌声は、人々にこんなに感動を与えるのだ!”と悟るシーンでもある。
そして、家に帰った際に、父がルビーに”俺に歌ってくれ”と頼み、二人でトラックの荷台に腰掛け、父は歌うルビーの首筋をそっと両手で触る。
きっと、父には、娘の心の響きが伝わって来たのであろう。-
・両親と兄(いつも、三人は一緒である。)は、娘にバークレー音楽大学を受験させるために、オンボロトラックを走らせ、会場に・・。
普段着で、劇場に立つルビー。絶妙のタイミングでV先生が登場。伴奏を買って出る。
ルビーは、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」を歌い出すが、緊張の為か精彩がない。
V先生は、咄嗟にピアノをワザとミスする。(やはり、良い先生だ。)
ルビーが審査員の上を見ると、2Fには、両親と兄の姿が・・。
- このシーンは、青春の惑いと、両親への愛を歌ったジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」の歌詞の内容が、ルビー自身の境遇とシンクロしており、更にルビーを演じたエミリア・ジョーンズの張りのある伸びやかな歌声と相まっていて・・。琴線に響いてしまったよ・・。ー
<今作は、音楽映画としても、若者の成長物語としても、家族愛を描いた映画としても、恋愛を描いた映画としても、一級品だと思った作品である。
マイルズの結果は残念だったが、”必ず次年度はバークレー音楽大学に合格して、ルビーを男として、堂々と迎えに行けよ!”と思った作品でもある。>
NOBU様コメントありがとうございます。
いやいやNOBU様に比べるとわたしなんぞチンピラですよ。
近いうちにまたレビューあげます。よろしくお願いします。