劇場公開日 2024年3月15日

「観る人を選ぶ大作」デューン 砂の惑星 PART2 Ashura5さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5観る人を選ぶ大作

2024年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

SFの定義とはSFマニアがSFと認めるかどうかだとどこかで読んだ記憶があります。
一例としてスター・ウォーズはものすごくわかり易いストーリーで大ヒットしているにも関わらず、ジャンル的にはスペースオペラ(≠SF)という位置づけとのこと。
いつの年代の(そもそも今の地球人類史時間軸の延長線にあるのかもよくわからない)どこかの惑星を舞台に、中世ヨーロッパ的な価値観や超能力や剣を使った人対人の抗争が繰り広げられるのはスター・ウォーズも同じなのですが、ともすれば資源争いが軸になってる本作のほうが遥かに非SFっぽいのになぜSFなのかと。
でもなぜか自分もコレはSFだと感じてしまったのは、おそらく原作の世界観の設定が緻密なことと、壮大で美しい画を観るだけで引き込まれる作品に仕上げたドゥニ・ビルヌーブ監督の手腕だろうと勝手に結論付けました。
御託を並べるのはこのあたりにして本編はどうだったかというと、途中まではなかなか話が進まず、もしかしてもう一作観なきゃいけないの?と覚悟しましたが、物語は中盤からどんどん加速して、主人公の成長と共にパート1で散りばめられた謎や因縁は本作でひとまずきっちり回収されます。
実はちょっとわだかまりも残りますが、原作はこの続きもあるらしいので、そのあたりを睨んだ終わり方ということなんでしょうね。
原作未読で大変な不評を買ったデビッド・リンチ版映画しか観たこと無い私には、どの程度原作に準拠してるのか知る由もありませんが、SFとしても主人公の成長譚としても楽しめますし、久々に主役の俳優の演技力に驚嘆した作品でもありました。
ただ、お世辞にもわかり易い内容でもなく、幅広い層にウケるかというとおそらくそうではないとも感じました。
最後に、実は私はその大変な不評を買ったデビッド・リンチ版映画が結構好きで、そこでかなり丁寧に描写されたいわゆるSFガジェット(パーソナルバリア、自律航行する暗殺注射器、人の呼吸活動をエネルギー源とする水循環システム、声を兵器に変える装置等々)や、抗争の元となっている資源である香料の利用形態などにSFの匂いを濃厚に感じたんですが、本作ではそのあたりの描写が全く無かったのはなぜなのかちょっと探ってみようという気になったことを付け加えておきます。

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Ashura5