ゴヤの名画と優しい泥棒のレビュー・感想・評価
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極めて庶民的な犯罪記録
某国営放送の受信料を出し渋り、映画を見に行く贅沢すら適わない年寄り夫婦。それでも何かを成し遂げたいのか売れない戯曲を書き続け、妙な政治活動をしてみたり。我々日本人も共感できる部分が無いことも無いけれど、名画を盗み出すような愉快犯に成り得るような逸材は滅多にいないでしょう。この映画の、楽しげな裁判の行く末が微罪で終わったエピソードを見終えた感じは、なかなか悪い気はしません。かといって、悪いことはしちゃいけませんがw
超大作では無いけれど、とてもコンパクトにまとまった感じの作品で、登場人物と共に軽くお茶とお菓子と一緒に鑑賞するには丁度良い映画だったと思います。肖像画の視線を生かした演出や、ちょっとお洒落な感じの良作です。
監督の姓が"ミッシェル"表記なのはなぜ? ともあれ、歴史に埋もれかけた真相の映画化に感謝。
Roger Michell監督はイギリス外交官の息子として南アフリカで生まれた英国人なので、姓の発音に近い表記は“ミッチェル”のはず(英語でのインタビューをいくつかチェックしたが、やはりミッチェルと呼ばれていた)。なぜ日本でフランス語風の“ミッシェル”表記が定着したのかは謎だ。
それはともかく、1961年に実際に起きた、ロンドンの美術館からゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた事件を題材にした劇映画だ。劇中で描かれるように、盗難発生後から、「年金受給者にBBC受信料を無料にせよ!」という脅迫状、のちの裁判の経緯まで大々的に報じられたので、事件そのものは有名な話だったらしい。私自身はまったく無知だったので、事件の経緯や裁判の行方などを新鮮な驚きをもって楽しめた。終盤で明かされる“次男が真犯人”という部分は創作かと勘ぐったが、本作の英国での公開に合わせてDaily MailやThe Sunなど大手メディアが次男の真相告白について詳しく報じているので、やはりこれも事実のようだ。ただし映画にある通り、次男の起訴は見送られたため、長らく真相は明かされないままだった。Wikipedia英語版のKempton Bunton(本作の主人公)の項によると、次男が1969年に行った証言の記録は、2012年の情報開示請求で初めて公にされたという。
ケンプトンのキャラクターは、ケン・ローチ監督作で描かれるような弱者のために奮闘する清貧の苦労人をちょっとコミカルにした感じで、憎めないじいさんだ。法廷でのやり取りでは、いかにも英国人らしいユーモアで楽しませてくれる。分割画面などのレトロな表現も粋。いいものを見せてもらった。
007が登場するとは思わなかった。
2022年3月16日(水)
吉祥寺オデオンで「ゴヤの名画と優しい泥棒」を。
大好きな「ノッティングヒルの恋人」の監督ロジャー・ミッシェルの遺作。ヘレン・ミレンが渋くて良い。
1961年、世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この事件の犯人はごく普通のタクシー運転手である60歳のケンプトン・バントン。長年連れ添った妻とやさしい息子と小さなアパートで年金暮らしをするケンプトンは、テレビで孤独を紛らしている高齢者たちの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。
1961年のイギリスはBBC(公共放送)が有料だった。日本では今でもNHKの受信料を払わないといけないが。
梯子を掛けて登って盗むって。事実は小説より奇なり。実話ベースだが、前半は少し展開が緩い。
主人公が奥さんを誘う「「ウエストサイド物語」を見に行こう、ニューヨークが舞台の歌って踊る「ロミオとジュリエット」だ」(公開1961年)なんてセリフもある。
後半の法廷シーンからは、もう絶好調、笑って泣ける。
最後のオチに「007ドクター・ノオ」が出てくるとは思わなかった。ジェームス・ボンド(ショーン・コネリー)がちゃんと振り返っているわ。あんなシーンあったっけ?全然覚えていないわ。
さすがイギリス映画、ジョークが効いてるね。
小粋なブリティッシュジョーク…
法廷での掛け合いも、そもそもの犯行の動機も。政府を小馬鹿にしたような。いや捕まることも厭わなかった位に真剣に市民の生活の苦しさ、煩わしさを政府に訴えた勇気ある行動なのだ。妻にそれはキング牧師、キリストに任せておけば良いと言われるのもわかるが、正義感、正に現代のロビン・フッドは許せなかったのだ。しかし、子供が真犯人だったとは。これも真実らしい。だとすると子供もロビン・フッド的な精神でやったのだろうか。全体的に軽いタッチで描かれ、気軽に見れる。
驚きの実話
公共放送BBCの受信料支払いについて、高齢の年金生活者や、国のために働いた退役軍人らは免除すべきと、市民運動ばかりか名画盗難事件まで起こした老人と家族の実話ベースの物語。
残念ながら見直しはされたものの、2000年には75歳以上無料を勝ち取ったのだから、市民から見れば、まさに英雄かもしれませんね。
映画だから脚色はありますが、ほぼ実話、ただ、終盤に007ドクターノーのショーンコネリーが問題のゴヤの絵を見つめる映画シーンの挿入は実に面白い、劇中でも犯人は国際的な犯罪組織とかエージェントなどと捜査官が語っていたのは伏線でしたか、用意周到、ジョークの効いた演出でした。
テレビの受信料問題
イギリス映画って時々凄いパンピーを主人公にした作品があるので好きだ。
一番テレビを観ているのは社会とのつながりのない年金受給者であり、その多くは国のために戦地に赴きその後は働いて税金を納めてきた人達であるのに、なぜ国営放送の受信料を取り立てるのか。
そこに有名画家が描いたか知らんが、おっさん貴族の肖像画に途方もない税金をつぎ込むニュース。
おかしくないか⁈
でもそれを言う人はこの父親以外いなかったようだ。
ストーリー展開のどこまでが事実そのままなのか知らないが、この有名絵画の窃盗事件がこの理不尽を世に訴える絶好のチャンスになり、実際に制度を変えることにつながったのが感慨深い…。
本当の優しさがユーモアを生む。
本作の主人公はうだつの上がらないダメ親父。
自作の戯曲をマスコミに売り込んでは突き返され、雇われては余計なことをして首になる。
家庭を顧みず、受信料を払わないなど社会に悪態をつく。
さらには14万ポンドのウェリントン公爵様を「人質」にとる始末。
そんな英国の小汚い「アルセーヌ・ルパン」は嘘偽りのない思いやりがあった。
自らが不利益を被っても、身を挺して隣人を守ろうとする様は本物の紳士だ。
それは幼少期に遭難から救われた経験からくるものなのか?
あるいは亡き愛娘に対する贖罪からくるものなのか?
彼の哲学に本物の慈悲の心を感じ取れるあるからこそ、人々は彼を慕い、厳粛な法廷も笑いにつつまれる。
この年代に生まれ、この作品が「解禁」されたことに感謝したい。
お母さんに感謝
初老なのにとんがってるとっつぁんと息子のコンビネーションは確かに流石なのだが、やはりここはお母さんでしょうね。
最後に刑務所に迎えにきてくれたシーンは、なんか、ちょっと泣けました。
もっと表現の幅を広げて欲しかった
主に主人公の目線で描かれているが、ラスト、テレビの受信料についてちゃんとした法律が作られたのは2000年とあった、出所以降、テレビの受信料問題はどのように解決されたのか、出所以降、主人公は額縁盗難の罪だけに問われたことをほんとに喜んでいたのだろうか、そこを描いてほしかった。裁判が1番盛り上がるというのはわかるが、もっと表現のしようがあったと思う
I will not cease from Mental Fight.
イングランドですよ。法廷でエルサレムが来ましたもん。「権威・権力に屈せず精神の自由を維持し闘い続ける」と言う、勇ましいイングランド魂を歌詞にした讃美歌。邦題には「優しい」なんて情緒に訴える単語が使われてたりしますが、これは「闘いの物語り」だったりします。エルサレムは英国労働党の歌であり、古くは婦人参政権を求める運動で使われた歴史もある歌。原題「The Duke」には、ケンプトン・バントン氏の闘いへのリスペクトが込められていると思う訳で。
まあ、この人は色んなもんと闘っています。黙っていられないタチの方の様ですが、おおむねは孤独の闘いだし、負け続き。妻のドロシーから見れば、ただの自己満足。まずは家族を守りなさいよ、と言う本音も真正面からぶちかまします。
政治と戯曲。とは言いながら、社会への不満と収入の無い作家の世迷言。まぁ、現在の日本にもおられます。令和の日本の方々の場合はですね、そのピントのずれ具合、と言うか、あらゆるものを曲解している姿にウンザリすることがほとんどです。その感覚でバントン氏を見てしまうと、やっぱりイタイ。闘い方も子供っぽい。終いにゃ、テロに走りそうでヤバいし。時代も時代だけに。奥方のドロシーには同情しかないです。
これがですよ。
「娘を守れなかったと後悔する男が、息子を守るために闘う」と言う流れだと判明してからは、バントン氏支持にSWが切り替わります。ラスト30分は、最高に好き。
陪審員の「Guilty」の宣言に、法廷は落胆のため息とブーイングに包まれます。そこからの「Not Guilty」の三連発は、バントン氏への共感が、いかに広がっていたのか。政府への不満が、どれだけ深かったのかを思い知らせてくれます。女性廷吏なんて、笑顔ですもん。ガッツポーズしそうな勢いの笑顔ですもんw
だって、Not Guiltyな訳ないじゃないですか。確定的真犯人でしょうがw
つまりは。陪審員達は社会正義を「Guilty」とすることを拒んだ訳ですよ。その捩れ具合はエクセレントだす!
良かった。とっても。
ちょっと途中までが心配な展開だったけどw
The Duke
いかにもイギリス映画っぽさ全開の映画。ユーモアに富んだテンポ良く展開する台詞と元になったという史実がイギリス映画らしさを演出していて良かった。ここ何年かはこういったコメディ映画をなんとなく避けていたが、久しぶりに見てみると心がスッとした気持ちになる。こんなご時世だからなのだろうか。
1961年。深夜のナショナルギャラリーから、かの有名なゴヤの作品が盗まれた事件がこの映画の軸なのであるが、そこに至るまでの背景こそが主題なのである。それは現代にも通ずる貧富の差がもたらす社会問題。昨今の日本も同じである。政治に精通していない私ですら「そんなことに税金を使いますか?」と言いたくなる局面は多い。誰かが現代美術館からアンディ・ウォーホルのマリリン・モンローを盗んだとしてもこの映画のようには済まないだろうが、SNSでなんらかの問題に対して声なき声を挙げる人々はよく目にする。弱者が強者に声をあげて変化を求める構図はどの時代にも通底しているのだ。
そしてほんのり家族愛を感じさせるサイドストーリーも描かれており、映画のラストは少し涙を誘う場面も。自分の夫が「国営放送の受信料支払いを拒否した罪」とはいえ何度も刑務所に入っていたら呆れて見捨ててしまうだろうか。自転車事故で娘を亡くした過去や、息子たちとの向き合い方などの問題を抱えながら長く連れ添ってきたケンプトンとドロシーは、ちょっとやそっとじゃ壊れない絆を結えていた。お互いの思想が必ずしも合致していなくとも、「あなたは私、私はあなた」なのである。
英国ノリについていけず
予想を超えた面白さ・感動はなく、
イギリスジョークについていけず。
そして盗んだの息子かい!
裁判での感動返して、、、
2022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨
今年観た洋画の中では、この作品が今のところ一番楽しめた作品ですね。
イギリス映画好きは、見逃し厳禁です!笑
主人公ケンプトン・バントンの語るユーモアに終始ニヤついて、何だかとてもハッピーな気持ちのまま、あっという間に観終わってしまいました。
そして…
「あなたが私で、私があなたで…」の話。
人を一つのブロックに例えて語られる話に、主人公ケンプトンの優しさが溢れ、ちょっとした笑みと涙がホロっと流れました。
いやぁ、いいお話でした。
超オススメ!(笑)
約50年前のイギリスに『NH○をぶつ壊せ』の元祖的人がいたとは 👏
本編始まるとともに、1960年代の映画によくあったオープニングクレジット(タイトル、出演者、監督、etc)デザインで、当時の懐かしい今見るとオシャレな感じに見え、音楽も粋なスイングJAZZでスタート(エンドロールも同様)。本編一部映像分割など当時観られた映画手法有りで、また音楽も当時のJAZZやポップな曲が使われ、ノスタルジックに描かれ、懐かしさとともに映画に引き込まれていきます。ドラマは、ゴヤの絵画盗難からの展開で、時代背景をうつしながら、ほがらかな人間関係や、社会背景、粋な法の解釈など織りなすドラマです。本当にあった話でBBC放送受信料が、映画主人公悲願の無料化実現が2000年、75歳の制限あるものの、かなったと案内されます。オシャレなノスタルジー、ホンワカな映画でした。
★Digital5.1ch観賞
★重低音 ─
★分離度 ○
★音圧 ─
★移動音 ─
★サイド、後、─
★サラウンド ─
前スクリーンの 左、中央、右 のみの分離はあるものの、60年代風だすため、当時の立体音響的映画でなく、一般モノラル音声映画のように(スクリーン側のみSTEREOですが)、客席サラウンドは仕様しなかったのでしょう。
1960年代に実際に英国で起きた事件をベースにした、一つの家族を巡る人間ドラマが描かれます。
盗まれた名画をめぐるお話。+ヘレン・ミレン。
となると、どうしても「黄金のアデーレ」を連想。
どうやら「盗んだ側」が中心のお話らしい。
「黄金のアデーレ」は良作だった、と思い出しつつ
この作品の内容か気になって鑑賞することに。
◇
出だしからしばらくの間。
なんとなく単調な展開が続く感じ。 むむ
人間関係も何となくぎくしゃく。 うむむ
正直、緩めの展開に眠気を誘われながら
前半途中までは観ておりました。 zzz ぐぅ
そんな折
国が14万ポンドで買ったゴヤの名画「ウェリントン公爵」が
ギャラリーに展示されるとのニュースが。
そんな金があったら
何千人かのBBC受信料をタダにできるのに…。
そう考える父。
そしてある日
家族の暮らす家のクローゼットの中に
「ウェリントン公爵」の絵が…。 なぜだ~
絵がひとりで歩いてくるハズも無く
どうやら、「父」が盗んで持ち帰ってしまったらしい。
そして色々な所に身代金の要求をし始めるのだが…。
結局
父はキャラリーに絵を返しに行き、逮捕される。
母は父の犯罪を嘆き、家族はお終いだと悲しむ。
そんなある日
息子は母に打ち明ける
「盗み出したのはボクだ。父さんじゃない」
最初は息子が父を庇っていると思った母。
話を聞いていく内に、その話が真実であることを知る。
「父の裁判を見届けなければ」
そして裁判
裁判は陪審員制だった。
自分のした事が有罪か無罪かを問われる問いかけに
父は答える
「ナット ギルティ (無罪だ)」
・絵は盗んだのではなく、借りたのだ
・最後は返すつもりだった
・実際、自分で返しにきた
自分のした事への想いと動機について
法廷を舞台に熱弁を揮う父。
はたして陪審員の下した判決は…
◇
前半途中までの単調にも思えた展開は
この裁判の場面の盛上がりに向けて
ワザとそうしていたのではなかろうか などと思えるくらい
見事綺麗に収束しました。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■BBCの視聴料
不払いで刑務所行きって う~ん
なんかこう怖い国のイメージができてしまう…
■刑期3ヶ月
額縁を盗んだ罪で 「受刑3カ月」
これって重すぎるような気がしたのですが (素人考えです)
今の日本なら執行猶予付き?
■返せば盗難ではない(?)
当時の法律がゆるゆるだったようで
この作品のように
「借りただけ」
の理屈が通ったようなのです。 へぇ
今は
「展示場所から持ち出せば窃盗」
となるようです。 そりゃそうだ
◇最後に
ところどころで「差別」の場面が出てきました。
1960年代のイギリスでのこと。
人種? (イングランドとアイルランド)
宗教? (プロテスタントとカトリック)
階級? (上級市民と下級市民)
調べてみたのですが、
はっきりとした事は分かりませんでした。
当時の時代背景を理解した上でだと
もっと違う感想もでてくるような気がします。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
吹き替えでイギリスの放送局の名前をnhkにしチェー wwww
はいどうも小学生なのに受信料の恨みがあるガキです。
あのねイギリスの公共放送の🇬🇧受信料についての実話これ日本のnhkにもこうゆうことしてほしいな
これ作る時ゆうきいるんじゃない公共放送信者に批判されるかもしれんから てゆうかこういうの日本で作ってほしいだが日本の技術力(映画の)じゃダメかなww
このおじさんとてもキニッタそして脅しをかけた金しか考えない女の人イライラする
みんなを助ける心忘れないでください皆様
ではnhkの集金人が来たらこう言いましょう昭和頭のテレビ局いらね〜
私のお父さんもnhk払っていません。見て無いんで
Nhkアンチみなさんモニターにしましょうテレビでなくてネットフレックス
Amazonプライム ニュース見たい人はAbemaTV安倍晋三ではありませんAbemaTV
テレビ見たい人はティバーーを見よう
NHKせめて500円にしましょう
みんな知ってるnhkの社長 内閣総理大臣の給料より高いの内閣総理大臣より仕事大変なのかな
ておもちゃいますよね
今の時代においてテレビはネットテレビ放送は俺が大人になる頃には潰れて流のかなめっちゃお楽しみですね
てゆうか最後の裁判サイコー裁判も少し笑いながらするべきそうすれば少し緊張をやわらぐ
最後の裁判の人無罪と言った瞬間ないたよ
めちゃくちゃいい映画だった
僕の夢総理大臣ですから未来に向かって頑張る
あと忙しくて投稿出来なくてすいません
私は映画好き小学生🎬
次は何見よう
では皆様良い映画の旅を
また次でお会いしましょう
せいのせいでNOnhk
not guilty hut-trick
犯罪とは何か。
芝刈機を返すのを遅延することか、法で裁けない他国への侵略か、パキスタン移民を公然と差別する事か。
1961年という時代、ケン・ローチより先に市井の生き辛さや権利を声高に訴える人が居たこと。
犯罪は犯罪なんだろうけど、マシュー・グード演じる弁護士が生い立ちや思想を問う形の被告人弁論からのnot guilty hut-trick で思わず泣いてしまった。
また、この夫婦が長年パンドラにしてきた娘の悲劇についても、ヘレン・ミレンが向き合うラストもとても良かった。
名作でした。
最後のエピソードが
終始まったりと物語は進み、一応良い話のはずではありますが、
途中高齢お父さんの職場クビになったけど奥さんに言えず外で時間つぶすとか、作家をめざして戯曲を出版社とかに送っても送っても不採用とか、わりと悲哀が、でも何故かそれがちょっと明るく漂う不思議な映画でした。
娘さんの不慮の事故は、つらいけどなんとか少しずつ乗り越えられそうで良かった。
そして最後、ようやく2000年になってから75歳以上の受信料が無料になったとあり割と遅いんだな、でもお父さんの願いが叶って良かった、と思っていたら、
最後の最後のエピソードで
「しかし主人公の戯曲が上映されることは一度も無かった」
というくだりで終わり。。。
いやいや、そんな主人公落として映画終わらせなくてもいいやんかー!!そんな厳しいこと言わんといて〜!!と脚本家にツッコミ入れたくなりました(笑)
美術館のセキュリティがかなり昔だからギリ盗めたんだな〜と思いますが、ほのぼのコメディー寄り一応お父さん頑張ったし理解ある行動派の息子で良かったし、お母さん本当によく耐えて頑張りましたね、という映画でした!
(ストーリーのネタバレはなし/法律的なお話の不足部分の補足がネタバレになるため)
今年57本目(合計330本目/今月(2022年2月度)29本目)。
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この50分前に「劇場版 DEEMO サクラノオト」を見ていますが、アニメ作品にレビューの需要はないと思うので飛ばします(私が見に行ったのは、私が15までエレクトーンをやっていた事情もあり、音楽系アニメは一定程度興味があるからです)。
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さて、こちらの作品…。痛快なおじいちゃんのおとぼけ枠か…と思いきや…。
実はムチャクチャ難しいです。
というより、日本では中高では民法や刑法なんて扱わないし、誰もが法学部に行かないし、ましてや誰もが司法試験だの行政書士試験だの取得しているわけではない(この2つ+司法書士とあわせて、登録者数でも日本では11万人)ので…。
ここのレビュー的にはストーリーというより、「趣旨がマニアックすぎて、ラストが理解しづらい」という点について「のみ」触れます。
また、私も行政書士試験レベルの水準で、見た後に色々大阪市立図書館で調べた結果がこれで、これ以上求めるとなると、もう「●●県弁護士会か何かで見に行くんですか?」「連れていく方なりが全員が全員弁護士の方ですか?」というレベルにしかならないと思います…(司法「書士」試験では刑訴法は触れないし、行政書士試験では刑法の初歩しか触れない)。
ここで「ネタバレあり」でやっているのは、「解説するととても5000文字で収まらない」「書くと結局ネタバレになってしまう」という特殊な映画であるという点につきてしまいます(年に1回はこういうのってありますよね…)。
よって、ストーリーの説明は他の方もされているので、私はもっぱら、触れられていない点について補足を入れる形にします。
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▼ (減点0.3) 下記のように、「7割でも正しい理解」をするためには相当な知識があることが前提で、それがないと誤った理解に飛ぶ点がかなり怖いです。
▼ (減点0.2) 他の方も書かれていましたが、字幕の日本語がよくわからない点が多いです(中盤あたり、どこかのコンビニか何かで馬券?を買うらしきところ「連続式馬券」って何なのだろう…?)。これがさらに「肝心となる法廷の部分」でも入ってくるので、字幕を諦めて英語で聞き取って後から調べる…という二重の作業が待っています。
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▼ 本映画を見るにあたって必要な知識(大阪市立図書館などで調べた結果)
● イギリスの法体系
・ これは中学校でも習いますが、イギリスは「基本的には」不文法の国です。要は「コモン・ロー」がはたらく国です。しかし、特に人の自由を奪うような(日本でいう刑法に相当する)条文が不文であるというのはまずいというのも事実で、20世紀に入って、「よくある犯罪類型」に関しては、ごく最低限の法が成文として作られるようになりました。
● 「懲役3か月」にいたったポイント
・ この映画自体は実在する人物を描いたものなので、大阪市立図書館含めて相当な資料が残っています。そしてこの裁判の資料も当然残っています。
ここで弁護士が主張したのは「盗難法(原題:Theft Act)(1968年版)」の11条「公共の場所からの物品などの持ち去り(remove)」です。「持ち去り」であれば、いずれ「返す」ことを意味し、実際に映画内でもその通りです。つまり、弁護士はこれを根拠に処分されるべきと主張したのです。当時は「一般法廷では5年以下、略式起訴裁判なら6か月以下の懲役か罰金」という緩い規定(当時は一般法廷か略式起訴かで法定刑上限が変わっていた模様)で、おそらく(映画では厳密に書かれていませんが)略式起訴で3か月(上限6か月に対して)というのは、これではないか、と思います。つまり、裁判所側からみると「法の穴を突かれた」ということになります。
● そのあと、BBCはなぜ主人公を訴えなかったか
・ 刑事事件と民事事件は違いますので、刑事事件で有罪・無罪となって切り離して、民事で責任を問うことは(時効などの制限をクリアする限り)可能です。つまり、「刑事事件は解決したけど、BBCのブランドに傷をつけるな」という方向にもっていくことは可能です。
しかし、BBCからみればこの主人公を敵に回すともっと「面倒くさい」話になることは当然想定できていたので、「面倒なことになるから」やらなかったわけです。
● 最後の「真犯人」が出てきてからの短いやり取り
・ ここは2つの論点があります。
「起訴便宜主義」 日本でもそうですが、刑事事件に関しては、仮に刑法などに触れるとしてもそれを基礎するかどうかは公的機関(日本では、検察)に一任される、という制度のことです。特に「帰責性が低い」事件について発動されることがあります(運転ミスなどでも、相手側の責任が非常に強い(相手側が酒酔い等、回避手段がないか乏しい場合)など、一方だけを起訴するのが通念上妥当でないというようなとき)。
「世間を喜ばせる事件(映画内では cause celebre )」 仮に起訴すれば、その元被告人としてこの映画の主人公をまた、裁判所の証言人として出してくることになります。しかしBBCが国営テレビであるように、国にとっては「もうこれ以上彼とは関わりたくなかった」わけで、また「BBCを無料にしろ」とか裁判で言われても困ってしまいます。このような場合(起訴することで、必然的に国にとって都合が悪かったり、面倒なことになる場合)、「世間を喜ばせる事件/証人」として、起訴そのものが回避されたり、起訴内容を変えて「都合の悪い人が呼ばれないようにする」手法が取られます。
これが映画内で述べられている「面倒なことになるから」という部分です。
※ 日本でも、某宗教のガス事件で、起訴にあたって「起訴するなら、服役している証言人を証言者として法廷に出すことが必要になるが、そのほうがかえってアピールの機械を与えてしまうのは問題ではないか」という点が問題になったことがありますね。
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実際に起きた事件なので、大阪市立図書館のレベルだと簡単にこのようなことはわかりますが、そこまで調べられる図書館も大都市にしかないですし…。
正直ムチャクチャマニアックなストーリーでした、というお話。
いやぁ、2月最後になってここまでマニアックなのが来るとは思いませんでした…。
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