「I will not cease from Mental Fight.」ゴヤの名画と優しい泥棒 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
I will not cease from Mental Fight.
イングランドですよ。法廷でエルサレムが来ましたもん。「権威・権力に屈せず精神の自由を維持し闘い続ける」と言う、勇ましいイングランド魂を歌詞にした讃美歌。邦題には「優しい」なんて情緒に訴える単語が使われてたりしますが、これは「闘いの物語り」だったりします。エルサレムは英国労働党の歌であり、古くは婦人参政権を求める運動で使われた歴史もある歌。原題「The Duke」には、ケンプトン・バントン氏の闘いへのリスペクトが込められていると思う訳で。
まあ、この人は色んなもんと闘っています。黙っていられないタチの方の様ですが、おおむねは孤独の闘いだし、負け続き。妻のドロシーから見れば、ただの自己満足。まずは家族を守りなさいよ、と言う本音も真正面からぶちかまします。
政治と戯曲。とは言いながら、社会への不満と収入の無い作家の世迷言。まぁ、現在の日本にもおられます。令和の日本の方々の場合はですね、そのピントのずれ具合、と言うか、あらゆるものを曲解している姿にウンザリすることがほとんどです。その感覚でバントン氏を見てしまうと、やっぱりイタイ。闘い方も子供っぽい。終いにゃ、テロに走りそうでヤバいし。時代も時代だけに。奥方のドロシーには同情しかないです。
これがですよ。
「娘を守れなかったと後悔する男が、息子を守るために闘う」と言う流れだと判明してからは、バントン氏支持にSWが切り替わります。ラスト30分は、最高に好き。
陪審員の「Guilty」の宣言に、法廷は落胆のため息とブーイングに包まれます。そこからの「Not Guilty」の三連発は、バントン氏への共感が、いかに広がっていたのか。政府への不満が、どれだけ深かったのかを思い知らせてくれます。女性廷吏なんて、笑顔ですもん。ガッツポーズしそうな勢いの笑顔ですもんw
だって、Not Guiltyな訳ないじゃないですか。確定的真犯人でしょうがw
つまりは。陪審員達は社会正義を「Guilty」とすることを拒んだ訳ですよ。その捩れ具合はエクセレントだす!
良かった。とっても。
ちょっと途中までが心配な展開だったけどw
ひゃー、そうなんですか!恐るべし定冠詞。貴族の爵位も軍隊の中の色んな名称(こういう言い方しかできないだけで何も知らないことお分かりですよね、すみません!)も知らず関心ないので、ただ阿呆のように「へー😑」となるのが残念です!
そもそもこの映画そして絵画の題名"Duke"の役割や意味がわかってないとだめですね。調べもしなかった!bloodさんのレビュー、ありがとうございます!