「1960年代に実際に英国で起きた事件をベースにした、一つの家族を巡る人間ドラマが描かれます。」ゴヤの名画と優しい泥棒 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
1960年代に実際に英国で起きた事件をベースにした、一つの家族を巡る人間ドラマが描かれます。
盗まれた名画をめぐるお話。+ヘレン・ミレン。
となると、どうしても「黄金のアデーレ」を連想。
どうやら「盗んだ側」が中心のお話らしい。
「黄金のアデーレ」は良作だった、と思い出しつつ
この作品の内容か気になって鑑賞することに。
◇
出だしからしばらくの間。
なんとなく単調な展開が続く感じ。 むむ
人間関係も何となくぎくしゃく。 うむむ
正直、緩めの展開に眠気を誘われながら
前半途中までは観ておりました。 zzz ぐぅ
そんな折
国が14万ポンドで買ったゴヤの名画「ウェリントン公爵」が
ギャラリーに展示されるとのニュースが。
そんな金があったら
何千人かのBBC受信料をタダにできるのに…。
そう考える父。
そしてある日
家族の暮らす家のクローゼットの中に
「ウェリントン公爵」の絵が…。 なぜだ~
絵がひとりで歩いてくるハズも無く
どうやら、「父」が盗んで持ち帰ってしまったらしい。
そして色々な所に身代金の要求をし始めるのだが…。
結局
父はキャラリーに絵を返しに行き、逮捕される。
母は父の犯罪を嘆き、家族はお終いだと悲しむ。
そんなある日
息子は母に打ち明ける
「盗み出したのはボクだ。父さんじゃない」
最初は息子が父を庇っていると思った母。
話を聞いていく内に、その話が真実であることを知る。
「父の裁判を見届けなければ」
そして裁判
裁判は陪審員制だった。
自分のした事が有罪か無罪かを問われる問いかけに
父は答える
「ナット ギルティ (無罪だ)」
・絵は盗んだのではなく、借りたのだ
・最後は返すつもりだった
・実際、自分で返しにきた
自分のした事への想いと動機について
法廷を舞台に熱弁を揮う父。
はたして陪審員の下した判決は…
◇
前半途中までの単調にも思えた展開は
この裁判の場面の盛上がりに向けて
ワザとそうしていたのではなかろうか などと思えるくらい
見事綺麗に収束しました。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■BBCの視聴料
不払いで刑務所行きって う~ん
なんかこう怖い国のイメージができてしまう…
■刑期3ヶ月
額縁を盗んだ罪で 「受刑3カ月」
これって重すぎるような気がしたのですが (素人考えです)
今の日本なら執行猶予付き?
■返せば盗難ではない(?)
当時の法律がゆるゆるだったようで
この作品のように
「借りただけ」
の理屈が通ったようなのです。 へぇ
今は
「展示場所から持ち出せば窃盗」
となるようです。 そりゃそうだ
◇最後に
ところどころで「差別」の場面が出てきました。
1960年代のイギリスでのこと。
人種? (イングランドとアイルランド)
宗教? (プロテスタントとカトリック)
階級? (上級市民と下級市民)
調べてみたのですが、
はっきりとした事は分かりませんでした。
当時の時代背景を理解した上でだと
もっと違う感想もでてくるような気がします。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
もりのいぶきさん、コメントありがとうございます。パキスタンの若者だけお昼休み休憩早めに切り上げて仕事に戻らされてたんですよー。それであの愛すべき正義感のおじいちゃんが上司を正しく批判したんです!
日本でも子どもへの躾で「お箸!」「膝!」「肘!」とか名詞で叱りますね😊