「嘘だろう、本当に実話なのかと疑う映画。」ゴヤの名画と優しい泥棒 いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
嘘だろう、本当に実話なのかと疑う映画。
物語を面白くするために、いろいろ脚色はしているだろう。ユーモアとブラックユーモア及びペーソスもあって、よく出来た脚本だ。
今年の誕生日で67歳となる。今は人生100年時代となり、私もそうだが同級生達もまだ働いている人が多い。実際に起こったゴヤ盗難事件の1960年代初期に60歳を迎えていれば、もう完全な老人だ。
おそらく労働者階級出身で、満足な教育も受けていない。独学で教養を身につけたみたいだ。十五歳でコンラッドの「闇の奥」に感動しているなんて早熟だ。だが、残念ながら文才には恵まれなかった。早死した妹或いは前妻を思い、戯曲を懲りずに創作している。
生活は苦しく、年老いた妻も家政婦として働いている。老人の楽しみである国営放送テレビの有料制度に憤りを覚えて、ゴヤの油絵盗難事件へと展開してゆく。まぁ、これには裏があるけど。
根っからの善人なので、その主張は納得できる。私が知っている老人にも、やることがないので仕方がなくテレビを見ている人がいる。まだ、テレビも創成期で今と違って面白かっただろう。
陪審員制度だから、このような判決が下ったと思うが、信じられない評決だ。その後日談にしてもイギリスは成熟した国だと感じた。
007のドクターノオ(たぶん、自信はありません)にこの絵が使われているなんて気づきませんでした。
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