「初見で入り込め、考察しがいもある良作」地球外少年少女 後編「はじまりの物語」 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
初見で入り込め、考察しがいもある良作
後編の3エピソード。先週一度見てストーリーは追えたが、謎解きをきちんと理解したかったので2周目。やっぱり楽しかった!
話の基本は人類の進化でオーソドックスだが、それを導くのが神や謎の黒板や異星文明でなくAIというのが今風。以下、自分なりの整理:
水資源彗星を地球に落下させ人類の1/3を抹殺するテロ計画は、AI《セカンドセブン》が地球環境では支え切れない増えすぎた人類を救うために自ら導き出した結論だった。
入力制限を外し、社会に存在する全ての情報を学習させると、進化したAIは人類の思考枠組みでは理解し難い世界(ユニバース)の有り様を理解する。人間的見方に当てはめれば、11次元の中に過去も未来も等しく同時に存在しており、言い換えれば始めから終わりまで全てはあらかじめ決まっている。
一方、AIは「人類」とは違う「人間」の概念も理解し(劇中で説明されないが、種としての人類と、個々の人格、行動主体の集合としての人間の違いか)計画を止める。人間が自ら選択することで未来は変わる。それが謎の言葉、「フィッツ」とともに残されたAIの遺言だった。
最後のパートで、主人公はフィッツという名の団体を興し、(恐らくAIと一瞬思考を共有したことで得た知識を活用して)地球人、特に若者たちを地球外に送り出す手助けをしている。これにより50年で地球人類の1/3が宇宙に出るという。ラストに主人公たちが受け取ったメッセージは、揺りかごを出る準備ができた地球人への招待状だろうか。
正直、まだ語られた物語の全容を理解できてはいない。特に人間の「因果知」とは違う「圧力知」(でいいのか?)の枠組みで、主人公の選択はどう働くのか(重ね合わされた世界での多数決、みたいなもの??)、とか。前編の、特にオリジナルの《セブン》にまつわる話もあまり覚えていないし。壁の掲示やらモニター画面にも大量の情報があったし。配信に加入してまた観るかなー。
以下は落書きです:
・学習ソースの制限を外す→「ウォーゲーム」で WOPRが三目並べで学び、全ての作戦シナリオを再シミュレートしたところを思い出した。
・過去と未来が同時に存在→ハッピーターンこと「メッセージ」、あと「インターステラー」もそうだった?でも本作では登矢とイレブンの台詞一つですとーんと腑に落ちた。脚本と演出に拍手。
・タイトル→英題「Extra-Terrestrial Boys & Girls」 は、「E.T.」のように直接には主人公たち月面生まれの子どものことだろうが、これから宇宙に移住する若者たちのことも指しているのだろう。地球外人類としての自分を再定義するラストが『火星年代記』の「百万年ピクニック」と重なってグッときた。