「何を思い、どう考えるかは人それぞれ」やがて海へと届く マッチョさんの映画レビュー(感想・評価)
何を思い、どう考えるかは人それぞれ
どんなに考えても決してわからない人間の内面を描いた物語であると同時に、地震(津波)が大きく関わる作品となっている。また、真実が直接描かれていないため、鑑賞者の解釈に委ねる部分が多い。テーマが難しく様々なことを考えさせられる作品だと感じた。
真奈(岸井ゆきの)とすみれ(浜辺美波)の意味深長な表情がとても良く、物語に大きな効果をもたらしていると感じた。
すみれは他人に明るく振る舞うことができるため、他人からすると社交的な性格のように感じる。しかし、他人に合わせる(チューニングする)ことで自分の想いをあまり伝えられずに気疲れしてしまうこともあるのかなと考えた。また、「やりたいことがあっていいな」や「どっかに行きたいとも思わない」というすみれのセリフ等から、すみれは心に闇のようなものを抱えて生きているようにも感じた。
「1人の人間が行方不明であること」や、「1人の人間が自殺したこと」に対して、関係性(親友、家族、恋仲)やその人間の印象(頼りになる上司、過度な八方美人な上司)によって事の重大さ、感心の度合いは全然異なるのだなと感じた。
(よそから来た人間が新しく店長に就任するシーンにおいて)組織から1人の人間がいなくなったところで、組織には影響があまり無いことは分かるが、「1人いなくてもなんとかなっちゃう」というまなの言葉はとても哀しかった。
個人的に、「怖いけど生きてる」「みんな知らないうちにいろんなこと押し付けてる」「みんな傲慢」「自分のことを守るのに必死」「ムダなことを減らしていく」「自分が思っているよりずっと強い人だよ」という言葉が印象に残った。