「ドキュメンタリー風映画なのではと疑うほどドラマチック」世界で一番美しい少年 とくこさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリー風映画なのではと疑うほどドラマチック
ベニスに死すで知って以来私の中でも伝説の美少年として君臨していたビョルン様のドキュメンタリー映画です。
絵画のような圧倒的美貌と脚光の後にこんな人生があったなんて、こんなことを言われていたなんて、こんな風に感じていたなんてと凡人として生まれた私には想像もできない苦悩と孤独が描かれていて、オーディション映像で脱がされているのを見て能天気ににやけてしまった自分を恥じました。
性的搾取の苦しみに男女間のギャップは無く、全ての人間に配慮が必要だと実感。
ビョルン様のお母様の遺書の言葉、娘さんの言葉…どれも重く、切なく、心が震えます。
ミッドサマーでご自分の死体人形を楽しそうに写メる姿が微笑ましく、彼が「タジオ役の人」ではなく「ミッドサマーのおじいちゃん」と呼ばれるようになったことに、不遜ながら安心というのか…喜びを感じました。
美しさは罪ではない。しかし、美しさは嫉妬を呼び、悪を誘い、非現実的な永久性を求められます。
ルッキズムの被害は容姿の劣る者だけではなく、優れている者にも及ぶことをこの映画から学びました。
ビョルン アンドレセンのファンや映画ファンに限らず、ルッキズムで苦しむ方にも見てほしい一作です。
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