「日本人も大きく関わった美少年俳優のドキュメンタリー」世界で一番美しい少年 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
日本人も大きく関わった美少年俳優のドキュメンタリー
『ミッドサマー』('19)で夏至祭のシーンに登場するロングヘアの老人が、実は『ベニスに死す』('71)で美少年タジオを演じた人物の50年後の姿だった、と言われてもピンと来なかった映画ファンのために、このドキュメンタリーはオススメだ。
その人物、ビョルン・アンドレセンが15歳で巨匠ルキノ・ヴィスコンティの目に留まり、性差を超えたアイコンとして突然注目され、特にこの日本で、スウェーデンからやって来たブロンドのアイドルとしてもてはやされ、もみくちゃにされ、消費され、興味本位で使い捨てられていくプロセスが克明に描かれるからだ。
そこには、シンデレラボーイ、シンデレラガールと呼ばれた人たちが辿る壮絶に暗い宿命のようなものが横たわっていて、見慣れた風景とは言え、少々複雑な心境になる。
しかし、日本人も大きく関わったアンドレセンの人生が、66歳を迎えた今、こうして公的に語られるまでになったことに少なからず安らぎを感じる。それが、ややドラマチックに描かれすぎる本ドキュメンタリーを観た正直な感想だ。
コメントする