静謐と夕暮
劇場公開日:2022年1月8日
解説
これが長編デビュー作となる梅村和史監督が2019年度京都造形芸術大学映画学科の卒業制作として手がけ、2020年・第44回サンパウロ国際映画祭でも上映された作品。写真家の男が川辺を歩いていると、川のほとりで衰弱している老人に、何やら原稿の束を渡している女性の姿を目にする。翌日、再び男がその場所に行くと、その原稿を読んでいる人々がいた。そこには、原稿を老人に渡した女性が書いたと思われる、この川辺の街での日常がしたためられていた。一方、ある日いつものように川辺にやってきた女は、見知らぬ黄色い自転車と川辺に座る男の姿を見る。数日後、男がアパートの隣室に引っ越してきて、女の部屋に夜な夜な男が弾いているらしいピアノの音が聞こえてくるようになる。男の生態が気になった女は、黄色の自転車に乗っていく彼の後をつけていくことにするが……。主人公の女性カゲ役を新人の山本真莉が演じ、キーパーソンとなる老人役を入江崇史が務めた。
2020年製作/136分/日本
スタッフ・キャスト
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夜の河川敷の高架下、そこで暮らしていると思しき咳の止まらない老人に若い女性が原稿用紙の束を渡すところに遭遇したカメラを持つ男、と始まって行く話。
この原稿を書いた若い女性の同行をみせることを軸に進行して行くけれど、あちこちにシーンが飛んだり、時系列が弄られている風だったり、回想にみえるところがあったり…スクリーンに流れているものは、彼女の視点?時々出て来るカメラを持つ男の視点?もっと外の第三者の視点?その時々で違うのか、誰の視点でもないのか…。
登場人物が結構多いけど、会話は殆ど無いし、台詞も相当少ないし、更には引きでしか映らなかったり特徴が無かったりする人もいて、誰が誰だか、繋がっているのかいないのか、群像劇なのか1本の話なのか、判った様な判らない様な。
不思議な空気感という訳でもなくて、ただただまったりタラタラと退屈な日常の一部を繫げて流されているだけの様な感じで、誰?何があった?どうしたい?何で?という感覚の連続。
エンドロールで説明されたけれど、それを聞いてもふーんとしか感じられず。
忘れるということは悪では無いし、それだけのモノだったでも、不要になったからでも良いのではないですかね。
2022年1月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
136分、じーっと観てきても腑に落ちなかったのに、もらったポストカードの言葉が全てを語っていた。誰かの中の日常にいる"私"は、確かに存在しているはず…。
言葉は少なく、生活音と溢れる声がこの世界の主役。しかしながら、言葉が多くの情報を生み出してくれる訳だから感情の行方が見つからない。でも何故か嫌いになれない。その空気を初めて吸うのに懐かしい気がしてくるから、嫌いにならない。ポテトサラダ、少年野球の声、手持ち花火…。何もかも愛嬌がある。
その一方でやはり136分は少し退屈。1つずつ丁寧に練られているから捨てきれなかったのかもしれないが、ちょっと眠くもなる。だが、それによって生み出される余韻みたいなモノは確かに合ったので、悪くは写らなかったかな。
もっとどういう物語なのか知っていれば楽しめる部分も多かったのかなと思う。でも、その未知な感じがインディーズって感じで嫌いになれない。