「凄まじい作品!劇場で今すぐに見るべき!」BLUE GIANT ailer777さんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじい作品!劇場で今すぐに見るべき!
ライブが素晴らしいのはもちろん脚本もとても良かった。四分の一をライブシーンが占めているにも関わらず10巻を2時間にまとめるのは至難のわざだったと思うがけしてストーリーを外すことのない完璧な取捨選択がされていた。成長や葛藤を玉田、雪祈にふり宮本大を超人的なキャラにすることで仙台エピソードをバッサリカットしても初見にも全く問題のない話運びになっていた。一瞬挿し込まれる過去のワンシーンもまともな理解力の有る観客なら察しがつくだろうし原作ファンにはサービスにもなっている。スピーディな展開でも彼らが壁にぶつかり血が滲むような努力する様はしっかり描かれているから見ているこちらはどんどん思い入れが深くなる。己の傲慢さを指摘されそれを受け入れ内臓がひっくり返るようなソロにたどり着いた雪祈、ハイハットすら知らないど素人からはじまり天才二人に挟まれながらスティックがボロボロになるまで練習を積み重ねた玉田、氷を触っているに等しい真冬のサックスを永遠と吹き続ける狂気のような情熱をジャズに傾ける宮本、そりゃ彼らが大舞台に立ってあんな凄まじい最高の演奏すれば涙腺崩壊します。あのキャラ、音楽の熱量の原作完全再現(個人的には原作以上)といっていいライブをみたらCGがどうのなんてどうでもよくなる。ドラッギーな演出もジャズという感じでたまらない。爆音と映像で脳みそが揺さぶられるようだった。CGのような明らかにマイナス点もあるがその他の要素があまりにも素晴らしすぎる。映画とは総合芸術でありアニメ映画としては落ちる部分があったとしても音楽映画として、ライブ映像としては最高なのではないだろうか。CGが−50点、その他の要素5億点なのでもう無いようなものだ。
最後の改変もクライマックの盛り上がりをラストに持ってくるには雪祈が一人でso blueに立つよりも効果的だし、その結果大舞台に立てないまま終わってしまう彼の救済としては素晴らしい演出だったと思う。観客としてもトリオでの演奏で気持ちよくエンドロールを迎えることができた。つまらないリアリティよりエンターテイメントとしての完成度を優先させた制作陣には拍手を送りたい。