「絵が音に負けていた」BLUE GIANT とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
絵が音に負けていた
原作が大好きだから歯痒い、もっと"玉田"しろよ!鳥肌立つようなものを期待していたけど鳥肌は立たなかった…けど音楽は鳥肌モノ!! ジャズは勝ち負けじゃないけどジャズで勝つソー・ブルー
"神作画"とか言われる時代に古き良き日本の手描きアニメって感じで、それはそれで全然良かったのだけど、ライブシーンになると途端にイベントムービーでも始まったように作品から浮きまくり、髪もヅラみたいに浮きまくりな質感のっぺりヌルっとCG3Dが足を引っ張りまくりで、ずっと気になった。小手先のテクニック(=技術)じゃなく、もっと線ブレブレでもいいから頑張って手描きで突っ走って、確かな熱量と生命力を感じるようなライブシーンが個人的に見たかった。そこでせっかくの"音"のダイナミックさを活かした映画館ならではのライブ感が台無しになっている部分があった。
映像的な演出が各話ごとに満載で素晴らしい原作コミックから、内容自体がいいのは分かりきっていることで、本作をわざわざ映画化する上で製作サイドが目指したことも、それ以上だと思う。その点において主要3人のボイスキャスト声優陣は良かった。キャストとキャラクターが重なるシンクロしているようで、このキャスティングが成功しているのを感じた。本作の映画化にあたって何より心配だったのは、"あの素晴らしい濃厚さをどうやって2時間にまとめるのか?"ということだったけど、そこは流石原作の担当編集者兼ストーリーディレクターNUMBER 8。原作を読んでいた泣いてしまった父親や兄のシーンなど地元パートを切り、東京に行くところから始める英断で、大体きれいにまとめていたと思う。けど流石に最後のあれは…絶対に重体じゃないだろ。何より上原ひろみさんのスゴさを遺憾なく感じる!!
ここからは余談。やっぱり"宮本"姓は強いな〜。本作の宮本大はもちろん、「宮本から君へ」の宮本や、リアルではエレカシの宮本浩次と。本来は玉田のような共感性高い、感情移入しやすいキャラクターを主人公にすべきである。だけど日本では本作やルフィのように、ひたすら真っ直ぐな主人公に惹かれてしまう気質がどうやらあるようだ。それはやっぱり日本人には無いものだからだろうか…?