ラーゲリより愛を込めてのレビュー・感想・評価
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書き遺された言葉と実話の力
山本幡男さんは、本作で描かれたエピソードのほかに、収容所内での同人文芸誌や壁新聞の作製、アムール句会の主催、俘虜によって旗揚げされた劇団の脚本執筆など、周りの人たちを励ますための活動をかなり積極的に行なっていたようだ。
それを踏まえると、山本さんが周囲を巻き込んで行なった活動が結構端折られている印象を受けた。映画の尺の問題などで仕方なくそうしたのかもしれないが。
元の実話や原作が心を動かすものであるほど、映像化によって何が削られ、何が付け足されるのかが気になる。そこから映画ならではの感動が生まれることもあるし、がっかり感が生まれることもある。
上に書いた実際のエピソードをもっと入れれば、山本さんが現地であそこまで慕われるようになったことにもっと強い説得力を持たせることが出来たのではと思った。句会で互いを俳号で呼び合うことで軍隊式上下関係が薄らぐ話など、きちんと織り込めば山本さんの功績がもっと鮮明になった気がする。
ボールを作ってみんなで野球をした、新谷に文字を教えた、という映画の主要エピソードだけでは、「流れでそうした」感が出て、実際の山本さんの功績の力強さを伝えるには不十分ではないか。
キャスティングについて。遺書を届けに来る順番のトリは、役者の技量で考えれば安田顕か松坂桃李にした方が締まった気がする。松田の語りが冒頭のナレーションに繋がっていることを考えると、松坂桃李をトリにして2022年には飛ばず、実話の後日談のナレーションでも入れてサクッと終わる方が好み。
ニノは何を演じても、よくも悪くもニノくささが抜けないなあと毎回思う。常に猫背だからか、口調のせいか。個人的には役によって雰囲気をがらりと変える俳優が好きだけど、ニノはそこそこの頻度でよい作品に出演するので、なんだかんだ彼の出る作品を観てしまう。
不満めいたことをつらつら書いたが、クライマックスで朗読される遺書の文面には胸を打たれた。熱い家族愛は70年の時間の隔たりなど関係なく心に迫る。自分までが山本さんに「幸せに生きよ」と励まされているような気持ちになった。
彼が書き遺した渾身の言葉たちに、俳優の演技と声で命を吹き込むために本作が作られたと言っても過言ではないだろう。
ラーゲリ 嫌ダ モーイー
不自然なほど綺麗な作品でした。
まずはダメ出しです。実話なのに映像にリアリティが無く、こういうのは綺麗ではいけないのです。もっと怖くて汚かった(多分)。歯もピッカピカの白い歯が揃ったままの姿では説得力がありません。
犬のクロが船を追いかけてきた場面もシチュエーションが不思議でした。いつ何処から追いかけていたのか、何故あのタイミングで現れたのか、どのように考えたら辻褄があうのでしょうか。
良いところもあります。四分割された遺書、自分の全ての家族を失った男が山本の家族全員へ、自分の母を失った男が山本の母へ、山本から字を教わった男が山本の子ども達へ、自分の妻を失った男が山本の妻へ、上手かったです。
ラストの回想シーンを冒頭に繋げたり、海辺のプロポーズシーンも伏線回収していて、何もかも上手すぎて驚きます。
終盤、感動シーンを重ねてくるため、私の防衛は突破され、泣きたくなりました。そう簡単に男は泣くものではありません。従って、松坂桃李さんはじめ、泣いている男達の迫真の演技は無駄な努力に見えました。登場人物が泣くのではなくて、観客を泣かせましょう。
希望を持ち続けることの意義
号泣です。
戦争が如何に悲惨なものか。終わったはずなのに、いつまで続くのか。どんなにたくさんの人が同じ想いをしたことか。
普段はあまり見るジャンルの映画ではないのですが、テレビ地上波放送ということで、録画しての鑑賞です。想像以上でしたね。最初からドップリ惹き込まれ、後半は泪が止まりませんでした。
【ネタバレ】
家族と離れて、一人シベリアの収容所に捕らわれることとなった山本幡男(二宮和也さん)。いつか日本で家族に再会することに希望を持ち続け、人間らしく生きる事を貫いて、周囲の人々に影響していく。
保身のために山本さんを裏切ることとなった上官の原さんをを安田顕さんが魅せてくれます。
当初は自分の卑劣さを恥じ、山本さんを遠ざけていたが、その人柄に魅了され、良き理解者となっていく。余命僅かとなった山本さんに遺書を書かせ、それを家族に届ける事に使命を感じる。
語りべの役割も担う松田さん(松坂桃李さん)。いつも、遠巻きに見つめながら、山本さんに心酔していく。
母親宛の遺書を読み上げるところでは、出兵中に亡くなった自身の母を重ね、ホンっと切なかった。
最初、気が付かなかったんだけどシンさん役のケンティがまた良かったですね。
兵士でもないのに収容された、ちょっとおバカを魅せてくれる。その明るさで、山本さんも救われていたんじゃないだろうか。
桐谷健太さん演じる相沢さん。根っからの軍人で、最初は嫌な奴全開だったけど、山本さんに生命も救われて、心酔していく逞しい男を魅せてくれました。
出兵中に身重の妻を亡くすなんて、ホンっと切ないったらありゃしない。
妻役の北川景子さんがメチャクチャ素晴らしかった。
子供4人を抱え、優しい逞しさを見せてくれる。そして、夫を想う時の可愛らしい表情がたまらない。それ故に、悲報を受け取った時の嗚咽には、心底共感して泪が止まらなかった。
やつれていく山本さん(二宮和さん)がホンっと切なかった。メイクの力もあるんだろうけど、演じたニノには、心底驚かされました。
最後には、家族の再会を期待していただけに、え〜、こんな終わりかよって感じで、亡くなったときはショックでしたが、遺書を伝えに行く仲間たちには心底感動しました。もしかしたら、この遺書を届けるということが彼らの新たな希望となっていたのかもしれない。
戦後の捕虜収容所?を描くことによって、より一層戦争の悲惨さを実感し、反戦映画として大いに心に刻まれる一本だと思います。
これが実話だってのが、なお切ない。
残酷と希望
実話に基づいたこの作品。
生きることの尊さ。
「よーく覚えておくんだよ。こうして久しぶりに家族全員でいられること。みんなの笑顔。美味しい料理。ハルビンの午後の日差し。」
今、周りにいる人への感謝の気持ちをわすれないで居たい。
そして、当たり前の日常を当たり前だと思わないようにしたい。
soranji
ありえないほどに
きりがない本当に
無駄がないほどに
我らは尊い
ミセスの楽曲がこの映画をより引き立てていた。
ラーゲリ=旧ソ連における強制収容所(抑留地)より愛を込めてというタイトルも秀逸
ラーゲリ→残酷
愛→希望
まさにこのタイトルを一本の動画にまとめてくれた。
残酷さが描写として欠けている部分があるかもしれないが、届けたいメッセージは残酷さではなく、愛や希望であるからこの描写で良かったように思う。
何度でも観たいと思える良作だった。
素敵な作品をありがとうございます。
力流の悲劇は家族にも
地上波のテレビ番組で観ました、日本の戦争が終わってからも遠い国で一人でも多く日本へ帰そうと奮闘した人がいた事に日本の普通が今でも80年一度も戦争が無い事を嬉しい思います。戦争が終結し繋いだ平和を今度は私が繋ぎたいです。
ラブレター・フロム・シベリア
おざわゆきの「凍りの掌」という、父親のシベリア抑留を描いた漫画を読んだが、本当に過酷だった。飢えと寒さで死ぬのも悲しいが、生きて帰れた人たちのトラウマも、大変なものではないかと思う。
そんな極限状態で、人間の尊厳を維持できるのか。できるんです。二宮演じる山本幡男だけは。自分のことだけで精一杯の状況で、人の心配をし、ソ連兵に意見する。殴られても、独房に入れられても、不死鳥のように蘇る。最初は呆れたり、関わらないよう避けたりしていた周囲の人たちだが、彼に一目置くようになる。彼が言う「ダモイ=帰国」を希望に、生き延びようとする。
病気になり、シベリアで死んでしまった山本の、家族に宛てた遺書。なんとしても、彼の家族に伝えたい。紙に書いたものは、ソ連兵にスパイと疑われ、検閲で没収されてしまう。では、どうすればよいのか。記憶だ。頭の中は検閲されようがない。四人の男が、分担して遺書の文章を暗記することとなった。帰国後、山本家に順不同で現れる男たち。山本の言葉を、生き様を、精一杯伝わる。これは涙なくして観られない。
俳優はみな力演だったが、すべて持っていったのは、犬のクロだろう。なんて賢いんだ。かわいい〜。
TBSの放送を視聴。
諳んじたもの
雲ひとつない空
家族への思い
母への思い
妻への想い
子供への願い
愛を込めて
手紙が伝えたのは、きっと大きくて愛に溢れたひとつの温もり。
諳んじる、とは一字一句違わず覚えるという意味だそうです。
中学生の頃に途中で断念したこの映画。
感動しました。覚えた文をひとりひとりが言いにくるシーン。母、妻、と、その言いにきた者たちの境遇に沿っていたのが上手いなと感じました。
よく覚えておきなさい。よく諳んじておきなさい。
雲ひとつないこの空を。
希望を失わないことの大切さを教えてくれた
泣いた。実話を基にしており、最初の方はしんどいシーンが多かった。というか割とずっとしんどかった。
犬が走ってくるシーンで涙がボロボロ流れてきて、遺書を読むシーンはもう本当にやばかった。
感動させに来てるのに、それで心が冷めないというか、自分は泣かせに来てる映画だと逆に泣けなくことが多かったが、勝手に涙が出てきた。
元々ミセスが好きでこの映画も気になっていたが、この映画を見てから主題歌のSoranjiを聴くと歌詞の意味がわかり、さらに泣けた。
ラスト、遺書を届けるシーンで落涙😢
コロナ禍で公開されたので、行こうと思いながら行けなかった作品がサブスクに沢山ありますね。これもそれらの中の一つ。
主演の二宮和也は演技に定評がありますが、この作品でもその演技力が光ります。っていうか、テレビでみる姿と、映画での演技が違いすぎるんですよね。なんなんだろうね、あの人は。っていうか、名優って、そう言うもん??
それに加え、終盤に出てきた安田顕がいい味出しています。終盤のキーマンかもしれないですね。
実話を下に描かれていますが、事実と映画では多少の脚色がある様です。
過酷な環境の中でも、希望を持つことが大切だと山本さんの生き様を通して気付かされた映画でした
以前から気になっていた、実話を元にした映画を鑑賞。
物語としては、第2次世界大戦後にシベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜が、零下40度にもなる過酷な環境の中でわずかな食糧だけで重労働を課せられ、命を落とす者も続出していた。
そんな中、この物語の主人公である山本幡男は日本にいる妻や子どもたちの下へ帰れると信じ、周囲にいる人々を励まし続けていくことで、多くの捕虜の心に希望の火を灯していく。
実話だけに、過酷で厳しい環境の中で主人公の山本幡男さんのように、希望をもって生きていく姿に感動しました。こういう生き方はとても大切だと、山本幡男さんの姿を見て感じました。
最後4名の方が、山本さんの遺書を覚え家族に伝えるシーンは、涙が溢れてしまったのと、ご主人が生きていると信じ気丈に頑張っていた妻が、ご主人が亡くなった電報を見て泣き叫ぶシーンも胸が締め付けられ、改めて戦争の悲惨さを実感しました。
こういう方々の犠牲の上で、日本は平和に過ごせているのだと思うと、戦争は絶対に避けなければいけないと痛感した映画でした。
タイトルなし
戦争怖いな、あんな世界がやっぱりあったんだな、と再認識する映画だから、仕方ないんだけど。泣くしかないんだよ。
あ、このままニノがソ連で死んじゃうんだって気づいた時思い出したのが原題。「ラーゲリからの遺書」だったよ…遺書だよ…死んじゃうよ…(泣)会えないよ…。
で、遺書って言葉にまた気づいたのは安田顕が家に来た時。まさか…遺書を記憶から読み上げるとは。ラーゲリの過酷な生活も分かるし、中身が家族それぞれにあてた気持ちに溢れた文章なのも分かるし(泣)
最後に「実話です」も思いだして、また涙しました。
ニノはきっとアカデミー賞だな。作品賞もあるかも。それくらい、内容からも取り上げないといけない作品かと感じた。
もう一回観るのは、辛いかもな(泣)
希望を捨てない
戦争が終わっても、こんな境遇にいた人たちがいたんだなと。贅沢なんて言わない、ただ家族に会いたいというそれだけなのに。帰りたいのに帰れない、いつ帰れるかもわからない。希望を持ち続けるのは難しくて、山本さんのように人間らしく生きられることは本当に尊いことだと思う。
山本さんのおかげで、心を救われた仲間がいて、その仲間たちのおかげで、形を変えて家族のところに帰れたんだね。
愛する人を待ち続けた家族。また会えると信じ続けるのは難しい。強く生きた奥さん、頑張った。
遺書の分割はうまかった。各人のこれまでのことが担当部分と重なって、やられたという感じ。
俳優の皆さんも素晴らしかった。
ニノの演技は味があるね。山本さんの人柄がよく表現されていて、最後は本当に死んじゃいそうだった。
安田顕さんの最初の廃人感もよかったし、一等兵じゃなくて山本と呼んだ桐谷健太もよかった。
ケンティーに似てる人いるなと思ったら本人でびっくり。いつものキャラとは全然違って、いい意味でオーラが無く映画に溶け込んでいた。
北川景子の泣き叫ぶシーンもすごかった。
ミセスの主題歌も良い。
人生で一番感動し泣いた映画
『ラーゲリより愛を込めて』
『ラーゲリより愛を込めて』は、第二次世界大戦後、シベリア収容所での過酷な日々を生きる日本人抑留者たちと、その家族の愛情や絆を描いた作品です。この映画は、戦争の無情さとともに、人間の強さ、愛、尊厳といった普遍的なテーマが深く掘り下げられており、見終えた後には心に強い余韻が残ります。
希望を持ち続ける人々の姿
この映画が印象深いのは、主人公がどれほど過酷な環境に置かれても希望を持ち続ける姿勢です。収容所という極限の状況にあっても、仲間と励まし合い、家族との再会を夢見て日々を生き抜く姿勢に、心を打たれました。人間が持つ根源的な生命力や希望の強さが描かれており、「希望があるからこそ生き続けられる」というメッセージが強く伝わります。
私自身も、ビジネスの中で幾度かの困難や逆境を経験してきましたが、こうした厳しい環境に置かれた人々の「生きたい」という想いに比べれば、自分の困難がいかに小さなものかを考えさせられます。彼らの希望を持ち続ける姿勢には、学ぶべきものが多く、自分の人生にも取り入れたいと感じました。
愛と友情が支える強さ
収容所では、仲間同士の支え合いが何よりも力となります。この映画では、仲間との友情や助け合いが丁寧に描かれ、逆境の中で他者を思いやる心がいかに人を強くするかを感じさせてくれます。私もビジネスの中で、人との繋がりや信頼関係がいかに大切かを実感してきましたが、同じ方向を見て励まし合う仲間がいることで、厳しい環境でも前向きに進む力が湧いてくるのだと改めて感じました。
映画の中で登場人物たちは、それぞれが家族や愛する人の存在に支えられています。その描写からは、愛が人を前へ進ませ、困難を乗り越えさせる力があることを深く実感しました。愛や友情が与える力の大きさを感じさせられる映画であり、私自身も今後どのように周囲と支え合いながら進むべきかを考えさせられました。
家族との絆が生きる希望に
映画の中で、主人公をはじめとする収容所の仲間たちが家族への想いを糧に生き抜こうとする姿が描かれています。この映画を通して、家族の絆が人に与える力の大きさを再認識しました。人は愛する人や家族のために強くなれるものであり、どんなに厳しい環境にあっても、その絆がある限り前に進む力が湧いてくるのだと感じました。
私はこれまでのビジネス活動を通じて、家族や大切な人々との絆が仕事におけるモチベーションを支える大きな原動力になっていると感じてきました。この映画の家族愛は、日常の中で当たり前に感じている家族の存在を改めて大切にし、感謝すべきだと気づかせてくれます。
まとめ:普遍的なテーマが心に響く
『ラーゲリより愛を込めて』は、戦争という悲惨な背景の中で、愛と希望の力を描いた感動作です。この映画を通じて、人間が持つ強さや、愛する人と共にいることの尊さ、仲間との絆がもたらす力を改めて実感しました。戦争は決して繰り返してはならないものであり、それでも人々が希望を持ち続けられるのは、家族や仲間の存在があるからだというメッセージが、強く心に響きました。
私も今後、日々の生活や仕事の中で、家族や仲間との絆を大切にしながら、どんな困難にも立ち向かっていこうと思います。
タイトルなし(ネタバレ)
シベリア抑留について初めて触れる機会となり衝撃的だった。マイナス20度で重労働を課し、何人も亡くなってきた姿を見て呆然とした。
最後まで希望を捨てない山本の姿に心を打たれた。そしてその山本の生きる強さを一緒に生活するにつれて、仲間が感じ取って、受け継いでいく。言葉で繋いでいく美しさ。
泣けるところも多くあったが、北川景子の母として凛々しくあろうとするが、耐えきれず、美しい顔を崩し泣き喚く様子で一緒に泣いてしまった。
ハッピーエンドで終わってくれたらなぁ。現実はそう甘くないよね。
学びもあり、俳優さんたちの魂を震わす演技に感動した。見てよかった〜。
終戦後も家族に会えない辛さ
タイトルを見た時、ラーゲリという言葉が花の名前だと思ってたら、ロシア語で収容所だと知ったのは映画を見てから。
終戦後にも関わらず、ロシアから帰れず、ろくな食事も寝床も無い。
あまりにも劣悪な環境にも関わらず、主人公は楽しそうに歌を歌ったりして、ずっと楽観的に見えた。
年月が過ぎても帰れない。ロシア国内を移動するだけ。
主人公は希望を持って生きていたのに、待ち受けていたのは病気。
何もかもが救われない中で、最後はラーゲリを共にして、日本に帰ってこれた仲間から主人公が遺した遺書を家族に伝えに行く。
すごく辛くて涙無しでは見られませんでした。
少し気になったのはロシアで一緒にいた犬が船を追って流氷の中泳ぐところは少し不思議でした。
うん、
重くつらい話だったけど、実話ということもあり見入った。
しかし、マイナス10度、20度、それ以上のなか、あんな顔を出してて、顔やノドが凍らないのか、気になった(笑)
ハッピーエンドだったらよかったけどなー。
最後も、遺書を分割して覚えて遺族に伝える、という、すごい展開。
最後は、確かに見ててせつなかった。
北川景子がかわいくキレイだった。
話が微妙に違うお話。
話が微妙に違う。
この主人公は立派な社会主義者だった。外語大学に入学して社会主義活動で逮捕、そして、退学になるような筋金入りの信念のしっかりした社会主義者である。この映画で言えば、壇上に立って仲間を吊るし上げる側の立場だったはずだなのだ。
では、何故『ダモイ』出来なかったか?
原作者が現場を見ていた訳ではないし、この映画の演出家が真実を分かるはずもない
映画や『原作』を参考に僕が推測する。『ソ連にうまく使われた。』若しくは、『日本には帰ることが出来ない』と彼自身が自己判断した。と言う事だと思う。
さて、日本国はソ連からの帰国者を社会主義者と恐れた事は事実である。レッドパージに関係する松川事件、三鷹事件、下山事件がそれで、ソ連から帰国した兵隊が国鉄の組合運動と関わって、ソ連のスパイとされた。言うまでもなく、朝鮮戦争とアメリカの遺物なのだろう。もっとも、主人公は同胞を吊し上げするような人間ではなかったので、後世にこう言った心温まる話として残っているのだと思う。
しかし、一方で中国のハチ◯ウ軍に所属して『日本軍と戦ったと言っている親方が国鉄の中にいた』と我が亡父は言っていた。この映画の同胞を吊し上げする側の人なのかもしれない。
しかし、
この映画ではソ連に抑圧される主人公ばかりを描いているが、誰もソ連の虐待行為を観ていないし、一般論で言えば、ロシア語の喋れる貴重な人材を、ソ連がほおって置くわけがない。ましてや『人民教育』と称して、社会に左翼運動を広めるオルグであるならば、彼は間違いなくソ連にうまく使われたと見て間違いない。
さて。このストーリーの1年後にグルジアのスターリンが亡くなり、その1年後にウクライナのフルシチョフが台頭して、日本とソ連は国交が結ばれた。ロシアとウクライナの争いがあっても、ロシアとの国交が断絶したわけではない。
日本はアメリカと日米安全保障条約を結ぶことになるが、主人公が遺言に残した平和な社会に日本はなったのだろうか?そして、なっていくのだろうか?
俳優さんたちが輝く名作
アマプラで別の戦争ものをみて落胆していたところそのまま流れたので鑑賞。これは私ごときが四の五の言う必要なし、とにかくみて損がないと思った。ストーリーとしてはそこまで輝かないが、俳優さん達の上手なこと!(一部の演者が雰囲気を壊していたが)途中からシンプルな人間模様の描写になるため、個々の俳優さんの力量差がもろに出てくるが、ほとんどの俳優さんの演技力が凄くて改めて「売れてる俳優さんには理由があるなぁ」と感心しました。特に初めて安田さんと北川さんが対面した時のお辞儀の場面の素晴らしい演技に鳥肌が立った。素晴らしい作品をありがとうございます!
美談の陰で埋もれてしまった知られざる犠牲者たち
本作は戦後80年近い今でもよく知られているシベリア抑留について事実に基づいて描かれたドラマ。なぜよく知られているかといえば日本人が被害者だからだろう。日本人が加害者である事実はこの国ではなかなか語られることはない。
本作は終戦間近、条約を一方的に破棄したソ連の満州侵攻により、それに立ち向かい敗れた関東軍の生存者が捕虜としてシベリアの強制収容所に送られるところから始まる。
大まかなストーリーは不当な抑留生活の中、帰国への希望を捨てず皆を励ました山本氏の姿が描かれ、最後には喉頭がんで亡くなった彼の遺書を仲間たちが当時の収容所の検閲から逃れるために内容を記憶して、遺族のもとに送り届けるという「ペルシャンレッスン」を彷彿とさせるとても感動的な実話による物語だ。
ただ本作はそのタイトルからして大衆受けを狙った娯楽作品なため誰にでもわかりやすいテレビ演出が使われている。このようなファミリームービーに細かいことは言いたくはないがさすがに映画を見ようと入れた気合がすべて削がれてしまった。要所要所で、はい、ここは泣くとこですよ、はい、ここは感動するとこですよと、終始なめられてる気がした。
映画館にわざわざ見に来る観客は映画を見ることだけに集中するので映像から登場人物の微妙な心理を読み解こうとしたり、テーマを探り当てようとするわけだけど本作はそんな鑑賞者に解釈の余地を与えてくれない。自分で見て考えるということをさせてくれないのだ。白々しい演出を見せられて見ているこちらが恥ずかしくなるくらいだ。だから本作は映画を見るのではなくテレビのスペシャルドラマを見る感覚で見た方がよかった。
本作で描かれた事実自体は感動的な内容であることは間違いなく、書籍か何か別の媒体でこの事実に触れられたら良かったと思う。
本作はシベリア抑留を扱っているので当然捕虜の日本人は被害者として描かれている。しかし戦争全体を俯瞰してみれば戦争を始めた時点でどちらが加害者だとか被害者だというのはなくなる。強いて言えばどちらも加害者でもあり被害者でもある。殺した相手は誰かの父親であり誰かの息子である。殺した人間も誰かの父親であり誰かの息子なのだ。
戦争を始めた途端、どちらが正義、どちらが悪なのではない。すべてが悪に染まるのだ。白と黒の絵の具が混ざり合い灰色になるように。
当時のソ連は全体主義のスターリンの時代(日本も終戦迎えるまでは同じく)。終戦後でありながら捕虜に強制労働を強いるというのは明らかな国際法違反であり、その国際法違反を隠すために捕虜から情報が洩れぬよう収容所では執拗に検閲が行われた。
確かに当時のソ連の行いは日ソ中立条約を破棄しての参戦も含めて国際法違反である。それを声高々に非難する人は多い。だが、日本側も独ソ戦開始の時期に戦況次第ではともすれば中立条約を破棄してソ連に攻め込もうとする計画もあった(関特演)。
ひとたび戦争になれば取り決めた条約や法などといった秩序なんてものは霧消してしまうものだ。国際法違反だなどという批判は言い出せばそれはたちまち自分たちにも帰ってくる。
先の大戦での日本軍による真珠湾攻撃は手違いがあったとはいえ事前通告がなされず国際法違反と非難された。フィリピン侵攻でマッカーサー率いるアメリカ軍を撃退した時も米軍捕虜や現地人たちを収容所までの長距離を徒歩で移動させて多くの死者を出した、いわゆるバターン死の行軍である。また泰緬鉄道建設では過酷な労働を強いて多くの捕虜たちを死なせた。開戦時アメリカ在留邦人の強制収容だけがよく話題になるが、日本でも同様に敵国人は収容所に入れられ何人もが帰らぬ人となった。劇中にも描かれていた中国人捕虜を銃剣での殺傷訓練に使用したこと、北九州大学捕虜生体解剖事件などなど。
米軍による東京大空襲などの無差別爆撃、日中戦争では日本軍も重慶で無差別爆撃を行った。アメリカは二度原子爆弾を投下した。
これらすべてが国際法違反だ。そしてそれこそが戦争の真の姿だと言えるだろう。合法的な戦争、きれいな戦争などというものはない、ひとたび戦争を始めたらそれはすべてが醜い、関わった人間はすべて加害者となる。
この実話をもとにした作品には描かれていない多くの事実があった。それはシベリア抑留された日本軍兵士の中には多くの朝鮮人もいたということだ。抑留された日本兵60余万の中に数千人の朝鮮人がいた。
当時の朝鮮半島は日本による植民地支配下にあり、日本軍の戦況悪化に伴い朝鮮の人々も多く徴兵された。ソ連軍と戦った関東軍には多くの朝鮮人がいて、彼らも同様に収容所送りとなった。劇中の通り敗戦後でも日本軍の階級が温存させられたため彼らは日本人兵士よりもより過酷な状況を強いられた。
一等兵が軍曹から嫌がらせを受けるシーンが劇中あったが彼らはその一等兵以下の扱いを受けていた。そして解放後も彼らの受難は続く。彼らが故郷に戻ったころにはすでに祖国は南北に分断、ソ連の影響下にある北朝鮮と敵対関係にあった。
彼らはソ連から戻ったということでスパイとして疑われ長年名誉回復されず、肩身の狭い人生を強いられることになる。
確かに本作で描かれた物語は人間の尊厳を描いた美しい物語である。しかしその美談の陰に多くの知られざる犠牲者がいたのも事実だ。
ちなみにソ連の収容所だけでなく、戦時中大日本帝国による強制動員でサハリンに送られた朝鮮の人々は終戦後日本人ではないという理由でそのまま置き去りにされたという悲劇も忘れてはならない。最近の報道ではこのサハリンでソ連侵攻に伴いスパイとして疑われた朝鮮人の人々が現地の日本人に虐殺されるという事実も明らかになっている。戦争の当事者は常に被害者であると同時に加害者であることは忘れてはならない。
最近特攻を題材にした作品が大ヒットしたという。戦時中の悲劇がただ娯楽作品として消費されてる実態には少々複雑な思いに駆られる。確かに作品を見て感動するのはいいことだけど、感動したといってそれで終わってしまうのは残念だ。できればこういう作品を見ることで知られざる歴史を紐解いていくきっかけになればいいと思う。
それでも希望はあった
日本の敗戦が濃厚になった時に中立条約を破り、日本に戦争を仕掛けてきたソ連。
そして捕虜になる軍人と一般人。
ラーゲリと呼ばれる収容所に連れてこられて、過酷な環境下での労働を強制される日々。
そのような中でも生きる希望を捨てず、良いものは良いと言い、駄目なものは駄目だと言える教養と勇気。
仲間を思いやり、見捨てない優しさ。
収容所職員に暴行を受けても、虫が湧く牢獄のような営倉にぶち込まれても、曲がることのない精神力。
生きるにはどんなに小さくても希望が必要だという信念と実行力。
過酷な労働に耐える体力。
そして、共に生き、頼る事が出来る仲間たち。
どれか一つ欠けても、この結末には至らなかっただろう。
この先を生きられない。そして妻子に会えない悲しさ悔しさは計り知れない。
それでも、貴方はそこで生きていた。生きていたんだ!希望を持って、生きていたんだ!
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