ラーゲリより愛を込めてのレビュー・感想・評価
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ラーゲリよりの愛を受け取って
戦後のシベリア抑留を描いた本作。重い内容ですが、ただひたすらに家族を想う一人の日本人の愛と希望の物語として、戦争やシベリア抑留の知識皆無でも全く問題なく、観る者の心に強く響きます。
ストーリーは、第二次世界大戦後、シベリアに抑留され、強制収容所(ラーゲリ)の過酷な環境下で重労働を強いられていた日本人捕虜たちの中、愛する家族の待つ日本に必ず帰ると、希望を捨てずに信念を貫く山本幡男の姿が、諦めかけていた仲間たちの希望の支えとなっていくというもの。
実在の日本人捕虜・山本幡男を元にした作品ということですが、彼の生きざまがただただすばらしかったです。どんな逆境にあっても決して希望を失わず、笑顔を絶やすことなく前向きに生きる彼の姿が、観る者の感動を誘います。それは、収容所にいた山本の仲間たちにとっても同じです。必ず生きて帰って愛する家族に会うという希望、それを決して諦めないという強い意志、いつでも穏やかに仲間に接する彼の姿が、周囲に笑顔をもたらし、生きる支えとなり、シベリアの大地で凍てついた仲間の心を緩やかに溶かしていきます。仲間たちにとって山本の存在は、いつしか生きる希望そのものになっていったのだと思います。
そんな彼らが、病気に倒れた山本にきちんと診察を受けさせようとソ連軍に直訴するあたりから、涙が止まりませんでした。単に山本のための行動というだけでなく、卑怯者と自らを責める松田、戦争で人の心をなくした相沢、兵士でもないのに囚われた新谷、保身のために仲間を売った原たちの変容を絡め、重層的に描き出します。山本のまいた希望の種が、仲間たちの心で芽吹き、大きな力となったことが伝わる印象的なシーンでした。
それが、さらに引き揚げ後のシーンに収束する展開に激しく心揺さぶられ、嗚咽しそうになりました。四人の仲間たちがそれぞれに山本の言葉を家族に届ける姿、それを受け取る家族の姿は、今思い返してもまた泣けそうです。この「愛」と「希望」のバトンリレーは、山本から仲間へ、仲間から家族へ、家族から次代の家族へ、そして本作から観客へと、確実に引き継がれたように思います。私もラーゲリよりの愛を確かに受け取りました。
主演は二宮和也くんで、穏やかながら芯の通った山本幡男を好演しています。妻・モジミ役は北川景子さんで、戦後の混乱期でさえ困窮した様子のない美しさに神々しさを感じるほどでしたが、夫の帰りを待つ姿、その訃報に慟哭する姿が胸を打ちます。脇を固める、松坂桃李くん、桐谷健太さん、中島健人くん、安田顕さんらも渾身の演技で盛り立てます。
ソビエトロシアの蛮行を忘れてはならない。
シベリア抑留を実際に経験した方のお話しを
聞くことが難しくなったいま、この事実を後世に伝えるという意味で意義ある映画。舞鶴の引き上げ記念館にも以前いきました。実際の抑留生活はこの映画でみる何百倍、何千倍も過酷だったと思います。その筆舌に尽くし難い辛苦に耐えて帰国を果たした方、望郷の思いの中、極寒のシベリアに倒れ今もシベリアの大地に眠っている方々を想うとき、言葉が出てきません。日ソ中立条約を無視して、国際法を踏み躙って、己の欲望のために国家ぐるみで行われたこの犯罪を、ソビエトロシアを許すことは出来ません。更に樺太、8月15日が過ぎてからソ連軍が蹂躙し奪った北方領土、そこで行われたソ連兵による掠奪、暴行、性的暴行、殺人を許すことはできません。日本も悪かった?馬鹿な!この件に関して非はロシアにのみ存在します。そして、同じことを21世紀の現代でもウクライナで行っているロシアとは何なのか。日本に連帯の意思を表明し、北方領土問題に言及したゼレンスキー大統領に対して、迷惑だみたいなことをいう政治家がいることにも怒りをかんじます。
20年前根室を訪ねて、北方領土の元島民の方のお話しを伺ったことを思い出しました。国後島から樺太の強制収容所に連行され強制労働を強いられた、当時小学生だった彼女の話は衝撃でした。映画の感想ではなく、ロシアへの怒りを
吐露する文になりましたが、史実を忘れない為にこの映画は必要です。
シベリア抑留で亡くなられた全ての方々に黙祷。
あっだめだあと3回泣くところある
2022年劇場鑑賞289本目。
予告でなんとなく展開はわかるし、戦争の話の割に北川景子は小綺麗で違和感あるし、二宮和也もそんなに好きな俳優じゃないし戦争の話だし全然期待できないなぁと思って鑑賞。
なるほど、山本さんの人間として大事なものを守りつつ希望も持ち続けるその姿が周りにも希望を与えていく姿は胸を打ちます。まぁでも大体ラストに向かって道筋ができたかなと思ったところで想像を超えた、しかししっかり伏線が張られていた展開に涙があふれ始め、止まった頃にいよいよ泣き所がスタート、しかもその頃には後3回この後泣くのが分かっているという、あまり体験したことない予告泣きをくらいました(笑)
しかしソ連の時代から根拠なき抑留という戦争犯罪をおかし、今またウクライナに戦争犯罪を犯して新たな犠牲者を出し続けているロシアはこの映画を観て恥を知って欲しいですね。
戦争とはこんなにも理不尽なのか
ものすごいキャンペーンというか番宣出演をニノや松坂桃李が頑張っていたし、予告だけでも撮影の過酷さも感じられたので観てみたのですが、感情を揺さぶられました。
収容所の酷さ、シベリアの酷寒、ソ連軍の日本兵捕虜への態度は想像はつきますが、日本兵の中で軍曹と一等兵の階級がまだ続いてたり、帰国したいがために仲間を売るようなこともあったのですね、多分本当にあったことなんだろう。
想いやりや赦しで仲間と関係を築いていく山本は最後、こんなにも仲間から思われるようになる。
妻に何も伝えられなかった元軍曹、手紙を書けるとなった時にそれまでどこか冷めていたのに急に必死にものすごい勢いで母親に手紙を書いた一等兵、自分を敵に売ってしまった同じロシア文学を愛する恩師、文字を覚えて初めての手紙が収容所からの手紙という青年捕虜、彼らの思いと山本の遺書に込められた思いに観ているこちらの涙腺を崩壊された。
北川景子の慟哭も、夫が遺してくれた言葉が癒やしてくれる過程の描き方も感動的だった。
最後に
ほぼセリフもない捕虜にも名の知れた俳優さんがいたり、収容所のメンバーの皆さんの姿が作品に与える影響も大きくて、それだけに寒さや泥、痩せたりすることも本当に大変だっただろうな、だから映画を観るのはやめられない。
演出過剰だしあり得ないことの連続で
何で遺書をリレー朗読するのか?
あの披露宴のコロナ対策は必要なのか?
何で捕虜の歯が真っ白で健康的なのか?
なんかもう全部が作り物。実話をファンタジーにして大失敗した悪い例。
引いて見てた。特に演出が過剰で押しつけがましいにもほどかある。
これジャニヲタが高評価付けてるだけだよ。
終わってからも戦争は続く。
終戦時、硫黄島にいたニノが、実は満州にいてソ連の捕虜になってたのかぁ〜。なんてね。
これ実話が元の話だったんですね。本当にシベリアに抑留されて10年以上も?あんな寒い所でずっと労働なんて無理〜!逃げたくなっちゃうし、死にたくもなっちゃうよな。途中、帰国できそうになって、こりゃ何にかあるなと思っていたら案の定。
それにしても山本さん、かなり変な人だと思う。だってシベリアに連れて行かれる貨車の中でアメリカの曲を歌ってんだよ。いくらいい曲でも敵国の曲だよ。周りの人間はイラッとするでしょ。それからのブレない生き様がカッコいい。人の生きる理由とは?自分の哲学を信じて貫き通す。本当に凄い。自分としては周囲とぶつからない様にしたくなるはずなので、松坂桃李君演じる松田の目線に大共感でした。他にも出てくる人達は皆んな重要な存在。最初は軍隊らしい縦社会の人達がジワジワ変化していく。
ちょっとお涙頂戴的な流れだったので、ウルウルしない様に頑張って観てましたが、北川景子演じるモジミが旦那を待ち続けるシーンになるたびにウルッ。長い時間を2時間ほどに詰め込んでいるので、少し違和感があったのと、ワンコのクロの存在の必要性が疑問でした。
とにかく戦争はやらない方がいいよ。
泣けた!
“エンドロールまで泣いた”という実際は大して泣けない映画にありがちなCMだったので、内容は期待してたものの泣く程ではないのかと思って見たらしっかり泣かされました!
特に手紙の返信と母に宛てた遺書のシーンで泣きましたが観る人によって子供宛てだったり妻宛てだったりが響くだろうと想像できました。
戦後の理不尽な境遇を描いてはいるものの、今の時節に反して無駄に反ロシア感を煽る作品になってないのが凄くよかったと思います。
北川景子さんの手が普通に美しいのがちょっとリアリティーに欠けると感じたのですが演技はさすがで見事に泣かされました。
【大号泣】愛を信じて、仲間と戦った、山本幡男の壮絶な人生!!
原作は未読です。
【山本幡男役】二宮和也君の熱演に心を打たれました。日本アカデミー賞・主演男優賞は確定です。
【山本モジミ役】北川景子さんの、凛とした中に秘めた優しさの演技が愛しかったです。主演女優賞も確定です。
また、松坂桃李君を始め、脇を固める俳優陣も適材適所で最高の演技を魅せてくれました。
一部に俳優陣が若すぎるとか、綺麗すぎるとか、そんな理不尽な理由でこの作品を否定するのは理解し難いです。
原作タイトルは『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』なので、私は覚悟して鑑賞に望みました。
本編は、瀬々敬久監督のストレートな演出が光り、随所にお涙頂戴的な演出もありますが、エンターテインメントなので許容範囲です。
私の鑑賞した上映会場は(私を含め)すすり泣く人多数でしたが、私は呼吸困難を起こすかと思うくらい号泣でした。
テーマは重すぎて、デートムービーには向いてないですが、絶望だけではなく、希望も描かれているので、たくさんの方々の眼に触れて欲しいです。
そして、後世に語り継ぐ使命が私たちにはあると思います。
『二宮和也』と「手紙」とのかかわりについて
冒頭、「事実を基にした物語り」であるとの提示が。
原作は『辺見じゅん』による
〔収容所(ラーゲリ)から来た遺書〕で
「大宅賞」と「講談社ノンフィクション賞」のダブル受賞と聞く。
映画化にあたってのタイトル変更は
そのままだと主人公が帰国できるかも
との、サスペンスの一つの可能性を潰してしまうことから
これはある種の見識であると思われ。
自分達の世代に照らし合わせれば、
小学校の教師に一人シベリアの抑留者が、
また実際に戦地に赴いた人も一人居た。
肉親でも、
叔父は「満蒙開拓」に行っていたし、
父親は軍属ではないものの南方に派遣されていた。
現地でマラリアにも罹り、
戦後暫くして幽鬼のような姿で帰国した際には
母親(つまり私の祖母だが)に
抱きつかれおいおいと泣かれたと話していたことを思い出す。
安堵とその身体のあまりの情けなさが
ない交ぜになった感情の発露だったのだろうが、
そうしたことがまだまだ身近に有った時代。
主人公は実在の人物で
望郷の念虚しく、シベリアの地で没す。
そこでの艱難の日々に描写は多くの抑留者と同様且つ
幾つかの他作品やドキュメンタリーでも
触れることはできるので、既視感には溢れている。
ただ彼が自身の希望を無くさぬため、
或いは周囲を鼓舞するために取る態度は
信念に満ち溢れ、次第に多くの人々を感化。
それが終章での「遺書」に繋がる。
戦後十二年も経ってから、
しかも厳しい監視の中をかいくぐり
どのような方法で六通(劇中では四通)の遺書をシベリア帰還者達は
遺族の元に届けたのか?
それがもう一つのサスペンス。
兎に角、脚本の出来が素晴らしい。
先に挙げた収容所での日々はやや冗長にも映るが、
主要な登場人物達と『山本幡男(二宮和也)』との関係性を示す重要なパート。
何故多くの仲間達がそれほど彼を慕ったのか、
そして労力を払ってまで、遺書を届けようとしたのかの。
主人公以外で鍵となる四人の性格と背景をしっかり作り込み、
役目を全うすべき理由を付与。
各人と遺書の内容が綿密に絡み合い、
遺族、とりわけ『山本』の妻『モジミ(北川景子)』と対峙するシーンでの落涙は必至。
また役者の起用も
『松坂桃李』は長回しにも耐え得る安定感のある演技、
『安田顕』であれば燻し銀のような渋さの光る演技、
『桐谷健太』には感情が爆発する演技、
『中島健人』の天真爛漫さが冴える演技、と
適材適所が嵌っている。
まさに映画は
監督・脚本・俳優の三位が揃った時に完遂される総合芸術との醍醐味を
存分に堪能させてくれる一本。
『二宮和也』の極限状態での「手紙」とのかかわりは
〔硫黄島からの手紙(2006年)〕に次いで二度目かと
(奇しくも、そこでも「一等兵」役)。
その時の演技でも
『クリント・イーストウッド』が彼を起用した慧眼に刮目したわけだが、
本作では更に磨きがかかり。
希望を持ち、絶望し、しかし
最後は諦念に達し筆を執る。
その一連の流れの表情にこそ
彼の真価が発揮され、
なんとも素晴らしい。
ただの「悲しい映画」ではない
豪華俳優陣が揃いに揃った作品で、とにかくキャスト発表から楽しみにしていましたが、やはり全員に魅せられ、一瞬の2時間、暇にならない2時間でした。
原作のタイトルを思い返すと「ただ悲しい映画」なのかなと思いきや、映画のタイトル通り「愛が込められた」映画で
もちろん「悲しく」見えれば、焦点を変えると意外と「普遍的な物語」であったり、「愛に溢れた物語」であったり、「人間らしさ」を感じられたり、何度か見て自分なりに色んな角度から作品を見たいと思いました。
年齢問わず、後悔せずに見られる作品だと思います。
生きる希望と道義
これが実話とは、、、
戦争が終わっても悪夢は続く。
後半は涙腺崩壊。
遺書の中のそれぞれの相手へ向けた言葉にも
感動して涙が止まりませんでした。
上映後、舞台挨拶のライブ中継付きにて鑑賞。
二宮くん初めキャストの皆さん良かったのですが、
監督が原作者の息子さんに実際に話を聞いて、
なおさら、お母さん役の北川景子さんの演技は
素晴らしかったと思いました。
【リアル主人公と仲間たち&原作は星5つ満点】だが率直にいうと普通の作品。
イヤイヤ山本幡男さんと仲間達の意気や良し。満点。相違ない
その物語を紡ぎ出した原作も満点。星5【明日Amazonで原作届く】
ただ本作【泣かせどころ】は良いのだが
個人的な感想としては 良いところ、悪い所が極端で、星は平均点。【あくまで個人的】
最後の仲間達の心意気には胸打たれた。それは認める。素晴らしい。あっぱれだ!
【本作の良いところ】
・二宮和也 が好演。最後の病床の作り込みも素晴らしい。
・桐谷健太の、過去の栄光で威張り腐る、たかだか下士官の軍曹、桐谷さん力が入りすぎて
違和感MAXなのだが、逆に最後の【実はライバル強敵が、豹変、涙する】というクライマックスに向けての伏線十分
このあたりは、物語の王道中の王道で観客の心の琴線に触れ、素晴らしい
・中島健人の役の純粋さ と犬の🐕クロが物語の良いアクセントになっている。
・進行がスムーズで場面展開が良く、飽きさせない。
・主人公の婚約の場面の描写、海がCG使ってると思われるが美しい、実に美しい
・なんと言っても実在した山本幡男さんが、ケレン味のない誠実さ溢れる人物。
【本作のイマイチなところ】
・最初の満洲かなんかの、山本さんと妻子との別れがアッケラカンと不自然すぎる。「再会しよう❗️」じゃなくて、・・旦那、埋もれて身動き取れないんだから、後ろ髪引かれる思いが当たり前だろよ。往生際が悪いのが当たり前と思う。
・北川景子が、現在の女優でトップクラスの美人だとは認める。しかし人間の顔は時代により骨格が進化してるのだ。戦前の人で北川景子の顔、しかも今風の小綺麗なメイクはあまりにも不自然。「スパイの妻 蒼井優」を見習ってほしい。
・山本幡男さんの収容所での素晴らしい行動と信念がイマイチ伝わってこない。セリフが上滑り。
・野球の場面 甲子園=平安中学のはすが「平安商業」と架空の呼び名なのに、六大学野球のKOはそのまんま
明らかにイヤらしいKOのスタッフの学校宣伝洗脳。イヤらしいことこの上ない。仮に事実だとしても、そのセリフ要るか❓❓仮に原作にあったとしても「六大学の四番」でいいと思うぞ。スタッフさん。洗脳はやめてほしいと切に願う。
・よって安田顕の流暢に聞こえるロシア語も、鬱陶しいものだった。「ホントにそのセリフ要るかい❓」
・戦場の戦闘描写がチープ。
・ロシアの冬の労役の厳しさもイマイチ伝わらない、丸太運びもなんだか軽そうだし、「八甲田山」映画作品見てる人間からすると物足りない。
イヤイヤ、戦争映画だけはひたすら観まくっている経験値の人格のひねくれたジジイのワシからするとイマイチなのだ。
ただし、ワシ、有料パンフは勿論、クリアファイル、緑の筆入れみたいなマルチケース、ブックカバー等秀逸な
グッズは購入したこと報告します。有料パンフも出来が良い。善良な市民の方は、涙すること必至でございます。オススメ。
冒頭からずっと泣ける
久しぶりにこんなに冒頭から泣ける映画に出会いました。
恥ずかしながら私は戦後こんな事があっとしりませんでした。実際はもっと残酷で辛い話なんだと思っています。
些細な幸せは今も昔も同じだと、生き続ける事の方が大変なんだと感じました。
音楽の使い方も良かったなと思っています。
キャスト陣の演技力も凄まじものかありました。
二宮和也くんの演技はもちろん、安田顕さんに、松坂桃李さん、桐谷健太さんの迫力ある演技にとても惹き込まれました。北川景子さんの泣いてるシーンが、本当に悲しくて一緒に泣けました。
戦争は決して忘れてはいけない事だと思っているので、若手のキャストによって沢山の方に届けばいいなと思っています。
4通の遺書を届けてくれてありがとう
「頭の中で考えていることは誰にも奪えない」
聞いたことのあるフレーズですが、改めて納得。
終盤で、いきなり2022年の孫の結婚式。
寺尾聰の登場で「あんただれ?」と(笑)
長男のケンイチが孫の結婚式でスピーチする場面ですが、時間が何の前触れもなく進みすぎて、少しわかりにくかったです。
無事に4通の遺書を届けてくれてありがとうという気持ちです。
北川景子の演技を上手と思ったことがなかったのですが、今回はさすが女優だなと感心しました。
二宮くんはどんな役でも「ニノ」が前面に出ますね。
後半の展開の美しさに息を呑んだ
2022.89本目
ドラマっぽいちょい過剰な演出や、戦場での緊迫感の少なさ?に斜に構えて見てしまう時もあったけど(特に犬の演出、音楽の演出、有名俳優ばかりでてるのも少し影響)
脚本も演者も素晴らしくて、多くの人に見てほしい作品だった。
知性に溢れ、どんな環境でも信念を忘れずに希望を持ち続け、周りの人々に影響を与え続けた山本の生き様に惚れたし、
しんちゃんや原さん、相沢さん、松田くんとの交流や友情が深まっていく様、終盤での遺書のくだりでは大号泣した。
「人間らしく生きるとは」等々、ハッとさせられる言葉も多かった。
クロに関しては、「それはないだろ」って思ってしまうところもあったけど、
パンフレット見てみたら、氷の上を走り海を泳いできたクロを船にひきあげるときの実際の写真が載っていて、「本当だったのか…!」と鳥肌がたった。
「頭の中の言葉は誰も奪うことはできない」という山本の言葉からしんちゃんが、みなが言葉を記憶して遺書を届けるという案を思いついたのがもう美しいし、
母を失った松田くんが、山本のお母様に向けた言葉を伝えたり、妻を失った相沢さんが奥さんへの言葉を伝えたり、流れとして美しくて素晴らしかった。
(結婚式でスピーチをする山本顕一役の寺尾さんは、93年の『ラーゲリから来た遺書』で山本幡男を演じた方だったんですね…!演者の作品への思い入れも強かっただろうし、振り返ってしみじみと、よかったなぁと思います)
中島健人等々若い俳優が活躍していて若い世代でもみる機会の多い作品になっているというのもそうだし、
最後の最後の演出で2022年の現代にまで繋げるという演出もそうだし、
若い世代にまでメッセージを伝えていきたいという強い気持ちを感じてとても良かった。
山本の伝えたかったことを、演者も含めた制作者の方達が「多くの人に伝えていこう」と一丸となったのだなと、伝わってくる作品だった。作品に対するリスペクトがあった。
嫌味なところやわざとらしい感じなく、平和について、考えさせられる映画だった。
パンフレットに、遺書の全文や、とても読みやすく書いてある史実と解説も載っていて、それも良かったです!
映画として中途半端な気がしました
事実に基づいた話らしく、シベリア抑留の細かいエピソードが入るが、それがきれいに回収されるわけでなく淡々と進む。
しかし後半になるにつれて演出が過剰に。
エンタメに振りたいなら序盤のエピソードをもっと整理した方がよかったのでは?
リアリティに寄せるかエンタメに振るか中途半端に感じた。
感動的な話ではあるが「シンドラーのリスト」はじめ似たような話を知っているので、後半はどこかで見たような展開で新鮮味に欠けた。
実在のモデルの方がいるので悪くは言えないのですが・・・
実在のモデルの方がいるので作品を悪くは言えないのですが、はっきり言って話のバランスが悪いです。
〇主人公たちがどうしてあのような目にあったのか、社会的な背景がほとんど描かれていません。
(日ソ中立条約破棄後のソ連の参戦と朝鮮戦争についてごく簡単に触れてありましたが不十分では。中国東北部の状況(日本による鉄道支配とか満州国設立とかノハンモン事変とかソ連との対立関係とか)や冷戦の影響について説明が必要だったのでは。あと、日本の戦後の状況とか描くべきだったのでは。
〇その一方で、黒犬の扱いはありえないでしょう。意図はわかるけどリアリティがなさすぎて醒めてしまう。
〇10年たっても皆さん容姿が変わらないのに違和感あります。惨憺たる苦労したはずなのに。
主人公の奥さん役の北川景子さん、相変わらず綺麗ですね。ただ、綺麗のままで変わらないのはおかしいです。苦労したとは全然見えない。老け役嫌がったんですかね。役より自身の見た目を優先したのですかね・・・
ほかにも気に入らないことありますけど、実話ベースなのでこのくらいで・・・
製作は瀬々監督。やっぱり自分とは相性よくないです。点数は甘目です。
ニノは何やってもニノ
史実に基づいた脚本なのとロケ地のチョイスがいいのか、過酷なシベリア抑留で悲運に翻弄させられることを実感できる作品でした。
後半のシーンでは泣かせにきてるのは理解しつつも泣くまではいかず。
ニノが山本さんに見えず、そして過酷な状況に痩せ細っていくようにも見えず、ニノのままで、なんか、まぁこれはこういうものなのだと割り切って見ました。
ただケンティは、ケンティでなく、いい感じの脇役を演じてるなぁと思いました。
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