「終戦後79年。今に伝える【シベリア抑留】」ラーゲリより愛を込めて 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
終戦後79年。今に伝える【シベリア抑留】
シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に10年抑留されて病死した
ひとりの日本兵・山本幡男の人となりに感動して涙を堪えきれなかった。
ひとりの無名の巨人がいた。
ラーゲリで希望を決して失わず、誰よりもダモイ(帰国)を信じていた。
日本人捕虜・山本幡男は異国の地で何故妻にも家族にも看取られずに
死ななければならなかったのか?
声高に叫ばない反戦映画です。
57万人以上が強制的にシベリア奥地へ連れ去られ、零下40度にも及ぶ
極寒の地で
劣悪な環境と重労働で5万人以上が亡くなった。
戦争は終結していたのに何故?
ロシア(ソ連)は今も昔も非人道的で理不尽な国です。
慕われ惜しまれた山本の書いた4通の遺書。
1通目は「遺家族の者たちへ」
2通目は「母へ」
3通目は「子供等へ」
そして4通目は「妻へ」
【山本幡男の遺家族の者たちよ。
【到頭遺書を書がなくてはならなくなった・・・】
にはじまる一番の遺書を最初に届けたのは原(安田顕)。
この原の声の強さと万感の思い・・・ヤスケンは場をさらう!!
4通の遺書は、ソ連の検閲で奪われ原物を持ち帰ることがならず、
原(安田顕)松田(松坂桃李)新谷(中島健人)相沢(桐谷健太)が、
頭の中に記憶して持ち帰ったのだ。
2通目「母へ」を届けたのは松田(松坂桃李)
彼は収容5年後にやっと許された手紙のやり取りで、
待ちに待った手紙には最愛の母の死が書かれていた。
自暴自棄になる松田を支えたのも山本。
その松田がもっとも尊敬する山本の母親に届けたのだ。
(涙ながらに読む松坂桃李が上手い)
3通目は山本が残した言葉「遺書は笑顔で届けてください」
その言葉通りの笑顔で「子供らへ」届けたのは、
「僕の字は読めますか?」問う新谷。
新谷は文盲だったのを山本に習って字を覚えたのだ。
中島健人もアイドル返上の実力派に成長した。
4通目を届けたのは相沢。
桐谷健太は身重の妻を残して抑留された。
待ちに待った手紙が伝えたのは空襲で妻もお腹の子も死んだとの
知らせだった。
絶望する相沢に死を思い留まらせたのも山本だった。
「妻よ、良くやった!!実に良くやった・・・」
山本の万感の思い、伝えた桐谷も複雑な胸中を手堅く演じた。
戦後の食糧不足に4人の食べ盛りの子供を健やかに育てた
山本モジミ(北川景子)
北川景子を改めて見直す映画だった。
死の知らせを聞き、子供達には「大丈夫よ」と気丈に言いつつ、
庭に出て地面に突っ伏して「嘘つき、嘘つき!!」と咆哮する姿に、
なり振りかまわず役に没頭する女優魂を見た。
そしてプロポーズの場面。
海辺に座り言い出そうとした瞬間に言い出せず「帰りましょうか」
と口に出す二宮和也。
立ち上がり、帰り際、北川と二宮が同時に
「結婚しましょ!!」
和やかな雰囲気にホッと癒される。
その時の北川の艶やかさ華やかな美しさ。
4通の遺書を時間差で貰い終えた際の落ち着き・・・
すごい女優になったとしみじみと思う。
原作を書いた辺見じゅん。
ノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を
一番に讃えたいです。
何千通もの葉書や手紙を掘り起こして纏めたのですね。
そして死の床にあったとは思えないほど冷静な山本幡男さんの遺書4通は、
どんな大作家の文章より素晴らしかったです。
琥珀糖さん、はじめまして☺️
コメント、いいね、ありがとうございます✨今年初めての映画がこのラーゲリでして、とても一言で感想が言えない映画に思いました😌
琥珀糖さんはとても分かりやすくレビューされていて、そうそう!と共感しながら拝見させていただきました😊これからもぜひ映画の感想を共有させてください🌈
満州か何かで、夫婦2人がアッサリ爽やかに別れるのが違和感でした。あと 北川さんのようなタイプは戦前にはいないかと思いました。小綺麗すぎ。原作に無い学歴の宣伝【ジャイアンツの水原を強引に持ってきてる可能性】は要らなかったです。洗脳行為です。 それを除けば秀作でした。イイねありがとうございました😊