「後半の展開の美しさに息を呑んだ」ラーゲリより愛を込めて ともさんの映画レビュー(感想・評価)
後半の展開の美しさに息を呑んだ
2022.89本目
ドラマっぽいちょい過剰な演出や、戦場での緊迫感の少なさ?に斜に構えて見てしまう時もあったけど(特に犬の演出、音楽の演出、有名俳優ばかりでてるのも少し影響)
脚本も演者も素晴らしくて、多くの人に見てほしい作品だった。
知性に溢れ、どんな環境でも信念を忘れずに希望を持ち続け、周りの人々に影響を与え続けた山本の生き様に惚れたし、
しんちゃんや原さん、相沢さん、松田くんとの交流や友情が深まっていく様、終盤での遺書のくだりでは大号泣した。
「人間らしく生きるとは」等々、ハッとさせられる言葉も多かった。
クロに関しては、「それはないだろ」って思ってしまうところもあったけど、
パンフレット見てみたら、氷の上を走り海を泳いできたクロを船にひきあげるときの実際の写真が載っていて、「本当だったのか…!」と鳥肌がたった。
「頭の中の言葉は誰も奪うことはできない」という山本の言葉からしんちゃんが、みなが言葉を記憶して遺書を届けるという案を思いついたのがもう美しいし、
母を失った松田くんが、山本のお母様に向けた言葉を伝えたり、妻を失った相沢さんが奥さんへの言葉を伝えたり、流れとして美しくて素晴らしかった。
(結婚式でスピーチをする山本顕一役の寺尾さんは、93年の『ラーゲリから来た遺書』で山本幡男を演じた方だったんですね…!演者の作品への思い入れも強かっただろうし、振り返ってしみじみと、よかったなぁと思います)
中島健人等々若い俳優が活躍していて若い世代でもみる機会の多い作品になっているというのもそうだし、
最後の最後の演出で2022年の現代にまで繋げるという演出もそうだし、
若い世代にまでメッセージを伝えていきたいという強い気持ちを感じてとても良かった。
山本の伝えたかったことを、演者も含めた制作者の方達が「多くの人に伝えていこう」と一丸となったのだなと、伝わってくる作品だった。作品に対するリスペクトがあった。
嫌味なところやわざとらしい感じなく、平和について、考えさせられる映画だった。
パンフレットに、遺書の全文や、とても読みやすく書いてある史実と解説も載っていて、それも良かったです!