「未来は自分の手で切り拓くもの」四畳半タイムマシンブルース kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
未来は自分の手で切り拓くもの
TVアニメ『四畳半神話体系』なる存在を全く知らずにいたためディズニー+で数話だけ予習しました。配信でもこの作品を観ることができるのですが、最終話まで我慢できないのでいざ映画館へ。四畳半などと言えば、真っ先に思い浮かぶのが松本零士のコミックや日活ロマンポルノの四畳半シリーズ、そして実際自分が40年前に住んでいた学生時代のアパートだ。
そんな四畳半神話体系のキャラクター、「私」、小津、1年後輩の明石さん、隣人の8回生・樋口、歯科衛生士の羽貫、先輩の城ヶ崎、慇懃無礼な先輩・相島などがそのまんま出演。映画サークル「みそぎ」も師匠と弟子という関係も受け継いでいる。映画『サマータイムマシンブルース』も大好きで何度も鑑賞し、TVで放映された舞台版も観たのですが、そのSF名作と神話体系が見事に融合した!とビックリ。これは日本の夜明けぜよ。
SF研究会から映画サークルと変わってはいたけど、リモコンが時空を超えるプロットや河童伝説は同じ。さすがに神話体系でも見せる乳好きの城ヶ崎というキャラは見られなかったけど、「kaorisan」と書かれたTシャツを着ているところが笑える。
モッサリ伝導しとして登場する田村君の声優は、『サマータイムマシンブルース』(2005)でも田村を演じていた本多力本人。大人になってもこのモッサリ感は彼がピッタリ。そして「私」と明石さんの関係も瑛太と上野樹里を思い出させてくれました。
辻褄会わせのために大胆なタイムトラベルをする物語なれど、極めて狭い地域で貧乏くささも世界一(褒めてます)。何しろ彼らにはバラ色の未来が待っている。未来はタイムマシンで覗いてくるものじゃなく自ら切り拓くものであり、時間によって悪巧みをするでもなく、なんとなく宇宙が破滅するのを阻止するという切迫感と小市民的な使命感が面白い。
大学生活はどのサークルを選ぶかで充実度が変わる。神話体系でも「もし」の世界が描かれているし、輝かしいキャンパスライフがどう過ごすかは最初に決定してしまう可能性もある。純情ラブストーリーの着地点は同じだとしても未来を知らないほうがいいし、しっかりサークルは選ばなくては・・・という自戒のメッセージがあるのかも。
ただ、何度考えてもリモコンが直ってるというプロットは謎。ループしていることで納得させられるが、どこかで水没したリモコンが偽物にすり替えないとおかしいと思うけど、どうなんでしょうね。
> 直ってるというプロットは謎
あはは。これは、言われてみたら、そうですね。謎です。俺はまたも勢いに引きずられてきづきませんでした(笑) 教えてくれてありがとうございます!!
> 極めて狭い地域で貧乏くささも世界一(褒めてます)
名言です。
> 「kaorisan」と書かれたTシャツを着ているところが笑える
自分も、そこで微笑んじゃいました
> どのサークルを選ぶかで充実度が変わる
「四畳半神話体系」を読んだ印象は逆でした。隣の芝生は青い、と思うだろうが、結果は同じ程度である、なのかなと。