「「お化け屋敷」コメディにひそむストップモーションの怪異たち! ノミ探偵マグレガーが可愛すぎる!」怪人現る じゃいさんの映画レビュー(感想・評価)
「お化け屋敷」コメディにひそむストップモーションの怪異たち! ノミ探偵マグレガーが可愛すぎる!
『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ 発明中毒篇』と題して特集上映されている、実写+ストップモーションのスラップスティック短編4本と、短編アニメーション2編。
そのなかでは、本作『怪人現る』が一番面白かった気がする。
チャップリンやキートンの「アクション」や「テンポ感」は望むべくもないし、相変わらず場面転換の「間」がえらく悪いうえにナラティヴに致命的な欠陥がある気がするものの、少なくとも「お化け屋敷」コメディということで、「志村後ろ、後ろ!」や「たらいネタ」のようなドタバタネタが随所に仕込めるし、シュールで悪夢的なバワーズの感性を最大限に生かせる素材だといえる。
しかも、いくらどう考えても前半と辻褄が合っているとは思えないのだが、ラスト付近で新本格ミステリも真っ青のどんでん返し、いわゆる「世界観の反転」が、二度にわたって敢行される。
「おおお、そう来たか!!」と、ミステリマニアの自分としては、思わず興奮してしまった。
あらすじとしては、こんな感じだ。
セグウェイに乗った謎の鬚男が徘徊し、ポルターガイスト現象に苛まれるフリスビー家のお屋敷。
怯え切った家族は、警察ではなく「スコットランドヤード」に救援を求める。
で、電話がつながった先は、ガチの「スコットランドの庭」……って、発想がほとんど子供やろ(笑)。
そこで羊みたいに囲い込まれて行進している、キルトとバグパイプを持った「名探偵」たち。
「誰にしようかな?」で選出された、我らがチャーリー・バワーズ君は、マッチ箱に入った「ノミの名探偵マグレガー」とともに、アメリカのNYまで渡って来て、屋敷の怪異の捜査に当たるのだが……。
このノミの名探偵マグレガーってやつが、ストップモーションで動かされる人形なんですが、もう超絶かわいいんですよ!!
ノミの名探偵ってなんじゃらほいって思うけど、たぶん「ノミのサーカス」から来てるんじゃないか。
「ノミのサーカス」は、欧米では古くからある見世物で、ノミに車を牽かせたり、ボールを投げさせたり、剣戟させたりするのだが、あのノミたちもたしか「ノミのアパート」と言われる小箱のなかで飼われていたと記憶する。
要するに、「人に使役される虫」といえば、「ノミ」っていうのが、たぶん欧米におけるそこはかとない共通概念なんでしょうね。
最後は、映画全体の「オチ」まで担うマグレガーくん。
ストップモーション愛好家としては、彼を観るためだけでも、本作は一見の価値があるんじゃないかしら。ぜひみなさんも「キルトをはいたノミの名探偵」に、会ってやってください(笑)。