「羊、犬、猫、そして「何か」」LAMB ラム kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
羊、犬、猫、そして「何か」
アイスランドの山間にある広大な羊の牧場。住んでいるのはイングヴァルとマリアの夫婦。そして犬と猫。過去に娘アダを亡くしていたことから羊から産まれた仔羊のような「何か」をアダと名付け育てる物語。
絶妙に肝心な部分を見せないように表現して、3章立てそれぞれでショッキングなシーンを見せてくれる。大自然を背景にして日常の農作業などを描き、数少ない会話によって観る者の想像力をかき立ててくれる北欧ならではの作品だった。
こうなってくると、言外の意味とかちょっとしたカットによって何か汲み取ろうとしたり、何のメタファーなのかと考えさせてもくれました。時間旅行について語るイングヴァル。「未来は知らない方がいい」とか、意味深な会話に引き込まれる。娘を死なせてしまった過去の過ちだとか、母羊を殺してしまうといった描写も絡んでいるかのよう。ところで、夫イングヴァルは妻マリアが3115の番号札を付けた羊を殺したことを知っていたのか?知らなかったのか?謎・・・
夫婦にとっては半人半羊の異形でも可愛い娘として育てている。もしや不遇な障がい者をも表現してるのかと思ったけど、やっぱり羊顔は可愛すぎる。突如現われた弟ペートゥルの驚きも束の間、すぐに馴染んで仲良くなるほどだ。そして破滅への道・・・
結局のところストーリーは大したことないし、最後に登場するヤツも番号札がついてなかったし、トラクターの故障原因や弟との不貞関係も意味をなさなかった。惜しい。伏線やメタファーが重要視される昨今の映画の中にあって、すべてなおざりになってしまってる。このままじゃイングヴァルが可哀想すぎる!まぁ、最後に苦痛を味わったのはマリアなんだろうけどさ。まぁ、雰囲気は楽しめましたよ。
観なきゃ観なきゃと思っているうちに公開終了となってしまいましたが、早くも見放題となっていたアマプラ。ありがたい。