「ギリシャ神話や旧約聖書のイメージを重層的に重ねることを意図したものか」LAMB ラム 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
ギリシャ神話や旧約聖書のイメージを重層的に重ねることを意図したものか
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半人半羊といえば、パンやサテュロスが思い浮かぶ。半人半羊が羊飼いの家の羊舎に生まれ、娘を亡くしていた人間の両親に我が子として育てられるという本作のストーリーは、恐らくこうしたギリシャ神話の神や精霊を表すと同時に、旧約聖書エレミア書のエレミアの預言を背景に置いている。
したがって、一見、細田監督の「おおかみこどもの雨と雪」や、A24スタジオ系のストーリーが曖昧で雰囲気だけのホラー映画と似ているようだが、何らかの寓意を秘めているものと思われる。
例えば、羊飼いと羊の群れを監視する神であるパンを略取して、自分の娘の代わりに育てようとした人間には神の罰が下されるとか、子をバビロンに捕囚され滅ぼされたイスラエルの故事、欲望の象徴であるサテュロスに唆されて兄弟そろって兄嫁に欲情する…等々、イメージを重層的に膨らませることを意図しているのではないか。
しかし、残念ながら当方はギリシャ神話にもユダヤ教にも通じていない悲しさから、それを十分に味わうことは出来なかった。どなたかこの方面に詳しい方の解説を待ちたい。
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