消えない罪のレビュー・感想・評価
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想像すればする程きつい
ネトフリ作品ということでパンフレットなし。☆0.5減。
序盤は役所広司主演の「すばらしき世界」で描かれた、出所した後の生活を取り巻く環境の厳しさを伝えたい作品かと思ったのですが、残してきた妹が気になっている様子。まあでも会いたいのは分かるけど、もうちょい態度ってもんがあるでしょうよ、と主人公にイラつきだしたピークで・・・とそこからは見え方がガラッと変わるのは良かったのですが、よくよく考えてみるとこれはキツい話だなと思いました。
いい意味で期待を裏切る良作
海外の批評が良くなかったため期待していなかったが、想像よりずっと良かった。
イギリスのミニドラマ版を観ていたのでストーリーは分かっていたが、それでもドキドキしたし新鮮にみられた。上手くまとめていたと思う。しかしほぼドラマと同じストーリーってのはびっくり。ハリウッドの御涙頂戴にはなってなかった。(まぁドラマ版のご都合主義な展開もそのままだったが。)
化粧っけなしのサンドラ・ブロックの賞狙い演技かな?と思いながらもすぐに惹きこまれた。彼女は大泣きしたり恫喝したりする派手な演技よりも今回の主人公のように、ブレイクに罪を打ち明けて店から出るシーンで涙を一瞬で堪えて感情に蓋をする演技や、ケイティが記憶を無くしていることを悟り、決意と共にパンケーキを食べるケイティを眺める切ない笑顔の演技が抜群だと思う。
胸を締め付けられた。
フラッシュバックが多様されていて気が散る、登場人物が多い割に各自を描き切れていないという面もあるが自分には許容範囲内(ロブ・モーガン演ずるヴィンセントとヴィオラ・デイヴィス演ずるリズがもうちょっと深みある役だとなーとは。)
主人公の身勝手さが思わぬ事件を起こしてしまう点は後味は悪いが、それでもラストには涙。ドラマ版よりかなりあっさりめの終わり方も逆に良かった。
重低音の重苦しい響きは「砂の器」を思わせて
何かしら不可解さを孕みながら話は進むが、
フラッシュバックの様な映像が挟み込んでくる。
自分自身ともう一人の誰か?
ここの絡みが晴れずに話は進む。
罪は確かなのに、
誰もが贖罪を払わされる。
そして更なる罪が展開される。
罪は確かなのか?
罪とは結果でしかなく、
原因の根本が燻っている。
こんな燻った重苦しさを
ラストの無言のハグが何もかも解きほぐしてくれた。
ブラボー
問題作であることは間違いない
人によっては観たら死にたくなる映画かもしれない。当方がそうだった。
映画の前半はサンドラ・ブロック演じる主人公ルース・スレイターに感情移入して世の中の全部が敵に見える。こんな世の中に生きる意味はない。主人公はどこかで死ぬ勇気を手に入れるべきだ。そう思ってこちらも死にたくなる。
しかし後半になって、ルースが自分の欲求を満たすために他人の迷惑も顧みないで頼みまくる姿に、徐々に嫌気が差してくる。ほぼ他人に命令するかのような厚かましくも図々しい態度である。こんな主人公は早く自殺するべきだと思ってしまう。そして自省すれば自分もルースと変わらないことに気づいて死にたくなる。
世の中が腐っているのか、自分が腐っているのか、それともその両方なのか、いずれにしろ死にたくなるのである。それだけ心を揺さぶってくる映画であり、サンドラ・ブロックの演技は凄かった。
タイトルの「The unforgivable」は直訳すると「許すことのできない人々」となる。刑法上の罰を受けて刑期をまっとうしても、世間は許さない。法律と人心は違うのだ。殺人罪で服役した者は、出所してもまともに生きていけない。であれば、殺人罪の刑罰はすべて死刑にすればよさそうなものだが、世界は死刑廃止の潮流である。
ルースは模範囚で刑期を短縮され、20年で出所した。ルースの命を支えたのも税金である。つまり刑務所が税金で運営されている以上、受刑者は税金で生かされている訳で、そのことも、犯罪者を許さない理由のひとつになっていると思う。
ネットの時代だから、名前でサーチすれば前科などはすぐに明らかになる。出所した死刑囚の就職は困難を極める。社会復帰などという言葉は世間を知らない法律家のお題目に過ぎない。
現行犯を除いて、すべての容疑者には推定無罪の原則が適用されることを人々は忘れている。警察に逮捕された瞬間に犯罪者となってしまうのだ。法律家は冤罪の場合に取り返しがつかなくなることを恐れて死刑を廃止したいようだが、40年も50年も収監されたあとで無罪になったとしても、人生は取り返せない。いっそ死刑にしてほしかったとなるのではないだろうか。
警察は検挙率を上げたい。一度、窃盗犯がでっち上げられている可能性の高い現場に遭遇したことがある。横断歩道で信号待ちをしているときに、横で待っていた自転車の中年男性に二人組の警察官が自転車の登録性はありますかと話しかけた。男性は不快感を隠そうともせずにないよと答えた。警察官は笑顔で、ではちょっとご同行願えますかと言った。笑顔ではあるが、有無を言わせない口調である。男性は仕事で忙しいと抵抗したが、結局は連れていかれた。
様々な問題が想定される作品で、それらの問題を一身に受けたようなルースの無表情が大変に重い。喜怒哀楽や警戒心、敵愾心などを全部合わせたら無表情になるのではないかと思わせる無表情なのだ。
犯罪は独善と不寛容である。子供を虐待する親は、子供が自分のものだという独善から、最悪の場合は子供を殺してしまう。ルースにも同じ独善があったのではないか。
鑑賞後に、解決されない問題が心にわだかまり続ける。名作ではないかもしれないが、問題作であることは間違いない。
妹の妹に誰もが救われた気がします
乱暴な言い方ですが、20年前のあの殺人は事件ではなく、事故です。
姉が守りたかった生活、そのために自らの本気度を鼓舞するために用意した銃。
5歳の妹は状況を理解することはできなくても、ただならぬ雰囲気に突き動かされてとった行動…それが真実のすべてだと思います。
もし、あの時、姉がもう少し法的責任の社会通念(5歳の幼児に殺意など認められないはず)に思いが至ったのならば、そのまま警察に事実を伝えれば良かったのに、と客観的には思うけれど、あの時の姉にとって、あれは妹に傷を残さないための唯一の選択肢だったのだと思います。
20年前の事件を担当した弁護士(映画にはまったく出てきません…日本だったら国選弁護士ということになるのだと思いますが)がもしひとかどの優しさと真実への探究心があったなら、こんなことにはなっていなかったのに。
妹の妹(義理の妹のほうです)の姉へのリスペクトと思いやりと優しさがこの映画のすべてを浄化してくれました。
フラッシュバック
保安官を殺害した罪で20年間服役した女が仮出所し、背負った罪を感じながらも養子に出された妹を求める話。
模範囚として出所するも、思うような仕事に就けず、そして警察官を殺したことで冷たい目や仕打ちに晒されながらも妹を捜す展開で、これはアメリカの映画?と少ししっくり来ない邦画でありそうなドラマ。
アホ兄弟のアホさ加減の積み上げ方とパティはアメリカらしいけど。
少しハッキリしない部分や、タイトルがちょっとミスリードなのと、サンドラ・ブロック何歳の設定よ?とかは少し気になったものの、判りやすく哀しくやり切れず、そしてそこから繋がるラストと、とても面白かった。
氷の世界
荒涼、殺伐、といった雰囲気の映画を見たくて見たら、その通りだった。様々な人間関係の描写は素っ気ないけど、よくわかる。役者の演技はみんな素晴らしい。ただし、肝心の「姉妹」の関係が親子と勘違いしそうになる。緊迫する場面は、フラッシュバックが必ずはいったり、スリラーっぽくなる傾向があるので、少し興ざめする。
結局、荒涼、殺伐とした世界で主人公が生きていく世界には、本当の悪人は一人も登場しない。よくよく見れば、みんな、いい人しかいない世界が描かれるが、それでも最後の場面は感動する。自らの存在価値の確認を求める彷徨の物語。
サンドラ・ブロックの終始憂鬱なお顔が印象的
殺人を犯し二十年服役した女性が、出所するも世間は全く許してくれない。唯一気になるのは幼かった妹の事。今どうしているのか探すうちに明らかになる事件の衝撃的な事実。Netflixで配信される事は知っていたが、どうしても劇場の大画面で見たかった。サンドラ・ブロックの終始憂鬱だった顔が最後に見せる表情。
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