劇場公開日 2021年11月26日

「描かれない20年間」消えない罪 チキンリトルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0描かれない20年間

2021年12月15日
iPhoneアプリから投稿

両親を失い、唯一の家族である最愛の妹さえも失いかけたことがきっかけで保安官を殺害してしまったルース・スレイター。その罪で20年間の服役後の彼女の再起を描く。
成長した妹に一目会いたいルース。彼女が刑務所から送り続けた手紙に一度も返事をしなかった妹の行方。被害者遺族の復讐心。残された妹を引き取った里親家族。
罪も犯した者と周りの人間たちの苦悩と葛藤を映し出す。

最終的な展開としてはベタと感じる人はいるかもしれないが、この作品の評価されるべきは描かれていない服役中20年間を感じさせるところではないだろうか。
作品内では刑務所での生活シーンなどの描写はない。作品も出所の瞬間から始まる。
しかし、服役中の20年間に主人公がなにを考え、妹に対してどれだけの思いを巡らせてきたのかを感じさられた。
それは偏にサンドラ・ブロックの演技力によるものだろう。作品前半では心を失ったかのような悲壮感漂うキャラクターに見えたが、終盤にかけてその人間性や感情を顕にするシーンが目立った。

殺人という「罪」に関わる人間たちをあらゆる角度から切り取ったヒューマンドラマ。

チキンリトル