「暗い地平にわずかな光」マイスモールランド バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
暗い地平にわずかな光
非常に重いテーマを扱いながら、女子高生を主人公とすることで社会派ヒューマンドラマだけではない一種の青春映画としても描いており、それが観る人の感情をより強く揺さぶる映画にしている。多層的な問題を含めて描いているのが印象的で、取材した実際の埼玉在住クルド人や川和田恵真監督自身の体験や心情が反映されているとのこと。
映画初出演にして主演を務めた嵐莉菜が素晴らしい。初演技とは思えない好演だった。父・妹・弟役を演じてるのも彼女の実の父・妹・弟だそうでびっくり。みんなそろって好演でした。川和田監督は当初実際のクルド人を起用することを考えていたそうだが、かえって彼ら個人に不利益になる危険性を考えて断念し、オーディションで彼女が選ばれたとのこと。川和田監督もイギリス人の父と日本人の母を持つハーフで、是枝裕和監督の率いる映像制作者集団「分福」に所属する30歳の女性だそうだ。やはりこれが初監督とのことだが、初監督でこれだけの映画が作れるのはすごい。
終盤は胸が締めつけられるような展開になっていくが、あのひどいヴィシュマさんの死の事件をちょっと思い出させた。こういう問題は結局我々1人1人がもっともっと考えていかなければいけないことなのだろう。
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