劇場公開日 2022年5月6日

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「嵐莉菜さんに釘付けでした」マイスモールランド ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5嵐莉菜さんに釘付けでした

2022年5月22日
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とにかく今や日本の片隅に生きているだけで様々な問題が浮かび上がる破綻の国・日本。かつての繁栄もここ20年くらいで地の底に沈み、入管問題も今まさにそこにある危機的問題。
そんな中、ハーフモデルで充分な活躍ができそうな高校生の女の子が普通に進学に悩み、共同体で生き、恋をする。ただ彼女はクルド難民の子だった。
ごく普通の家族がなんの説明もなく、いわば日本のよくわからない「入管」に引き裂かれます。この映画はこの問題の「なぜ」に突っ込んではいきません。「クルド」もくどくど説明はしません。是枝作品と同じく、状況を、いわば普通の女の子の悩みとして捉えます。もうちっと弁護士がんばれ、と思わざるを得ませんが、まあそんなもんでしょう。しかし、いかんせん背負うものが大きい。
1時間くらいすると「誰も知らない」的な暮らしになり、逆に一瞬妹さんが少し解放されたかのような態度になるのだけど、本作品は割とその隔絶された世界での描写が是枝作品ほどあざとくなく、実直過ぎる感じがある。固い、というか。ただ、ぽっかり理不尽の中心にある「日本の入管」だけがブラックホールのように横たわる。そしてなんの確証もないが、父親が強制送還されればまるで恩赦のように子供にビザがでるという。。なんたる理不尽。しかしその理不尽に従わないと生きてはいけない。まるで現代の楢山節考。もっと問題になればいい。

ただ、一言だけ言えるのは、とにかく主演の嵐莉菜さんに釘付けだった、ということ。弱さと強さと大人と子どもの両方の魅力で、俯いた姿からのラストカットの眼差しは、予想を超える神々しさがありました。

ONI