「レビューじゃなくて厳しめファンレター?」宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 STASHA キャプテンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0レビューじゃなくて厳しめファンレター?

2022年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

宇宙戦艦ヤマト も 福井晴敏 も大好きだから言わせてもらいます。
この先もこのシリーズを見守っていきたいからあえて
☆を-1した理由の部分を強く言わせていただきます。

『宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち 後章』

ドキドキしたし物語に泣いたし、楽しませて頂いたこと心から感謝しています。

幼少期から大好きだった宇宙戦艦ヤマト
生まれて初めて劇場で観れたのがこの2205前・後章でした。

2202ではなく2205が初で本当に良かったです。

でも…

あ、その前に作家 福井晴敏さんのファンでもあります。
『Twelve Y. O.』『川の深さは』の頃から読んでいます。
活字なのに手に汗握りハラハラドキドキしながら
感動で涙がこらえきれない。間違いなく一番好きな小説家です。

『How to build福井晴敏』『ローレライ、浮上』という
作家、福井晴敏に迫る特集ムック本も何度も読み返しています。

でも…です。

この先、『ヤマトよ永遠に』や『宇宙戦艦ヤマト完結編』
もしかしたら『宇宙戦艦ヤマト3』まで、
福井さんがかかわっていくかもしれないのならぜひ言わせて欲しいです。

映像作品になるとアレレ?ってなっちゃうんですよね…

映像作品に作家の手が見えちゃダメだと思うんです。
まるで「この作品世界の神は自分だ」みたいな
作り手のおごりが見えちゃうとダメだと思うんです。

『宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち』は
『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』の自慰のような
気持ち悪さは完全に反省されたかのような作りで
本当にうれしかったし、面白かったです。

でも、まだ靄のように作り手たちの「神の手」が見えちゃう。
その靄を押しのける「面白さ」があったから救われたけど、
やっぱり、ハリウッド映画の作り手さんたちの見事さ
日本の他のアニメの作り手さんたちの見事さを考えると
福井さんが関わるアニメ作品には福井さんをはじめとした
作り手の「勘違い神の手」が感じられちゃうんです。

福井晴敏作品の小説群、大好きで
中でも一番好きなのは『機動戦士ガンダムUC』です。

でも、アニメ『機動戦士ガンダムUC』は残念でした。
劇場版のCGアニメ大作『キャプテンハーロック』も
「よく作ってくれました!」と感謝して何度も楽しんでいますが
やっぱり「どうしてそんなことするの?」と思う部分があります。

それが、宇宙のすべてを悟ったかのような結論めいた表現。

物語自体から作家の手が感じられちゃう残念感…
その世界の神は自分だと思っているのかな?と感じちゃう残念さ…
その証拠があの宇宙の表現の仕方に隠れているように感じます。

『宇宙戦艦ヤマト』も「無限に広がる大宇宙」を描くシリーズです。

今回も全宇宙の人間の起源であるアケーリアスの今後への示唆がありました。

そのときに、作家やスタッフの頭の中で結論付けた宇宙なんて
描いて欲しくありません。

その心配がこれまでの福井映像作品からどうしてもぬぐえない。
どうか、『宇宙戦艦ヤマト』を小さな世界に閉じ込めないでください。

その宇宙論があるかぎり物語創作者側のおごりは無くならないのではと
危惧してしまいます。

ハリウッド大作でも成功している作品群は見事なくらいに
作家の手なんて感じられません。
日本のヒットしているアニメにもそういうモノは多くあります。

そういう意味で『宇宙戦艦ヤマト2199』は
作り手の神の手なんて感じない見事な作品でした。

改めて出渕裕さんの仕事の丁寧さを思い知ります。
『ヤマト』に関しては庵野秀明さんでなくてよかったと心から思います。

今の『ヤマト』リメイクシリーズの勢いを観ていると
『復活篇』や『YAMATO2520』までを見事にリメイクしてくれるのでは?
と期待できるのも事実です。

だからこそ、福井晴敏さん、作り手側の方々、
松本零士さんを追い出してしまった西崎家の方々、
あなた方の作品ではあっても世に出す以上は、
自分たちが好きにイジれるオモチャではないことを
確認して欲しいとファンとして心から願っています。

あなたのものじゃなくてファンのものですよね?

『2202』を「大成功だ!」と勘違いせず
ヤマトに思い入れのない人に監督を、
と舵を切ったのは本当に英断だったと思います。

『新たなる旅立ち』というタイトルにふさわしい舵の切り方だったと思います。

でも、こうして完成した作品を見たときに
まだまだ、まだまだまだまだ
「出渕裕さんが降板していなければ…」とどこかで思っちゃう。

どうかそういう思いを晴れやかに吹き飛ばして
「この人たちが作ってくれて本当に良かった!」
とファンが手放しで思えるようなシリーズにしてください。

ヤマトをよろしくお願いします。

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キャプテン