「ジャーロ映画と生真面目さのヘンテコなミスマッチ。」ベネシアフレニア 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ジャーロ映画と生真面目さのヘンテコなミスマッチ。
クリックして本文を読む
アレックス・デ・ラ・イグレシアの映画だから、さぞやブッ飛んだ怪作になっているに違いない、という予想は、思わぬ形で裏切られた。運河の古都ベネチアを訪れる観光客を狙った連続殺人事件。街そのものが迷宮となり、奇妙な道化師が暗躍する……と、まあ、そんなイメージは間違っていないのだが、予想外に真面目な犯行理由と、行き過ぎたオーバーツーリズムを批判するまっとうなメッセージ。事件の締めも「これでいいの?」と思うほど地味。でも、だからといってつまらないわけではない。ホラーやスリラーとして振り切れない、どっちつかずの寸止め感がクセになるのは、ジャーロ映画と生真面目さの奇妙なミスマッチが新鮮なオモシロになっているからではなかろうか。
コメントする