劇場公開日 2021年11月19日

  • 予告編を見る

「リアルな設定、空気、そして臨場感。」モスル あるSWAT部隊の戦い 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0リアルな設定、空気、そして臨場感。

2021年11月27日
PCから投稿

始まった瞬間、これはもう完全に中東で撮られた映画なのだろうと感じた。そう自ずと思い込んでしまうほど、本作は流れる空気や臨場感が凄まじい。言語もアラビア語ならば登場するキャストも中東系の俳優のみ。この題材を扱う以上、とことんリアルさを追求した設定でなければ意味がないと主義を貫いた監督もさることながら、難易度の高い企画を何とかして実現させてしまうルッソ兄弟(製作)のこだわりと手腕もさすがである。銃撃によって廃墟と化した街並み。そこから一人の若者と特殊部隊との邂逅を皮切りに、やがて彼が新メンバーとして隊に加わり命がけのミッションへと身を捧げる模様を、乾いたアクションと人間ドラマを交えて描き尽くすーーーかくも紋切り型のエンタテインメントにならないための努力や配慮は従来のハリウッド映画のあり方と根本的に異なるものであり、この時代、映画づくりが劇的に変貌しつつあることをまざまざと見せつけられた格好だ。

コメントする
牛津厚信