劇場公開日 2021年12月3日

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「スミスを知ってようと知ってなかろうと」ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド よしえさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0スミスを知ってようと知ってなかろうと

2021年12月28日
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鑑賞方法:映画館

The SmithsファンのThe SmithsファンによるThe Smithsファンのための映画。
スミス解散の時にデンバーで起きたラジオ局乗っ取り事件という実話を題材に、スミスの曲を全編にフィーチャーし、モリッシーやジョニー・マーのインタビュー映像も交えながら構成した青春ドラマ。
正直にいうと本当にそれだけの単純なドラマではあるんだけど、80年代にイギリスではなくアメリカの地方都市でスミス聴いてたやつなんてひねくれ者の変わり者しかいなかったはずで、まあそういうちょっとひねた若者の青春にはなんか思い入れがあって好きになってしまう。
わたし自身、後追いで聴いたとはいえスミスは大好き、だけどスミスばっかり聴いてたわけじゃないから何曲かはガッツリ分かるけどあとはああこんな曲あったねえくらいの緩いファンではあるんだけど、冒頭から"Bigmouth Strikes Again"で完全に映画の世界にハマってしまい、最後までワクワクしながら観てしまった。
ああ、この子たちもちょうどわたしと同じくらいの年頃だし、今頃50くらいになってあの頃を思い出して、めちゃくちゃしてた自分に赤面したりするんだろうな、なんて思うと全くもって他人事ではない。若かったしなあ、無茶なお酒の飲み方したり、セックスのことばかり考えてたり、同性愛めいたことにドキドキしたり、あったなあ。みたいな。それがスミスとどう関係あるかって言われるとあまりなかったりするんだけど、そこはそれ。時代の思い出がその時代に熱狂してた音楽に結びつくことはよくあることで、ましてやそれがスミスみたいな80年代を間違いなく代表するバンドともなると、最大公約数的な思い出の拠り所にはなるのよ。
だから、スミスを知ってようと知ってなかろうと、そういう青春ドラマってだけでも十分楽しめる映画ではあったと思う。

よしえ