ハウス・オブ・グッチのレビュー・感想・評価
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平家物語を語り継ぐ琵琶法師
個人評価:4.2
御歳84歳のリドリー・スコットの、まだまだ脂の乗った、そして重厚な演出。
気品あるアダム・ドライバー。そしてレディ・ガガの演技がなんといっても素晴らしかった。最初からレディ・ガガには見えなかった。猫から豹に変わるパトリツィアを見事に演じている。
そして山崎豊子原作の様なグッチ一族の物語。それをリドリー・スコットの業で描く。もうお腹いっぱいのフルコース。
本作はグッチ側からは決していい印象は持たれないだろう。それを今する監督の意義。平家物語を語り継ぐ琵琶法師の役割だろうか。
グッチ家の崩壊
ドラマはあまり好きではないが、大好きなエイリアン のリドリースコット監督 作品だと聞いて鑑賞。
サスペンスというより、ドキュメンタリーに近い。
野心的な女性パトリツィア。
お金目当てで、マウリツィオを誘惑し、結婚に漕ぎつける。
彼女がグッチ家に入るまでは、家族の結束も固く幸せなファミリーであった。彼女の戦略により絆にヒビが入る。愛憎、裏切りの連鎖。
レディーガガの演技があまりにも肉薄しているからこそ、女性として見ていて苦しかった。
穏やかで幸せな暮らしもあったはずなのに、グッチという大きすぎる名前が、彼らを狂わせ、
そして全てを喪ったー。
人の業の深さを描いた秀作。
スキャンダラスなゴシップは
リドリースコットが描くドラマチックなワイドなシネマショーでした。ソープオペラ的な。。
脚本はいいと思うんだけど、編集が良くないのか、主役はなんだろうと迷っちゃう作り。映像と音楽のセンスは素晴らしく良かったです。ただ、ファッションへの理解はイマイチなのか色彩が良くないのが残念。トムフォードは褒めたそうですが、、、。そっかぁ
イギリス人の監督にシーズンごとに流行りが変わるイタリア随一の高級ファッションは理解しきれないね。ただ、リドリースコットが作るとゴシップさえも大作っぽさが出るところが凄い。
家族経営しかしたがらないイタリアブランドらしい栄枯盛衰物語、今やアメリカ人のトムフォードが作り上げたGUCCIだけどね。
カールラガーフェルドのシャネル、トミーヒルフィガーのラルフローレンなどなど、エンブレムだけの帝国だらけ。
どうせゴシップなら、それら現在の立役者の物語が見たい。
有害な女らしさを描いた令和の怪作
これは悪女による傾国の物語だ。正確には傾いたのは国ではなく会社だし、最終的にグッチ一族がグッチからいなくなったのは悪女と関係ない部分ではあるが。
しかし作中で描かれる乗っ取りプロセスは傾国の悪女そのもの。時には自ら手を下し、時には夫を唆し、次々とグッチ一族を会社から追放する。その基準は自らの欲望の障害となるかどうかでしかない。恩義があろうが容赦なく切り捨て、思い通りにならなければ愛する人ですら殺害する。
悪女としかいいようがない。権力者にそっと耳打ちして忠臣を始末する様は妲己や末喜のを彷彿とさせる。その悪女を見事に演じきったレディーガガの胆力。悪女に騙されても仕方がないかな、と思わせるアダム・ドライバーの役柄。見事なキャスティングだった。
しかしTRUST WOMAN時代においてこのような「有害な女らしさ」全開の映画を作ったリドリー・スコットの慧眼に感嘆させられる。
この映画では、パトリシア・グッチは純然たる被害者なのだ。被害者が自らの権利救済のために家父長制に染まった男連中に復讐するのは成功譚ではあるが、悪女列伝ではない。途中で夫のマウリツィオから悪行(のように描写されたパトリシアの言動)を詰められるシーンがあるが、あれはハラスメントであり、女性を傷つける悪しき行為だ。パトリシアが己の被害に涙するのも仕方ないだろう。
…と、ハリウッドのポリティカル・コレクトネス好きたちはそう解釈する。「女の遊びじゃないんだ」という言葉も飛び出したことだし、間違いないだろう。普通の人達からしたら悪女以外の何物でもないが。とにかくこれで堂々と「有害な女らしさ」を描けるというわけだ。
パトリシアの卑劣な乗っ取り作戦は「ハンバーガー帝国の秘密」を彷彿とさせる。しかしあちらと異なるのは、徹底的に目的が名誉であることだ。金ではない。自分がキラキラしていることが何よりも大事だった。金はその要素のひとつでしかない。
その欲深さがこの映画を上等なサスペンスへ昇華させている。美女の強欲が物語の魅力として異質な光を放つ瞬間を見せてもらった。
面白い。だがサスペンスではないのにサスペンスと煽らないで欲しい。
GUCCI&実話を元にしたサスペンスと聞いて楽しみにしてました。実話ベースのGUCCI一族の話、としては面白いので、このポイントだったら4点でした。
しかし煽りのキャッチコピーに「サスペンス」と書いたのはいただけません。
その気持ちで楽しみにしていたので、肩透かしを食らったのですよね。日本プロデューサーがいらん事してますね。
GUCCI一族の物語としてコメント。
これは自分の好みの問題ですが、もう少しパトリツィアとマウリツィオの心の変化を丁寧に描いて欲しかったですね。どこから富と権力に囚われていったのか?どこから軽蔑し始めたのか。ここら辺がふわっとしているので、全体としては面白いものの、思い出に残るシーンはあまり無いなぁ、という印象です。
余談ですが、実話のパトリツィアの獄中生活や生き様の方が、人間離れしてて面白そうなんだよなぁ。。
期待を裏切らない!
2022前半戦での期待値No.1作品!
期待通りの作品だった!
まず、ガガが良い!野心溢れるパトリッツァを見事に演じてる!ところがそれを上回るアダム・ドライバー!
この2人の性格の対比を中心に、前半と後半のトーンの違いも上手く上手く描くリドリー・スコットの凄さ!
あんまり語るとネタバラシになっちゃうので、気になってる人はぜひ!
4.5の残り0.5は若干長い気がするため。
でもめちゃくちゃ良かった!
何かを手に入れたら何かを手放さなきゃ
大事なものを守る為に大事なものを失ってしまう皮肉。
自分というものを信じ過ぎると身を滅ぼすのかも。
ギリシア神話のイカロスのように…
人間というものの普遍的な姿を描いた物語。
華麗なる一族の滅亡
私のような庶民には一生縁がないのですが、それでも名前だけは知っている、世界的な有名ブランドのGUCCI。もちろん創業者のことも、お家騒動があったことさえも全く知りません。そんなGUCCI一族の破滅の歴史を描いた本作。事実をもとにして作られたということもあり、なかなか興味深かったです。
ストーリーは、運送会社の娘パトリツィアは、GUCCI創業者の孫マウリツィオを射止め、結婚後は穏やかな生活は送っていたが、マウリツィオの伯父アルドの勧めでGUCCIに入社したところから歯車が狂い始め、ついにはアルドも彼の息子パオロも排除するものの、夫マウリツィオとも険悪になり自身も捨てられてしまい、最後は…という創業家の末路を描きます。
上映時間159分という長い作品でしたが、テンポよく展開したおかげで、途中でだれることなく集中して鑑賞できました。むしろこれだけの内容をよくこの時間にまとめたと思います。一方で、野心が芽生えたきっかけ、それが抑えきれなくなった理由、邪魔者を排除する狡猾さや冷徹さなどを、もっともっと生々しく描いてほしかったし、そのためにはこの尺をもってしてもまだ足らなかったのではないかとも思います。
主演はレディ・ガガで、かわいらしく、美しく、憎らしく、恐ろしくパトリツィアを熱演しています。音楽に疎いので、鑑賞中は彼女と気づかなかったのですが、女優としてもすばらしい才能の持ち主だと感じました。マウリツィオ役はアダム・ドライバーで、純朴な青年が恋に落ち、操られるように野心を抱くも、その才なく失意のうちに退陣させられるまでの変容を見事に演じています。脇を固めるアル・パチーノもいい味出していましたし、ジャレッド・レトの演技も秀逸でした。もっとも、鑑賞中は彼が演じているとは気づきませんでしたが…。
それにしても、金が人を変えるのか、その人自身にもともと眠っていた欲望なのか…、しだいに狂気に侵されていく姿が恐ろしくも痛ましいです。富さえ手に入れなければ、権力さえ目の前にちらつかなければ、本当はつつましやかな幸せで満足できたはず。貧乏な家に生まれ、才能も出世欲もない私は、きっと幸運なのだと思います。
駆け上がる強い意志のある上目遣いにやられた
レディーガガ演じるパトリツィアがアダムドライバー演じるマウリツィオグッチへ送る上目遣いが印象的な作品だった。
女性の上目遣いというものは男性に甘えたり、誘惑をする仕草という印象を持っていたが、この作品では全く違った。
パトリツィアの上目遣いは今の状況から遥かに高い場所へ駆け上がる強い意志を持った上目遣いであった。
この強い意志を持った上目遣いを堪能できただけでも満足な作品だった。
またビックメゾンの一族の暮らしを追体験できるような世界観により2時間半を越える上映時間も飽きることなく楽しむことができた。
底なしの欲望
グッチの富と名声が欲しかった女と、彼女に踊らされた創業者一族の話。
GUCCIというブランド名ぐらいは知っているけれど、一族の話どころか事件のこともまるで知らずに鑑賞。
1978年、父親の経営する運送会社で働く女パトリツィアがパーティーで偶々出会った弁護士を目指す学生のマウリツィオと出会い、近付き巻き起こって行く。
名前を聞いて最初からGUCCIを手に入れる気満々でマウリツィオを落としにかかり、まんまと操って行くけれど、マウリツィオが擦れてしまったのは計算外?
途中で我慢出来ていれば、もしかしたら今もとも思ったけれど、そんな性格だったら最初からいってないか。
字幕での補足だったけれど、グッチ夫人と呼びなさいなんて、正にそれが彼女の思想を象徴しているよね…。
そして描かれていなかったけれど、なんでバレたんでしょう?
レディ・ガガ濃すぎ
80年代のスタイリッシュさが出てて、良い雰囲気の映画です。音楽も当時のものが満載。
ただ、レディ・ガガが濃すぎで、2時間半もあるので、お腹いっぱい。豚骨ラーメンとモツ鍋を同時に食べた感じ。10分のミュージックビデオのパワーが2時間半続く。周りが良い俳優なのでもったいない。
ファミリービジネスの物語か、悪妻の物語か、軸を寄せた方が良いと思う。
レディ・ガガの存在感でバランスが崩れたことが理由かも。
オペラを途中で終わらせるところは秀逸で、良きシーンである。
日本のことが時々でてくるが、あの時代はパワーがあったことを思い出させてくれる。現代ならば、中国がでてきて、ニーハオと言うのだろう。
いろいろ批判的なことを言いましたが、基本的に好きな映画です。
ストーリーよりも演技
有名俳優さん達の演技を堪能させていただきました。
好きな俳優さんばかりだったので
お得感もありw、良かったですね。
みなさんの個性が出てて、これが映画だと思いました。
◯etflixなどのインスタントっぽい作品が氾濫してる今
やっぱりちゃんとした映画は見応えあるんだと再認識しました。
ストーリーは事実に基づくから気を衒うものではありえないのであれでいいです。
レディ・ガガでお腹一杯ですわ
史実を扱う映画は結末は決まっているのだから、そこに至るまでの話を如何に魅惑的に膨らませるかが作品の良し悪しではないかと常々思っていて、結果、本作品については個人的な期待値を下回った。
全編を通して、レディ・ガガの過度な豊満さによる膨満感と嫌味でヒステリックな声だけが残響して耳障りだった。おまけにこの映画、尺が長いです。
高級ブランドの歴史と衰勢
老舗高級ブランドがさまざま買収の憂き目に合っているが現代における同族経営の限界が顕著に現れたという事でしょう。
相当の誇張があるとは思いますがこれではグッチ一族が悲惨過ぎですね。
レディー・ガガの存在感が強烈な印象として残る作品でした。
8
ちょっと長すぎたかな
レディーガガの演技は本当に良かったんだけどどこかの独占インタビューで渡辺直美の質問に対して「パトリツィアを悪女と思ったことは一度もない」的な発言をしていたのは少し引きました。ただの身勝手な殺人者なのに…
役者と監督の名で見た作品でしたが・・・
質も高く、内容もしっかりとした作品でしたが、やっぱどうも内容が個人的に合わないものでした。
長い時間、マイナス要素が強い内容に耐えなければならなかったことが、なんも・・・
誰が為の作品なのか・・・
リドスコでは下位。
グッチは消費者や投資家なる民衆が牛耳る新たな時代に食われ再生したのに、
女エイリアンに食われた如く物語る無理が作劇の鮮度を減じた。
成金エセ旧家と時代の狭間で隘路に嵌った女の内面に踏み込めば快作だったかも。
株売買云々は画的にピンと来ない。
リドスコでは下位。
サスペンス要素は薄め…
役者たちの存在感がとにかくすごい。
レディ・ガガの貫禄にも驚きなんだけど、アダム・ドライバーの「なんだかデキそうで、結局何もできない感」やアル・パチーノ御大の現役感にジャレッド・レトのダメダメ感。
あと、音楽。
現代的なポップスと、オペラを印象的に配し、おそらく作中でGUCCIというブランドが暗中模索する「伝統か流行か」を見せながら、エンディングテーマでは…という辺りもニクい。
一度は豪族の名を捨て、市井の生活に入ったマウリツィオが同僚達やパトリツィアと過ごした楽しげなシーンが、後になって皮肉に思い浮かぶ。
どの時代のどの国にも存在する「同族組織」の内紛を、さすがの大巨匠だけあって上映時間の長さはほとんど気にならないくらい、ドラマとして見せてくれるが、楽しみにしていたサスペンスというよりは、社内(家族内)政治ドラマって印象が強くて、少し物足りなさを感じてしまった。
【蛇足】
以前も書いたコトがあるけど、あの有名映画評論家は、ラジオ番組の映画紹介コーナーで、公開前にこのストーリーのほぼ全てを話してしまった。
「当時ニュースになった事実だからネタバレにならないと思うけど」って、どういう感覚で映画紹介してるんだろう。
皆さんもお目当ての作品を観る前は、M氏の映画紹介にはくれぐれもご注意下さいませ。
ドロドロ・・・
GUCCIには、こんなにドロドロした人間関係があったんですね・・・。
ブランドは大成功、家族は崩壊。皮肉なものです。
さて、で、誰が崩壊させたのか?
パトリツィア?マウリツィオ?パオラ?ドメニコ?
この辺はやや複雑。
そして最後の裁判所でのパトリツィアの言葉が印象的。
やはり、お金は人を変えてしまうのか?
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