劇場公開日 2022年1月14日

  • 予告編を見る

「すべてが快楽的なトスカーナ調」ハウス・オブ・グッチ ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0すべてが快楽的なトスカーナ調

2023年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

よく一族経営の崩壊は耳にするけど、GUCCI一族の場合は、御曹司マウリツィオが殺害されたこともあり、とても衝撃的だ。それも殺害を企てたのが妻だからこそよけいにミステリー。
脱税、著作権侵害、持ち株の売却、不倫、殺人とくれば、ドラマの材料には事欠かない。

アル・パチーノとジャレッド・レトが掛け合う、GUCCI一族のダメ親子ぶりがとても印象的だった。
もう一つは、マウリツィオ(アダム・ドライバー)とその妻パトリツィア(レディ・ガガ)と彼の不倫相手(カミーユ・コッタン)の三角関係。殺害の付箋にはなっているが、あまり深刻さがない。
妻が不倫相手を「快楽主義者」とののしるシーンや、不倫相手が彼に、「過ちじゃないわ 選択よ」と言い切るシーン等、ゲームに興じる三人という感じでこちらも印象に残った。

要は、すべてが快楽的なトスカーナ調なのである。リドリー・スコットは、あえてGUCCI一族の原点を大事に温存させてたような気がする。
快楽は追うべきではないが快楽を追わないと感性は死んでしまう。そんな言葉がぴったりくる。
彼の絶妙な演出で、GUCCI一族の栄枯盛衰を心ゆくまで堪能できること間違いなし。

ジョー