「時代の端境期を見た感じ。」ハウス・オブ・グッチ CBさんの映画レビュー(感想・評価)
時代の端境期を見た感じ。
革製品で超有名ブランドを築き上げたグッチ一族。ただし現在の経営陣にその末裔は一人もいないそうだ。一族の最後がどんな様子だったかを、一族の妻になった女性の目線から描いた話。
「黄金のアデーレ」で観たクリムトの絵が!これだけでグッチ一族の金持ちぶり、かつ何でも会社の経費で買ってしまうのであろう体質が窺い知れる。そして、その絵を「ピカソ!?」と聞いてしまう主人公。彼には愛されているが、父親にはこの一言で「性格はいい娘だが、やめておけ」と見放されてしまうってシーンは、面白くかつ監督って上手いもんだなあと感心。
主人公の野望と言うよりも、よかれと思ってなすことが、ことごとく一族の崩壊へと向かってしまう感じ。グッチというブランドは、放っておいたら彼らの代で時代遅れとなってどうせ終わったのだろう。それをブランドとしてその価値を持続するには他の力が必要になったということかと思う。主人公は、その端境期につまとなり、その情熱的性格から、利用され、最後は罪まで犯すことになったという一つの悲劇のように、観た。
同族経営の限界か。悪気は感じられなかった。でも占い師に頼るところは、いかにもそういうことありそうで、人間が経営に携わる時の怖さを感じた。
ただ、あまりにも俺とかけ離れた世界なので、同情も親近感も、嫌悪感すらありません。は〜、そうなんですか、他人の家の話をと拝聴した感じ。
もちろん、面白く観ました。映画はよいけれど、感情移入する点は、全くなかったたいうこと。評価点も難しかったので、真ん中の3点にしておきました。映画の出来だけなら4点だろうけど。
アダムドライバー、レディガガ、ともに上手でした。さすが。
おまけ
やはり1978年頃には世界中でチークダンスという風習はあったんだな。日本のディスコだけじゃなかったんだな、とちょっと安心した感じ。