「ブランド品を買った感覚」ハウス・オブ・グッチ JJJJJさんの映画レビュー(感想・評価)
ブランド品を買った感覚
グッチの裏側という題材と豪華キャスト陣がブランドの持つ格調と同じく我々を魅了し鑑賞欲求をくすぐってくる。いざ見てみるとブランドに翻弄された人々の憎悪に塗れていて、その展開は予想の範疇ではあるが劇中の心理戦は充分楽しむことができた。登場人物の個性はぶつかり合うことなくそれぞれの魅力が伝わってきた。特に主人公夫婦は性格が真逆故にお互いの個性を引き出しあう関係になっていた。さらにそれらに洗練された映像美が加わり、画力の高さを感じた。マオリツィオが自転車で街を走るシーンはスタイリッシュで、パトリツィオの下着姿はとてもなまめかしい…!パウロの風貌は特殊メイクだそうですが、バカ息子感がキャラクターとマッチしていて◎でした。
ただ、外側の魅力とは裏腹に物語から得られる高揚感はありませんでした。強いて言うなら序盤の恋愛期くらい。ブランドの成功プロセスが事細語られていたり、殺人の手口が巧妙だったりしたら違っていたのでしょうが…。ブランド品という理由で高価な服を買ったものの実際着てみるといまいち愛着が持てず、「自分はこのブランドと長くは付き合えないな」と後から気づいたような感覚。あくまでも事実ベースの物語なので収まるべくして収まっているのだなと思いました。
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