「巨匠の淹れたエスプレッソを飲んだらやっぱり濃かった感」ハウス・オブ・グッチ たくろ~。さんの映画レビュー(感想・評価)
巨匠の淹れたエスプレッソを飲んだらやっぱり濃かった感
blondieの『Heart Of Glass』にのせた軽快な予告から観るのを楽しみにしてました。監督はリドリースコット。
なんとなくなんだけど、いまいちリドリースコットって特徴がないというか。キャリアのわりに、作家性が際立っているわけでもないというか。『リドリースコット監督作品です』と言われても『あ、そうなんだ』くらいの位置付けだったんですが、これは期待以上だった。歳を重ねて、円熟の極み感。
役者の個性とか、セットの意匠とか。服飾の華やかさとか。光の入りかた、巧みな音楽セレクト、煙草の煙、水のひかりまでも。全てをこれでもかと利用した、情報量は圧巻で、見てて飽きることがなかったです。『こんな旨い肉は初めてだ。なんの肉?』のくだりとか巧すぎる。一時期イタリアはトスカーナに住んでたこともあるので、感動すらした。
正直、ストーリーは込み入ったものでもないのだけども、味付けが見事で素材(役者)も濃厚で、美味しいコースでした。
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