劇場公開日 2022年1月14日

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「最後に至っても「I am a パトレシア GUCCI」とマウントしようとした。」ハウス・オブ・グッチ YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0最後に至っても「I am a パトレシア GUCCI」とマウントしようとした。

2022年1月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本で言えば、"あげまん"
GUCCI家の男に生まれてこなかった事がたいへん惜しまれる"肉食系存在感"を持った女性を
レディガガさんは見事に演じていた。 主演女優賞(オスカー)にふさわしい名演技だ。

南イタリア風(ラテン系)の登場人物たちの中にあっても、異質的なくらいに品の良い
英国紳士風アダム・ドライバーさんが演じるグッチは
自転車に乗っているだけで、彼の気品あふれる育ちの良さを 上手く表現していた。
それは まるで、マイケル・コルリオーネを観ているようだった。
彼はマイケルと同じように、自分の意思よりも
妻を中心とする周囲から押されるままに、CUCCIのドンになるが、
自分を押し上げてくれた恩人を忘れる事で、彼の命運は尽きる。
それでいて、育ちが良すぎて、貪欲さがない故に すぐにその座を追い落とされ、
また振り出しに戻って、自転車に乗った平凡な男に戻る。
そんな男の変わり様が映画の中で上手く表現されていた。
しかし喜怒哀楽があまりなかった役柄なので、アダムさんには助演賞(オスカー)は今回も無いだろう。

本作はアメリカ映画故に、映画言語がイタリア語でないのが残念であったが、
ゴットファーザー=アルパチーノさんが演じるGUCCI2代目は2つの別シーンにおいて日本語を話し、
日本人を「物静かで、お金持ちで とても良く買ってくれる」と褒めてもくれた。

街頭屋台で格安に偽バンブーハンドルが売られていた時への不法いな反応は たとえ劇中であったとしても、その異様な対応から、
現実会社からクレームがきてもおかしくないシナリオ構成には驚く
映画に出てくる靴や鞄の品質の良さはよく判らなかったが、
映画に登場するスーツジャケットはどれも見事なものだ。
特にレディガガさんが着るスーツはとても美しいシルエットを醸し出していた。
また劇中では次々と往年の名車・スーパーカーが登場し、挿入歌も80年代の流行歌が入る。
その中でYMOが出てきたのは 予期していなかった事もあり、たいへん嬉しかった。

現実には こんなお家騒動のお陰で、他ファッションメーカーと同じように
創業100年を待たずして、GUCCIはビトン(フランス)、リシュモン(スイス)と並ぶ
投資グループ「ケリング(フランス)」に吸収されてしまったので、
嫌味な位な"欧州気品"はもう残っていない。

本作は各俳優をうまくキャラ立てして裁いているのを観せてもらったお陰で
「ブラックホーク・ダウン (2001年)」後から今日に至るまで、裏切られ続けてた
リドリースコット監督 の復活とオスカー(監督賞)を確信したので
「最後の決闘」を見逃した事がたいへん惜しまれる。
今度配信で観たいと思った。

YAS!
満塁本塁打さんのコメント
2022年5月18日

はじめまして、他作でのイイねありがとうございました😊。本作はおっしゃるとおりです。ただガガ様短躯で太り過ぎで高級衣服は不釣り合いで、長身アダム・ドライバーこそ上質のスーツといい身の回り品といい高貴が似合いました。ガガ様役に忠実なのですが、それ故に「しまむら」や「UNIQLO」しか似合わないと感じました。「徹子の部屋」の気高いガガ様、今いずこ?すいません個人的感想です。またよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

満塁本塁打