「人の業に彩られたグッチ帝国の近代史」ハウス・オブ・グッチ 豆腐小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
人の業に彩られたグッチ帝国の近代史
華麗なる一族グッチのファミリービジネスの光と陰を通して一族の没落までを描く本作は、レディーガガ演じるパトリツィアを通して人の業というものをこれでもかと突きつける。いやーパトリツィアはまさにグッチの北条政子版(笑)と言うような位置付けじゃない?さながら夫のマウリッオは源頼朝か!w(どうもNHKの鎌倉殿の十三人に毒されて鑑賞中オーバーラップしてしまったw)
兎にも角にも、パトリツィアという一般人の飽くなき権力への渇望が引き金となり、一族を没落へと導いてしまう悲劇なのだ。そしてその向こうに見えるのは、セレブリティと一般人は交あわないという冷酷な現実。
パトリツィアはそもそもセレブに憧れ渇望していた人物ではないか?マウリッオの父親が看破したように彼女の中にはマウリッオへの愛以外に渦巻く欲望が初めからちゃんとあったのではないか?だとしたら惜しむらくは、冒頭でパトリツィアのセレブへの憧れという描写・伏線がいささか弱い印象だったと思う。だって彼女がマウリッオ(グッチ)にあそこまで執着をみせたのだもの。その根っこには何があるのかをもう少し丁寧に描いても良かったのではないだろうか。
鑑賞後ふと思ったのは、グッチというブランドが意志を持ち彼女を選び招き入れたのではないか?みたいな超常的なことでしたw グッチというブランドが、まさに生き物さながらに人々を翻弄する。そして一族の膠着した束縛を嫌い、新しい息吹を求め一族総てを切り捨てた…まさに因果ですねw。
あと音楽がいい!70~80年代の華麗なセレブの世界を彩る音楽は当時のヒットチューンのオンパレード!リアルタイムで聴いてた身にはもうこれだけであがる。サントラ欲しいと思いましたわ。