劇場公開日 2022年1月14日

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「野心家だけどイタくて哀れな主人公をガガ様が熱演」ハウス・オブ・グッチ oliveさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5野心家だけどイタくて哀れな主人公をガガ様が熱演

2022年1月29日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

「グッチ氏、殺される」という新聞の見出しとパトリツィアという名前を見た、当時の記憶がなぜか鮮明に残っていて、最近10年以内くらいの結構最近の話なのかと思っていたら、30年近く前の1995年の事件と知って驚きました。
最近の映画は2時間超が多く、本作も159分とかな~り長め。殺人が題材のわりに、あまり緊迫感やドキドキするシーンは無く、恐らく事実に基づき比較的淡々と物語が進行するので、途中少々退屈なところもあったが(このあたりが本作の評価がイマイチ芳しくない理由だろう)、グッチ家の栄枯盛衰が丁寧に描かれていて、全体として見応えある作品に仕上がっていると思う。

ロドルフォとマウリツィオ父子、アルドとパオロ父子のグッチ家4人の男とマウリツィオの妻パトリツィアのグッチ家の財産を巡る"内部抗争" が物語の軸で、義父と嫁の対立、それぞれの父子の確執があり、最終的には夫と妻の関係が破綻し悲劇に向かっていく。
ロドルフォもアルドもどちらも息子が可愛くてたまらないのに、洋の東西問わず"親の心、子知らず"なのか・・何ともせつない。世間知らずで人がいいマウリツィオならパトリツィアのような野心溢れる女に簡単に落とされてしまうだろう(あんな金持ちの家の息子が護衛も付けず1人でバイクや自転車に乗ってフラフラと自由に出かけていたという無防備さに驚いたが)。パオロは才能も無い(あの髪型や私服のセンスを見れば明らか)のにデザイナー志望とか、典型的なバカ息子に育ってしまった。

パトリツィアも本当は夫のことが好きで離婚などしたくなかったのだろうに、あれこれ仕事やグッチ家の人間関係に口出ししたり、"自分のアドバイスで上手くいった"と恩着せがましいこと言ったり、感情的になって夫を侮辱する暴言を吐いたり、ストーカーみたいに待ち伏せや留守番にメッセージ残しまくったり、最後は娘をダシに関係修復を懇願したり、、悪手ばかりやらかすただのイタい女になってしまった。そんなことしたら、ますます嫌われるだけなのにね。。まぁ元々ロドルフォが反対していたように、身分違いなんだろうけど。やはり裕福な家の嫁にはある程度の"教養"は必要だろう。かといって、中盤以降に登場してきたパオラもどうかと思うけどね。明らかにマウリツィオを狙ってるのがミエミエで嫌~な女(笑)。ていうか、何故最初からパオラと結婚しなかったのか?
パトリツィアはいつも自信満々で強気に見えても内心は常に不安だったから、あんな占い師ピーナを盲信してすっかり頼りきってしまったのだろうか?夫を殺したいほど愛していたのか、他の女に取られるくらいなら殺してしまえ、と思ったのか。。他に解決策は無かったのか、そんなに全てを手に入れないと気が済まなかったのか・・? 優しい夫と可愛い娘がいて生活に困らない程度のお金があれば十分ではないか、と高級ブランドに全く縁がない当方は思ってしまうのだが。ピーナに出会ってなければ、最悪の事態には発展していなかっただろうに、マウリツィオは勿論だがパトリツィアにとっても不幸なことだった。殺人を依頼してバレないわけがないのに、何とも短絡的な計画。
現在のグッチにグッチ家の人間はいないそうだが、パトリツィアの娘さんはどうなってしまったのか?何の罪もない彼女が気の毒すぎる。

olive