劇場公開日 2022年1月14日

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「愛憎劇の構図としては意外とシンプル」ハウス・オブ・グッチ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0愛憎劇の構図としては意外とシンプル

2022年1月18日
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鑑賞方法:映画館

私が大人になる前後(1980〜1990年代)までのグッチは、格式はあるがおばさんが持つバッグという印象が強かった。今でも若者が持つにはハードルが高いが、若者も欲しくなるデザインのものが多くなっている気がする。本作を観て思ったのは、その転機がこの事件かもしれないということ。
たしかにグッチ一族に起こった大事件ではあるが、映画としてはあくまでパトリツィアとマウリツィオの愛憎劇としか思えなかった。結局、マウリツィオを殺す動機は愛情から発生した執着と憎しみでしかない。事実に基づいた物語だから仕方ないんだけど。愛憎劇として考えると意外とチープだし、よくある話とも言える。むしろ同族経営のグッチがどのように変貌していくかの過程が面白かった。
パトリツィアが出会った当初グイグイ来る感じとか、グッチの経営に口出していく感じとか、レディガガはうまく演じていた気がする。あまり洗練されていないマウリツィオが押されて結婚に至るのもわかるし、グッチの後継者となり自信を持った後恋した女性が上流階級の匂いがするのもなんかわかる。父親が感じていた不穏なものは正しかったということになる。それもモヤモヤしてしまうな。

kenshuchu