劇場公開日 2021年12月11日

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「なんとも不思議な二部作。観て、よかった。」ジャンヌ CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なんとも不思議な二部作。観て、よかった。

2022年2月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「ジャネット」「ジャンヌ」を劇場で一気観することができた。観てよかった。
なんとも不思議な2作品だった。

「ジャネット」は、百年戦争が続く中、フランスの疲弊しきった農村の一少女が、自分が指揮官になるしかないと思い立ち、戦場に赴くまでの話。
「ジャンヌ」は、百年戦争がほぼ終結した状況下で、当時の教会の知識人であり権威である人々が、ジャンヌダルクを裁く話。

両作並べるとわかるように、ジャンヌの挙兵や戦闘シーンは時間的には両作の間に位置し、ほぼ映像化されない。わずかに、二作めの冒頭で、ジャンヌが唯一敗れるパリの戦いへの出馬シーンが描かれるのみ。一作め同様に、そこら辺にいくらでもありそうな小さな丘の上で、状況報告が行われるだけで話は進み、次のシーンでは教会に移っている。これがまた、拍子抜けのようにも思えるが、見終わってからあらためて考えると、なんかいい感じ出しているんだよな。はるかな昔という感じも含めて。

「ジャネット」は、抜けるような青空、真っ白な雲、きらめく陽光が降り注ぎ、きれいな小川がせせらぐ美しい自然の中で、ジャンヌは毎日思い悩む。「なぜ神は人を苦しめるのか。永遠に続く苦しみも神の思し召し。あなたは正しい。でも考えずにはいられません。冒涜でしたら、お許しを。地獄の亡者を救いたいのです」と。「私達は働いて今あるものを守り続けるのよ」と語る友人、「それは神の役目、人間のものではありません、滅びを止めたいなら、祈りなさい。力の限り苦しみを味わうのです」と説教する修道女たちと日々話しながら、ある日とうとう思い立つ。話はただこれだけ。

原っぱにいる主人公のところへ、一人ずつ現れて、主人公と話し歌い踊る、その繰り返し。
それを多くの現地採用俳優(つまり素人)が朴訥に演じる。ミュージカル風に、ロックミュージックに合わせて、ヘッドバンキングしながら歌い踊るシーンすらある。このヘッドバンキングが素人だからまたなんとも言えないノリ。しかし、それがまた観終わった後に忘れられない味として心に残る。ホント、変な映画だ。癖になりそうだ。決して嫌いじゃない。

「ジャンヌ」は、指揮官として戦ったジャンヌを神への謀叛として裁くことは決まっているのだが、魔女として火焙りにするのか、反省を引き出してごく軽い刑とするのか、を権威者として、知識人として決定すべき男たちの話。
「私が神から聞いたことは話しません。私へのお言葉なので。聞かないでください」と頑なに言わないジャンヌに対し、「お前は異端だ。正しい神に叛いていた。それを認めて反省しろ」と繰り返す男たち。話は、ただこれだけ。
前作とは全く異なり、(屋外ではなく)ほぼ、荘厳なる大教会の中で進む展開。

1430/5/30に執行されたジャンヌの火刑から、フランスの勝利で終わる百年戦争の終結1453/10/19までには、さらに23年の期間が必要だった。

おまけ
これ、もしも日本で作るとしたら、ジャンヌ役は黒島さん(結菜)だな。こんなピッタリな俳優、なかなかいないぞ。でも作られる訳はないなあ、ホントに残念だ。

CB