「道具は一流上等なのに、素材やネタの調理がマズい」雨を告げる漂流団地 Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
道具は一流上等なのに、素材やネタの調理がマズい
『夏へのトンネル〜〜』と同日に鑑賞した作品ですが、コチラは公開2日目で3連休初日でもあるためマズマズの動員数でした。ですが、この作品も『夏トン』同様イマイチ‥‥
その理由は、鑑賞中ずっと男女の口論にイライラしっぱなし‥‥w
そもそもティーン向けだったのかも知れませんが、子供絶えられるかな?
また物理的に不自然な描写が多々あって(ファンタジーだから何でもアリかも知れませんが)、同じ様な度し難い展開が何重にも折り重なってきます。そこに更にヒステリックな男女の怒鳴り合いが重なるモンだから、お前らいい加減にしろ! と突っ込みたくなる気分に。
ソレを狙ってたならば制作陣の術中にハマった訳ですが、こちとら気分良くありませんw 挙げ句後半は珍しくスッカリ集中力を欠いてしまい、今この時点であまり覚えていません。
身も蓋もないところでは『雨を告げる』が超展開・ご都合の力技を示すのか、ナゼ大海に放り出され、ナゼ戻ってきたのか、子供のデカい包容力がないとモヤります。
最初は『漂流教室』や『十五少年‥‥』みたいなものをイメージしてましたが、内容的には後者に近いのでしょうか?(十五少年、内容スッカリ失念しました)。
古いマンション内だけでは行動に制限がかかり、出来る事も少ないためストーリーの風呂敷が広がらないがための、イチイチ超展開を繰り返さざるを得なかった様相がうかがえます。ソレにプラス、非日常にパニクって子供ながらに言い争いが絶えなくなるのも解る気もする一方で、そんな無限の体力によるコウスケ&ナツメの口論+お姫様のカンシャクはサスガに飽きます。
また家族や幼馴染のイザコザ等にこの絶望的な環境が、話全体を暗くしてしまって、子供主人公の創作らしくない気も。ソレが上記の通り『天ぷら』でやって来るのです。
そう言えば、お祖父ちゃんとの描写が作中殆ど出てきません。思い出話で整理されてて実体がなく、掴み所がないのもストーリー上マイナスかと。その他重要な描写が尺都合で省かれてる可能性もあり‥‥
その様なストーリーの建付け不良があり、コチラもまたパッとしない仕上がり感に。
ただ優れていたのが、職人技を誇る声優の演技力。ビジュアルや演技の秀逸さが、却ってストーリーの欠陥に注意を集中させた感も否めません(コレで演技までダメだったら駄作の局地)。
演技もビジュアルも上々なレベルだったのに、創作上最も重要な『お話』の紡ぎ方がダメダメな残念作です。ペンギン・ハイウェイはソコソコ面白かったのにな‥‥
コメントありがとうございます。仰る通り、前半は各少年少女の生活環境をもっと深堀りする描写に割いても良かったと思われます。団地を早く海に浮かべたいと焦った様な展開で、自分のやりたい事に前のめりなのは、若い監督・脚本家に有り勝ちでしょうか。そのせいで大局が見えていなかったのかも知れません。
確かにおじいちゃんをめぐっての嫉妬や誤解に基づく反目が二人の距離感の原因なのに、おじいちゃんの美徳に関わる描写がなかったです。
それじゃあ作品の説得力が出るはずないですね。