「「ダ・ビンチ・コード」など今なお世界を魅了し続けるレオナルド・ダ・ビンチ。これを見ると、「最後の傑作」とされる「男性版モナ・リザ」の様々な経緯が分かる!」ダ・ヴィンチは誰に微笑む 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
「ダ・ビンチ・コード」など今なお世界を魅了し続けるレオナルド・ダ・ビンチ。これを見ると、「最後の傑作」とされる「男性版モナ・リザ」の様々な経緯が分かる!
本作のキャッチコピーは「13万円だった絵が史上最高額510億円に」とあります。
そもそもこの絵画自体は1500年頃に描かれたものです。
その絵画を2005年にオークションでアメリカの美術商が約13万円で買い取ります。
ところが、それが、わずか12年後の2017年には、オークションで美術史上最高額の約510億円という金額にまで跳ね上がった現実の出来事があるのです。
なぜこのような事態が起こったのか?
それは、「ダ・ビンチ・コード」など今なお世界を魅了し続けるレオナルド・ダ・ビンチによる「最後の傑作」とされる「男性版モナ・リザ」であるからです。
ただ、この話は意外と深く、そもそも「本当にレオナルド・ダ・ビンチ本人が描いたものなのか?」というところから検証が必要になってきます。
描き方や時代背景等を考えると、レオナルド・ダ・ビンチに関連した作品であることは間違いなさそうですが、レオナルド・ダ・ビンチ本人か、彼の工房の弟子によるものなのか、が微妙なラインだったりするのです。
しかも、1500年頃に描かれた絵画で、保存状態も良かったわけでもないので、修復作業などもされています。
「世界の救世主」である「イエス・キリスト」を描いた肖像画とされていて、レオナルド・ダ・ビンチによる「最後の作品」というのはどこまで本当なのでしょうか?
レオナルド・ダ・ビンチによる「モナ・リザ」は誰でも知っている作品ですが、まさにその対となるような「男性版モナ・リザ」であるのなら(手数料込みで)510億円という価値があるのかもしれません。
ただ、この美術史上最高額で購入したのは誰で、今その絵画がどこにあるのか、も公式には知られていないという信じ難い事態になっているのです。
象徴的な出来事は、2019年にパリのルーブル美術館で「ダ・ビンチ没後500年記念」という大規模な展示会で、その「男性版モナ・リザ」が展示される、という噂がありました。
まさに、この時の舞台裏を関係者らに詳細な取材をしているのです!
このように、本作は、とことん当事者や関係者にインタビューをして、どのような経緯で「13万円だった絵画が史上最高額510億円になったのか」を明かしているのです。
ちなみに、その過程では、レオナルド・ディカプリオも思わぬところで登場したりします。
本作は、同時に、そもそもの物の値段の考え方や情報の裏取りの大切さも実感させてくれます。
これはネタバレになるのでボカシて書きますが、この絵画の購入者は、ある国の人物だという事がスクープされています。
作中の、ジャーナリストや広報関係者のインタビューで、それが事実だと分かりますが、映画の中で「経済的な事情」とサラッと語られている点は、その国の経済事情も合わせて知っておくと、より楽しめる部分で、それが無かったのは少し惜しいところです(ここで解説もできますが、ネタバレも関係するので自重します)。
いずれにしても、平凡なドキュメンタリー映画ではない、かなり今後のニュースにも関係のある知っておきたい情報が満載の作品でした!