茶飲友達のレビュー・感想・評価
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うちらがこの町のセイフティネットなんだから。新しい当たり前つくっていこうね。
老人相手のデリヘル。キャストも老人。暗黙で本番ありの。70代の8割は性欲がまだあるというくらいなのだから、現実にあってもいいんじゃないか、そう思わされるほどに、幸せな関係を保つビジネスモデルだった。客もキャストも、運営する若者も使われる老人も。実際、世の中のデリヘルでさえスレスレなんだろうから、この映画の中の連中だって完全アウトではなくて、スレスレでグレーな世界。むしろ、ニーズをくみ取り、さらに雇用もうみ、ウィンウィンじゃないか、と擁護する気持ちにもなる。
付け加えれば、妖艶なベッドシーンも、さらけ出す裸体もない。むしろ、そのおかげで幅広い客層が鑑賞できると思えるので、いいことだと思う。エロ目的ではなく、純粋な社会問題の一片と思ってみてほしい映画だ。
老人の性を中心にしながら、命、生き方、親子、いろいろな問いかけがある。それぞれに、嘘と建前に飾られた偽物の親切と、苦しみと我慢に隠された真実の優しさがある。当然、偽物の親切はいともたやすくメッキが剥げるし、真実の優しさは強固で不動のものだ。それが顕れるのが、日常ではなく逆境の場面だというのが皮肉なのだが。それは、実社会でもそんなものだからしょうがないか。
マツコのした(しなかった)行為が犯罪であるならば、それは人間の生きる権利(死ぬ権利)への蹂躙ではないか、とさえ思う。それを犯罪として罰することよりも、そういう老人ばかりになってしまっている世の中の仕組みを変えることにこそ、政治はエネルギーを注いでくれとも思う。このさき、自分が老いていく時代が、この世界よりももっと世知辛いのが目に見えている以上、この映画のすべてが悲しくしか見えない。そして、そう思わせてくれることにはほのかな嬉しさしかない。(たぶん、いい映画を観たという気持ちなんだろうけど)。うまく説明のできない、なんだか、へんな感情になっている。
愛と売春の境界みたいな話は昔からあるけれど、高齢者対象の売春で、...
愛と売春の境界みたいな話は昔からあるけれど、高齢者対象の売春で、しかも売りも高齢者というのは、ちょっと奇抜。そこにファミリーとは何かという問題が、単身者の増加と家族の解体の文脈で描かれているのは時代を映し出している。
が、気持ちが理解され家族と言えるのかと思えた相手に裏切られるラストは、陳腐なストーリーだけど厳しい。利用されてたけれど必要だったという言葉も悲しい。
そして、本当の母親が家族だからとしゃしゃり出てくるラストシーンは脅威だ。その母親の表情が美しいだけ不気味。
名演小劇場の一階の椅子は立派で快適で、休館になるのは本当に残念。
意義ある作品、そして磯西真喜さんが素晴らしい!
出演されている俳優陣の素晴らしい演技を楽しめる1作です。
特に、磯西さんの演技が素晴らしかったです。多分舞台を中心にご活躍されていらっしゃる方なのではないでしょうか?
さて、本作。
想定と違っていたのは「家族」とは?というテーマが下地にあったことでした。ちょいとその辺りの描き方にチープ感がありました。お話の落とし所がよくある展開ということと、うーむ、そんなに簡単な話じゃないんじゃない?わかりにくいから家族なんじゃ?って思っちゃったからです。だから、家族とは?を描くにはちょっと無理があった気がします。
それよりも何よりもこの商売に従事する高齢者、利用する高齢者の「根っこ」を掘り下げて欲しかったと思います。なんともステレオタイプな人物描写ばかりで、どこか「私には起こり得ない世界」って見え方がしちゃいそうな気がします。清廉潔白最高!な日本では「必要悪」なんて絶対に認められないし、そもそも「必要悪」なんて言ったら最後な感じがします。
本作で描かれる「売春」は犯罪です。
けどね、手に入れなければならないことってあると思うんです。厚生省が認可していない薬や手術を高額で手に入れる人のように、例え違法行為でも支えがないと歩けない人がいると思うのです。そんなとっても重要な提言を本作はしているのではないでしょうか?本作に登場する高齢者たちは、きっと僕たちの明日のような気がします。誰にでも老いが来て、老いによる環境変化と人間という生き物のなんらかの欲求のせめぎ合いがあるはずです。
この方法を選択するしか埋められない状況があるという現実と、これからこの現実が多くの人の未来になること知り、どうすれば良いか?を多くの方々が考えなければならないのでは?と思うのです。そのためにも本作が多くの映画館で上映され多くの方に見ていただく必要性はある気がしますし、そこに本作の存在意義があると思うのです。
「必要悪」ってなんだろ?必要ならそれは果たして「悪」なのだろうか?
物語としては少々残念でしたが、製作された意義を讃えこの評点です。
家族とは?を問う秀作でした
切なさと、エロさ加減が秀逸のポスターに魅かれて
老人も若者も、多かれ少なかれ孤独を感じながら生きている。孤独とは?家族とは?身につまされる重いテーマでした。結局孤独と家族関係は切り離せないのだなと痛感しました。
途中まで楽しそうな疑似家族の雰囲気に、一種の憧れさえ感じてしまいましたが、そうは問屋は卸さじ。他人に孤独を解消してもらおうと依存しても、自分の心持ちを変えねば同じなのですね。青い鳥は自分の中にいるってことでしょうか。
「PLAN75」は架空の話だったのに対し、こちらは実際に起きた事件を題材にしているので、すっきりと解決はしませんが、より現実的に難題を突きつけられた気がします。直近に迫ってきた老後、さてさてどうしよう…。
岡本玲さんの迫真の演技は必見です。
茶柱入り玉露
茶飲友達=ティーフレンドという老人男性向けに老人女性を派遣するデリヘルの話。
セーフティネットだのファミリーだの新しいビジネスモデルだのと言いつつ、優しい言葉をかけて老人女性を勧誘する元風俗嬢の代表と、スタッフとして働く若者たち。
表面だけみるとまるで良いことをしている気にさせる気色の悪さと、本気でそう思っていそうなマナ。
まあ実際掬われている人もいるのだけれど…。
途中ちょっとズレたヌルい考えのスタッフの妊娠話しとかもあったけれど、ただでさえ長い尺に結構な尺を使っていてちょいダルいしパチンコ依存はもうちょい掬い上げる動きがあっても良かったのでは?な投げっぱなしで、これではのパン屋のフリの様な。
とはいえ、主人公はあくまでもマナであり、そこを踏まえて振り返るととても面白かった。
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