茶飲友達のレビュー・感想・評価
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地に足のついた高齢者の姿
なんとなく、世間は高齢者に対して性的な存在であってほしくないと思っている気がする。しかし、そんな勝手な「理想像」を押し付けていていいのだろうか、人間はいつまでも性的な存在ではないかと、この映画は静かに語りかける。
孤独な高齢者が新聞の三行広告で「茶飲友達募集」の文字を見つける。これは実際にあった出来事から着想を得ているそうだが、実際の事件でも「茶飲友達募集」の文字だけで、わかる人には性的な何かだとわかったらしい。実際に売春グループが摘発された時、1000人ほどの会員が登録していたという。
人のぬくもりというものは、いくつになっても価値あるものだと思う。この国では高齢者は、もう数的にはマジョリティとなっている。この映画が描いたものは、多くの人にとって他人事ではない。いつか誰もが老いるのだから。
本作は、貧困にあえずぐ若い世代の物語でもある。社会の足元が確実に崩れてきていることも実感させる作品だった。ややシナリオが散らかった印象もあるが、現代日本にとってとても大切なことを描いた作品だ。
茶柱
このレビューは834文字と長いです。
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なんとなぁ~く観た作品。
孤独な高齢者が新聞の3行広告を通して
お互いの隙間を埋めていく何気ない映画と思っていた。
しかし、隙間の埋め方よ....
何となく痛々しく観始めたんだけど
少しずつ、少しずつだけど何となく共感する自分が居て。
若いころは友達が沢山いて、彼女もいてただ一緒にいるだけで
満たされて
しかし、歳を重ねるごとに環境は変わって
友達は仕事仲間に変わっていったり彼女は奥さんになったり。
自分一人を考える事が少なくなって、時間が経ち
子供は巣立ち衰えていき気が付けば周りに話せる人がいなくなり
孤独になってしまった。
そんな人は今後どのように隙間を埋めればよいのだろうか?
快楽だけを求めるのではなく、人肌の温かさの向こうにある
快楽に手を伸ばす。
お金を払って。
それがタブーと知っていても。
レビューを書く前に、他のレビューをさらっと読んでみたが
「悪」とする人。
「気持ち悪い」とする人。
良く分からん人www
が居て。
当然千差万別十人十色。
色んなレビューが出て当然だろう。
しかし、読んでいて「なんだかな?」と思ってしまう。
恐らく自分が人生100年であるとしたら半分を過ぎた男だからであろう。
何となく老後を考える事がある。
自分が孤独にならない保証はどこにもない。
その時自分はどうするだろうか?
高齢化社会。
経済の低迷。
若い人は頑張ればなんとかなるかもしれない。
しかし、折り返しを過ぎた身としてはそこまでのモチベはない。
まあ、今現在の人間関係を大切にしようとは
今まで以上に思ったけど。
と、675文字使ってレビューと言えるかどうかわからない事を書き綴ってしまった。
若い世代がこの作品を観た時にどのように思うのだろうか?
若くても孤独な人はいると思うのか?
年寄りのくせに汚いと思うのか?
それとも.....
実際にあった高齢者デートクラブを題材としたこの作品。
何となく考えさせられる作品でした。
人類最古の職業について、自分なりにもう一度考えてみてください
老人相手の売春組織の話なんですが、根本的には売春自体が是が非かが問題なんですよね
老人は寂しさとか心の繋がりとか言うけれど、若者だって、溢れる性欲をもてあましているんです
映画というものは、是枝裕和を観ていてもそうですが、特殊なシチュエーションを切り取って観せるので、今回は老人に限って切り取った作品というだけです
売春が是か非かと言うなら、今の日本では非です
国によっては違いますがね
女性解放の手段として、売春禁止法が施行された
男性の風俗しかなかったからね
男も女も区別がなければ、矛先は違ったかもしれない
生物学的にいうと、優秀な遺伝子を残すためには、優秀な遺伝子以外は淘汰されます
結果、少数のオスがメスを独占するのです
人間も生物ですから、根本は変わらない
しかし、人間には感情があります
モテない人は、一生独り身で過ごすなんて、悲しいですよね
これは男も女も変わりません
モテない人、歳をとって見向きもされなくなった人を救済する事は出来ないのだろうか
昔のようにお見合いとかじゃだめだ
無理やり制度として結婚してもストレスになるだけ
でも自然なに任せれば、必ずたくさんのアブれる人が出てくるんです
お金を払って身体を重ね合う
そこには愛は無い
本当は愛こそが欲しいんだけれど
でも、身体の欲求だけはみたされる
せっかく生まれてきたんだから、それくらいはいいのではと思う
これは、男女共に恵まれない人の本音ではないですか
ヒロインが自分はプライドを持ってやっていると叫ぶけど
それは一理あると思う
ただ、管理し利用する人が、誇りをくすぐりながら利用しているのも事実
違法であるせいで、当事者は搾取される
違法のまま放っておくのがいちばん良くない
合法であれば、公的機関や大企業のもと、誇りをもてる職業になれるんじゃないだろうか
作品はそれぞれ事情があるんだと、いやに組織(ファミリー)の味方になるような場面を入れ込むんだけれど、そういう切り込み方はなんの解決にもならない
でも、問題提起にはなった
年寄りは日向ぼっこしてろ
裏を返せば
若くても恋愛下手(精神的なだけじゃないですよ。ビジュアルやら障害も含めます)は
じっと一生我慢してるか、趣味や仕事に没頭して忘れなさいってか
これが健全な人生ですか?
最近は一生誰とも付き合わず、独身のままで過ごす人が増えてきましたが、これは生物学的なアキラメなのかなあと思うことがあります
これは、感情が退化しているんじゃないだろうかとも思う
人間らしさが失われていくなんていうと、バッシングをもらいそうで怖いですが、あえて言うなら、抑えきれない感情があるから人間なんじゃないだろうか
わかる年齢になってきた
暇を持て余して暇つぶしになる映画を探していた。おもしろいタイトルに惹かれて何となく鑑賞してみたのだが…。
暇つぶしでは片付けられない内容だった。高齢者売春という実話にもとづいた内容なのだが、「買う側」の年齢にどんどん近づく自分に重ね合わせていたからだと思う。
若い人には気持ち悪く映るかも知れない。爺さんと婆さんの性行為なんて…。
人生100年時代などと言われるようになって久しいが、心臓が動いて呼吸しているだけでは意味がない。高齢者だって温もりがほしいはず。だが、ドンファンでもなければ相手をしてくれる人なんていない。自分ならどうするんだろう?と自問自答してみたが、答えは見つからなかった。いや、怖くて見つけようとしなかったのかも知れない。
陽のあたらない場所に追いやられていく高齢者たち。いつか自分も同じ道を辿ることも知らず嘲笑する若者たち。この国の少子高齢化と人口減少に歯止めはきかず、いつか立場が逆転する日が来る…。
思い返してほしい。芸能界での性スキャンダルの多さを。毎年誰かが画面紙面を賑わしている。一般人とて同じなはずだ。むしろ文春のようなハイエナがいない分ハードルは低いだろう。
それにしても役者さんって大変だ。高齢で売春、買春の役を演じるってどういう心境なんだろう?顔を知っている役者さんは二人だけなのだが、名前までは知らなかった。松子役の方も文字通り体当たりの演技が素晴らしかった。
若さだけの自由と高齢者の孤独なんて紙一重だなって思った。
孤独の居場所で
誰かの忘れもののような時間に力が満ちていく瞬間。
それがたくさんあったのは事実だ。
そして、家族との確執から抜け出せないでいる主人公が仕事を運営する姿はたしかに生き生きとしていた。
だがそれは社会的なルールを越えていた。
自分の寂しさを他人の孤独で埋めている行為だと言われても反論できず、築きあげてきたものは簡単にくずれ去って消えた。
「次はねぇ。」のを本当は誰よりも知っているはずの彼女が終わらないわだかまりのなかでもがく姿は辛く、そこをつなげられる存在の弱さの残念さ、正しくいかされなかった経営の才能がもったいない。
知らない世界だったが実話がベースという。
孤独の居場所を蛍や星のように光らせてみたら、この世の中の暗闇はどんな眺めになるんだろう。
行政では救えない“スキマ的な需要”それを満たすティー・フレンド
性風俗を描いた映画には独特の、
好奇心を刺激するスキャンダラスな一面があり、
その点では、かなり面白いと思いました。
見たことのある役者は渡辺哲さんのみ。
主演のデルヘリ「茶飲友達」のオーナーのマナ役の岡本玲さん
以外はオーディションで選ばれた役者だと聞き驚きました。
女性の場合、高齢者の方が、ヌードシーンに抵抗があるのでは?
と思うが、無名俳優の芝居への情熱と層の厚さを思い知った。
(このことは「侍タイムスリッパー」でも、同様の事を感じました)
この映画のデートクラブというかデルヘリは、
オーナーのマナが「大きな家族の家」を理想としていて、
自分が風俗嬢で働いて感じた《怖い世界》を、
ユートピアにしようと日夜頑張っている。
万引きしている老女・松子を、咄嗟の機転で
助けて、仕事に誘う。
松子は意外と適応性がありNo.3の指名が付く売れっ子になる。
松子は両親の介護に青春を費やし、解放されたと思ったら
喪失感と虚しさで生きる意欲を失くしていた。
主催者のマナは厳格な母親との確執からか?
風俗嬢をして来たが、自分が立ち上げた「茶飲友達」を
ユートピアにしたいと願い擬似家族のように松子にも接する。
演じる岡本玲はとても美しくて演技も上手くて、
素晴らしかった。
(wikiを読むと近年は上質の舞台に多く出演しているようだ)
会員数が1000人を突破して、
マナと男性スタッフの誕生日のお祝いで盛り上がる。
そんなすぐ後でアクシデントは起こる。
松子がホテルで落ち合ったよ客が、松子がシャワーを浴びてる
間に自殺したのだ。
死ぬ客を助けもせずに、死ぬのを見届けて、部屋を抜け出す松子。
松子は《死なせてあげる》ことを正しいことと、頑なに正当化する。
このことで、「茶飲友達」は摘発されてマナは逮捕される。
婦人警官とのやりとりが、面白い。
「ルールはルール」という警官と、
「ルールで助けられない“孤独な老人たち“がいる」と、
自分は悪くないと自説を話すが、逆上して殴りかかり
マナは素顔を晒してしまう。
マナが重病の母を見舞って修羅場になる場面。
そして母と娘のように信頼しあって見えた松子の裏切り。
売上金もシルグルで出産する覚悟の若い女に持ち逃げされたり、
信頼するに足る、信頼に値する人間は、このメンバーの中に
何人いるのか?と訊ねたくなる。
「茶飲友達」はマナの仮想ユートピア」でしかなかったのか?
マナの実母への憎しみ、毒ばかり吐く母親。
毒親は子供をスポイルする。
高齢者の客は金を払い、その対価としてサービスを受けた。
孤独を慰め、人肌で温め、仮想の“愛の時間“を受け取る・・・
性風俗は必要悪?
(悪というか?いいえ、悪ではない、)
公衆トイレのようになくてはならない?ものかもしれない。
気持ちよく見ていたら
最後のしっぺ返しがキツイ。
ガッツリ持ち上げて、ドーンと真っ逆さまに落っことされる・・・
これが現実なのね。
マナはきっとまた復活する・・・
「大きな家=シェルター」を売春ではない方法で
作ってほしいと、願う。
孤独 家族 老後 ルール 絆 売春 だめなことだとしても、それのお...
あなたの人生がつまらなくても恥じるな。
「希望を持ちたかったから死にたくなった」
高齢化の問題
茶飲み友達募集、て広告見たら素直に茶飲み友達と思うよね。でもこの広告は希望者には売春買春の斡旋。確かに、高齢化する世の中、切実な問題なんだろう。
ただもうそんなことはどうでもいいけど、寂しさを感じてお茶飲みながらお話しする友達が欲しいと思う人ももちろん居るだろうし、まだまだ現役〜だけどもう相手がいない、受け入れてもらえない人にとっては欲しいシステムなのかも。
経営者のマナは実の母と確執があり、茶飲友達に募集してくる老人や社員と家族のような繋がりを求めている。
映画を観ているだけでは冷静に深入りしすぎでは?と思える。妊娠してしまった社員の女の子に、みんながいるよ、一緒に育てれば、、、と言っていたけど、甘いよね。
1人のコールガールの事件からマナは逮捕されてしまうが、警官の女性とのやりとりが面白かった。マナの言っていることもわかるが、警官の言っていることも正しいと思った。確かに母との確執から寂しさを埋めるためということもあったんだろうな。面会に来たマナのお母さん、もっと早くあの言葉を言ってあげてたら良かったのに。
高齢者の性の問題、シングルマザーになることの大変さと社会の問題を突きつけられる映画。
渡辺哲さん以外がオーディションということも驚き。
コールガールを演じた方々、すごいね!
自分の寂しさを他人の孤独でうめるんじゃないよ
寂しさを癒す=性欲を解消するという公式が成り立つ限り、茶飲友達(ティーフレンド)の売春行為は正当化される。
妻に先立たれたり、妻から相手にされなくなったり、話し相手がいなくなったりと、理由は高齢者の男性の孤独に起因する。孤独感は動物的本能とマッチングし、性欲の解消の提供側の運営側の若者たちとコールガールたちの孤独感とも微妙に連鎖していく。
寂しさを癒す手段はこれしかないのか。他に解消する方法があるだろう。この昔から受け継がれてきた大人の問いは、この空間では、「正しいことだけが幸せじゃないんだよ」という主宰者の若い女性の言葉でかき消される。
この主宰者は元風俗嬢で、余命いくばくもない母親とはそりが合わず、親子関係は決裂している。
でも、主宰者は、正しいことではないということは認識しているようにも見える。
善悪や幸せの輪郭が、性欲による快楽によってボーダレス化していく世界。
「自分の寂しさを他人の孤独でうめるんじゃないよ」
主宰者を取り調べる女性警察官の言葉。この言葉が正解とはけっして思わない。だが、少なくとも眠気眼が、一気にカッと見開くような衝撃が走ったことは間違いない。
高齢者の性を描くことで、若者の生を浮き彫りにする
茶飲友達の紹介と題してコールガールを斡旋する高齢者風俗を営む若者と、そこで働く女性、そしてお客さんとの繋がりを描く。
高齢者の性に興味があって、軽いノリで見ようと思ってるそこのあなた。
想像を絶する展開で、吐き気がする程胸糞悪いから安易に手を出さない方がいいと思う。
私は既に「子宮に沈める」以来の引きずり方してますwwww
見ない方がいいわけじゃない。すごく元気つけられるシーンもあるし私は後悔していない。
ただ、色々な方向から裏切られ一人ぼっちにされた気分なんだよ。
これがまさに高齢者、若者の抱える孤独の重みなのかもしれない。
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高齢者の性。なるべく目を背けたいテーマであり、どこかタブー視された問題に切り込んだ作品でもあるんですが、その反面、現代を生きる若者の生活も浮き彫りになる社会派な映画だった。
妻に先立たれ生きる目標もなく孤独に生きる高齢者に”茶飲み友達”を紹介し、ひと時の安らぎと快楽を与える。
彼女たちはそれを”ホームヘルパー”ないしは”人助け”と呼ぶ。
確かに作品に登場するお客さんで不幸になっている人なんてひとりもいない。
風俗嬢も必要とされる喜びと、有り余る大金を手に入れる。
そんな高齢者の新たな幸せを描く光があれば、若者のくすぶる闇もあるのがこの映画。
夢は?、子どもは?、家族は?
人助けと言う名のマスターベーションで課題を見てみぬふりする感じがリアル。
家族とのつながりが希薄になってきた我々には、仲間という新たなファミリーがあって
それを作り上げようとしたひとりの女の子の話なんだよね…
でも完成したのはバベルの塔であり、それがあまりに浅はかで、脆くい。
現代における家族が何なのか、その儚さと残酷さまでが詰まりに詰まった映画。
135分は長いようで、あまりにもこのテーマを扱うには短すぎる。
映画の冒頭とラストのシーンが、彼女の信じた正義へのアンサーだよ。
映画としてのバランスが 完璧に近いと思った。 考えさせられるところ...
映画「茶飲友達」のバトンの行方
■シニアの性というタブー
シニアは性欲をもたない、性的なスキンシップを求めないという先入観、そうあって欲しいという願望、さらにそれが社会的なタブーになっています。
しかし、中世の昔から年老いた男の悪癖は「強欲と好色」(ちなみに、女性は「虚栄心」)といわれるように、現実に生きるシニアとの間に大きなギャップを生んでいます。
この映画は、特に映像を通して、そこに切り込みます。
外山監督のシニアの婚活をテーマにした前作『燦々』でも、シニアの性欲のタブーに触れていましたが、今回はそれを通り越してシニアの「売春」という日常を描くことで、このタブーの解体に成功したように思えます。
ただ、性欲に限らず、今なお「老人」や「高齢者」にまつわる固定観念は、数多く残っていてシニアの活動を縛っています。
例えば、老人は若者の手本になる賢人たれ。ある年齢になったら引退して老後をすごす、などなど・・。
そう考えると、性のタブーの問題は、氷山の一角だともいえます。
■二つの異なるテーマが混在
この映画は、2013年に警視庁に摘発された実在のビジネスが元になっています。
ただし、若者が登場するところは映画のオリジナルです。実際の売春組織の胴元は若者ではなく70歳の男性です。
そのことで、この映画は単にシニアのタブーを扱うだけでなく、現代社会の異なる一面を描く作品へと拡がりをみせます。
ティ・フレンドに集う若者、高齢女性、高齢男性に共通しているのは、孤独で、居場所がないことです。他人とのつながりが稀薄で、日常生活にどうしても生きている実感が得られない。
そこに主人公マナが売春ビジネスを成功させながら、持ち前の求心力を発揮してメンバーを取り込み疑似家族(「ファミリー」)を築いていきます。
しかし、そこには血縁家族が持つような絶対的価値観が備わっていません。子どもを生む・生まないという女性メンバーが抱える問題に答えが出せず、結局摘発を契機に疑似家族は崩壊していきます。
ダメなものはダメといってくれる居場所がないまま人は生きていけるのか、考えさせられますが、一方でシニアのタブーの問題は、オブラートに包まれてしまった感があります。
このように、この映画には「シニアのタブー」、「孤独と絆」という明らかに異なる二つがテーマが並存しています。
■持続可能な取り組みへのバトン
しかし、超長寿化による影響という点でみると、二つのテーマは同根といえるかもしれません。
2003年頃、この映画の元になった売春ビジネスがスタートし、その10年後の2013年、会員が1000人を超えるなどビジネスが拡大、警視庁に摘発されました。そしてさらに10年後の2023年、外山監督が映画化します。
映画公開に至る20年間、日本には様々な変化がありました。その中で平均寿命は3歳程度伸び、「人生100年時代」という言葉が定着しました。
超長寿化には功罪があります。特にシニアの生きにくさが増している点は見逃せません。
その要因の一つが、シニアが持つアクティビティと社会とのミスマッチです。シニアが自立して生活する期間が長期化する一方、60歳で引退し老後を迎えるという社会システムは変わらない。シニアのエネルギーの使い場所がないという問題が浮上しています。
そればかりか、シニアをめぐるタブーが無言の圧力となって、シニアの活力を奪っています。
もう一つ、居場所がない、あるいは孤独や孤立の問題があります。そして、この問題は若者とは違った形で無慈悲に訪れます。
シニア世代は、どの世代と比較しても経済的、社会的、身体的に多様です。その中で一定割合を占める貧困の問題は、より深刻です。また、長寿化に伴い、夫の死別後の寡婦期間が長期化しています。
こうした孤独や孤立のなかで「老い」と直面することが、シニアの生きる希望を失わせます。
その隙間を埋めるべく半ば必然的に売春ビジネスが誕生・拡大しました。そこで働く高齢女性は、ティー・フレンド同様、仕事を持ち、居場所を得ることで、そんな不安を忘れられていたかもしれません。
しかし、それは長続きしなかった。
この消えかけたベクトルを10年ぶりに拾ってくれたのがこの映画といえます。
今後は、シニアが活躍できる場所や、家族に代わる居場所づくりに、持続可能な形で取り組んでいく必要があります。
そんな新しい課題に取り組む人を待つ。そんな映画だと思います。
正しいことだけが幸せじゃないでしょう
2023年劇場鑑賞18本目 良作 64点
わたくし御用達の社会問題系ヒューマン映画で期待していた作品
正直、当サイトほどの好評価を感じなかった
なんか詰め込みすぎな印象で、高齢者売春もあれば、孤独を感じる若者と手と手を合わせて家族になりましょうとか、若者要素を絡めずに純粋に高齢者買春ドラマで良かった気がする
まあでも個人的に年配の方々の濡れ場やお色気シーンとか、もっといったら性よくある様をみるのが見てられなかったけどね
主人公の家庭事情によるこの取り組みに至る動機や理屈は説明もあるし、理解はできるけど、ちょっと純粋すぎるかな。確か実話ベース?だったっけ?もう少しビジネスとして割り切って上手くやれる気もするのにもったいない
見たときは期待もしていたからだと思うけど、思うようにハマらずだったから、また見たら印象変わるのかなぁ、機会があればまたみよう
まぁエロ期待する方がどうかしてるし、人情噺にもならんわね
2023年劇場鑑賞98本目。
高齢者女性を売春させていた実際の事件から着想を得たフィクション。だから実際は映画のような思想はなく、単に儲かるからやってたんだろうな、というのは前提であるのでしょう。
自分も福祉の仕事をしていて、色々本など読む過程で、福祉と性の話が出てくることがあります。自分は障害者と関わる方なのですが、高齢者にしても障害者にしても、福祉を受けるからには性的刺激は一切与えてはならない的な考えはもはや虐待だと思います。ただ、虐待防止法には「無理やり性的な映像等を見せてはいけない」などもあり、その無理やりの定義が自分では意思表示の難しい人にどこまで当てはまるのか、という問題もあります。性に限った話ではありませんが。なので高齢者が性的行為をすることに関しては全く抵抗はないです。自分の性的欲求を満たすためにこの映画を観たいとは全く思わないですが。
この映画の売春斡旋団体は一回につき5万から10万取っていた描写があり、みんな寂しいんだよ!とか言っていてもなんの説得力もない(まぁ女性側からしたらそれくらいもらわないとやってられないというのはあるかもしれないけど)と思いました。だったら晩婚活斡旋とかすればいいし。男も同じ額でもっと若い人いる風俗いけるのにやっぱり同じくらいの年齢の方がいいんですかね。風俗摘発は被害者のない犯罪と言われますが、そういった意味ではかわいそうに思いますが主義主張には共感できないなと思いました。
途中まで良いことしてるのかと思って観てたが
佐々木マナは、仲間とともに高齢男性者専門の熟女派遣クラブ、茶飲友達、を設立した。新聞に「茶飲友達募集」の三行広告を掲載し、男性たちのもとへ熟女を派遣するビジネスを行っていた。ティー・ガールと呼ばれている在籍女性には、介護生活に疲れた女性、ギャンブル依存症の女性など、いろいろと事情を抱える人たちがいた。マナと共に、茶飲友達、を運営する若者たちも、現代社会で閉塞感を抱え生きていたので、マナは、みんなをファミリーと呼び、暖かい擬似家族のようにしてビジネスを行っていた。そんなある日、1人のティーガールの客がホテルで自殺したのに放っておいて帰ってしまった事により売春ビジネスが発覚し、・・・さてどうなる、という話。
途中まで、お金を持っている高齢男性と一緒にお茶を飲み、話を聞いたりして、良いことをしてるのかな?、なんて思って観ていたが、やはり売春は法律違反だよなぁ、ってふと我に返ったような感覚を持った。ここから先は自由恋愛ですから、と言ってもお金をもらってセックスすると法律違反なんだろう。男がいかなかったらOKなのかな?なんてちょっと思ったけど、違うんだろうな。
奥さんを亡くし、お金を持ってる男性にとって、ただ単にセックスしたいのではなく、話を聞いてもらって、肌のぬくもりを感じたい、という心境なんだろうと思う。何かしらかの老人クラブのような所には行きにくいものなのかなぁ、なんて、自分の将来について考えさせられた作品だった。
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