「受けを狙い過ぎて、身を滅ぼす」ナイトメア・アリー Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
受けを狙い過ぎて、身を滅ぼす
◉奥へ、さぁ奥へ
キャラバン集落は朝焼けか黄昏の中でしか映し出されなかった。惹き込まれるような美しさの薄明は、他人の心や自分の心、世界のしくみなど、とにかく見通せないものを象徴していたように思います。その奥に「悪夢」が広がっていると言うのが、監督の仕掛けでしたね。
◉欲の深い色男
スタンはキャラバンで習得した読心術と心霊術を操りながら、興行師の頂点を目指して、成功を重ねる。だが、スタンの欲望は単なる大金狙いから、人を「たぶらかす」ことの愉悦へと傾く。金だけでは満足できなくなって、要するにバズりたくなった。
◉心霊術が止まらない
富豪に、娘さんの霊に引き合わせましょうとスタンが語ったところで、この物語は終わりに向かったと感じました。
スタンが我を忘れなければ、娘らしき人影を遠くに見せるだけとか、声だけが聞こえるとか、もっと慎重にことを運べたはず。大技を狙い過ぎて、後は破滅への道しか残っていなかった。
◉重厚な人生に押し潰された
舞台がキャラバンから街へ移ってからは、何とも重厚で甘ったるい画面が続きました。スタンやリリスの部屋の中の調度品や、身にまとうアクセサリー、食事の盛られた皿やワインの注がれたグラス。こうしたものが麻薬のように、スタンの身体に染み込んでいく。
現実を見つめていたモリーとは対照的に、スタンは次第に脚が地に着かなくなっていく。ザワザワしたスタンの姿は、破滅への盛り上がりを充分に感じさせてくれました。
父を焼き殺した火の記憶は、そのままの勢いでスタンを飲み込んだことになるのですかね。
判事の妻が夫を撃ち抜いた時は、ケツが完全に浮きました。モンタナの目撃者でガス爆発が起きた時以来のビックリでした。
コメントありがとうございます♪
共感ありがとうございます♪
とても楽しみして観たのですが、映像が今一歩というか、
オドロオドロシさも、ちょっと物足りなく感じてしまいました。
Uさんがレビューに書いてらっしゃる判事の妻の事件も、
ショックでしたね。
ケイト・ブランシェットの裏切りや非情さ、そして
ブラッドリーの父親への仕打ち。
凄いことの連続なのに、盛り上がりに乗れなかったです。
やはりクーパーさんの押し出しが立派過ぎたの
でしょうか?
デル・トロ監督にはもっと上を期待してしまいますね。
アニメですけれど、「ピノッキオ」は何故なのかとても期待通りの満足感を
感じました。
ありがとうございます。